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協力していきましょう

 早川さんが、わたしに車庫は作れないかと聞いてきた。


「できそうです。建物から入るタイプと、車庫ではないのですが駐車スペースも作れます。その場合、ゾンビは駐車スペースには入れないようです。入れないというより、建物内部と同じ扱いですね」


「いいですね、うまく行きそうです」


「でもいいんですか? 1階より上には作れませんが……」


「問題ありませんよ。道を高架橋に繋げばいいだけですから。なんでしたら地下でも大丈夫です」


「わかりました。じゃあ早速……」


「あ、待ってください。先に私は実験をしてきますので。あ、皆さんはゆっくりしててください」


 早川さんはそう言うと、ダイニングを出て2階へと向かう。

 羽田さんは灰谷さんから食器を預かるとキッチンへ、灰谷さんと崎田さんは早川さんについて行った。


「わたし達はどうしますか?」


 椚さんに訊かれて、


「わたしは椚さんさえ良ければ、洋服とか下着とか見てみたいかな」


 そう答えたのは春山さんだ。


「それいいですね。お風呂の前に下着を用意しておきたいですし、先に何着か出しておけば楽ですし」


「わたしは問題ありません。ここではちょっとあれですから、よければわたしの部屋へ移って選びませんか?」


「賛成! お茶とお菓子も持っていきましょう!!」


 春山さんが楽しげにおどけて手を上げる。

 キッチンで片付けの最中だった羽田さんに2階の椚さんの部屋にいる事を伝えると。わたし達はお茶とお菓子を出してもらって2階へと移動したのだった。







「男の人たちのはどうします?」


 椚さんがカタログを開いてそう言った。


 椚さんの能力は他の人にも見る事ができるようにカタログになっている。

 サンプルとして取り寄せることもできるので、手触りや全体を確認することもできる、本当に素晴らしい能力だ。


「皆さん身長があるので、肌着も含めて下着はLとLLで多めに出して、後で選んでもらうのはどうでしょう」


 わたしが提案すると、椚さんはうなずいて半透明のタブレットを操作する。

 ポン、という軽い音がして、机の上に大きな段ボールが出てきた。


「洋服はどうしましょうか」


「それこそ好みがありますからね……」


「浴衣と作務衣にしときましょう。洋服はカタログを見てもらって、ナンバーで注文してもらう方向で!」


 春山さんがやけに気合いを入れて指を立てて言う。

 するとそれを聞いた来見田さんがカッと目を見開いて春山さんのほうに顔を向けた。


「着物男子……!! 男子というには枯れていますがそれもまた良し、素晴らしいアイディアです春山さん!!」


「ふふーん、でしょ? イケる口だね、来見田さん。ううん、これからはくるみちゃんって呼んでいい? あたしの事もしおりちゃんで!!」


「はい! しおりちゃん!!」


 来見田さんはすごい勢いで春山さんの両手を握る。

 こうしてわたし達は互いを名前で呼ぶ事になった。2人だけでなく、わたしと椚さんも含めて。


「良かった〜〜、いつまでも名字にさん付けって、なんだか距離がある感じがするよね。もしかしたら気に入らないところとか嫌なところとかあるかもしれないけど、仲良くやっていきたいのでこれからよろしくお願いします」


 人懐っこい雰囲気のあるしおりさんはそう言ってきれいな姿勢で頭を下げた。


 わたし達も頭を下げて再度よろしくの挨拶をする。

 なんだかんだで、この世界でみんな協力してやっていかなければならないのだ。

 なら、仲良く、楽しくやっていきたい。



 





 来見田さんあらためくるみちゃんは、自分のサイズを伝えると男性陣の実験を見に行った。

 ついでに服の事も話してくれるという。


 彼女はゲームなどもたしなむタイプのオt……人種だったようで、早川さんがどんなことをするのか興味津々のようだ。


 それを聞いたしおりさんはカタログを7冊用意し、下着を数日分と洋服を1着選んでくるみちゃんの後を追うことを提案してきた。


「何をするのか知っておいたほうがいいし。もしかしたら、あたし達の思いつきでも役に立つかもしれないじゃない?」


 そう言って。

 正直なところ、わたしの考えが役に立つとも思えないが、知っておいたほうがいいのはその通りだ。


 くるみちゃんの服はしおりさんが選んでくれるそうだ。

 すごく楽しそうなその笑顔に、わたしとのどかさんは顔を見合わせてコメントを控えたのだった。











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