2話
こう話を作る上で必要な情報を入れまくったせいで説明が長くなってしまった……
これでもかなり削ったんです許してくれ……
あと内容に関してはなるべく校閲はしたけど変なとこあったら教えて……
魔力とかそれぞれに関する設定はまた纏めます……。
「クソッ……今日も駄目か……」
悪態を吐きながら、外出用の腰につけていたポーチを外し床に下ろす。備え付きのベッドに腰を下ろし、窓の外を覗う。帰ってきている段階でもかなり日は落ち、夕焼け模様だった空は今では完全に真っ暗になっていた。
カイン達から討伐隊からの追放勧告を受けた日から既に2日が経過していた。
俺はカインに言われた通りアーブルの街付近の比較的魔力濃度の濃い地域を中心に周り、ゴドラの花を探し続けていた。
魔力欠乏症、別名脱色症。体内にある魔力の濃さが空気中に存在する魔力と同レベルまで劣化する事により魔力の色が消失し身体中の魔力が体外に流出するという恐ろしい病だ。この病の恐ろしい所は魔力欠乏時の症状を常に発症するのは勿論、体外の魔力に対するあらゆる耐性が徐々に失われていくことにある。何故この病が発症するのかまたその治療法は現在謎に包まれており、分かっているのは患ったものは、早くて半年遅くとも1年で完全に死に至るということだけ。
「エリーゼ……」
この病にエリーゼが患っているのを知ったのは今から半年前エリーゼがこの病にかかった3ヶ月あとの事だった。エリーゼの伝で王都の魔法学院に特待生として入学を果たし、無事卒業した俺はエリーゼの生家であるトラストの街に訪れた。
久しぶりに見た彼女の姿は酷く変わり果てたものになっていた。
艷のある美しかった金髪は酷くバサバサとまるで箒のようになり、眩しいほどの空色の瞳は曇り空のようにくすんでいた。
頬は痩せこけ、目の下の隈などどれだけまともに眠れていないのかを容易に想像させうるほど大きいものだった。
魔力欠乏症の恐ろしさは俺も耳には挟んでいた。しかし、実際に見るとただ聴いているのだけではこれ程大きな差があるのかと俺はこの時初めて痛感した。
恐らく通常の魔力欠乏の症状である吐き気と目眩が常に続き、何かを食べるという行為事態が辛いものになっていたのだろう。エリーゼ自身青の魔法使いであることと、トラスト領の令嬢という立場による恵まれた環境下であることも踏まえると通常時の症状より幾らか緩和はされていると思うが、それにしろこうまでの変化をもたらすのかと思わずにはいられなかった。
俺は変わり果てた彼女になんと声をかけていいのか分からなかった。侍女のアンナに先導され彼女が寝ているベッドの横の椅子に腰を下ろした。どうしてもっとはやく俺に連絡をくれなかったのだろう。何故手紙のやり取りの中で俺は彼女の変化に気づけなかったのか。そんな後悔の念を言葉に出来ないまま横になっている彼女をみつめていると、彼女は上体を僅かに起こし言葉を発するのすら辛いであろう状況下でただ一言掠れた声で「ごめんなさい……」と発し上体を沈め眠りについた。
それが何に対する謝罪なのか、そもそも目眩によりまともに視界が取れていたのかすら怪しい彼女が、俺だと認識して発した言葉なのか。けれど、この時俺は既にこれから先の行動を決めていた。
彼女の家を後にした俺はその足で王都の魔法学院に戻った。卒業したばかりであったため、先生や学院長に驚かれもしたが俺は魔法学院に幾つかの条件のもともうしばらくの滞在の許可をもらい、そこで魔力欠乏症に関するあらゆる情報初めとした、魔法学院にあった全ての文献を読み漁った。
そして4ヶ月もの間調べ続けた結果、500年も前の過去の文献に唯一魔力欠乏症に効果のありそうなものを見つけた。それがゴラドの花だった。
ゴラドの花。過去に発見された数は少なく、まだ3本しか見つかって無いことから伝説の生物ドラゴンからもじって名前をつけられた幻の花。食したものは絶大な魔力に対する耐性を得て、また魔力の色がより色濃くなるという魔法使いからしたら喉から手が出る程欲しい正に夢のようなアイテムだ。
入手出来た本数の少なさ故その詳細はあまり明らかに分かってはいないようだったが、判明している点は大きく2つ。ゴラドの花はまるで動物の様な形状をしている淡く黒色に輝く植物であること。そして、見つかった3本ともそれぞれがとても魔力濃度の濃い地域で発見されたということ。
俺は魔力濃度の濃い地域に目星をつけすぐにゴラドの花を探しにでかける予定だった。
だがタイミングが悪かったおよそ1か月前、聖神教から魔王復活の予言が出たのだ。
魔王の復活が聖神教の教皇、アーモッド様の《贈り物》『予知』により予言された。
魔王とは、はるか昔より幾度も現在では魔領と呼ばれる通常生物の生存を許さない極めて魔力濃度の濃い地域より現れその度に人類に多大な損害を与えてきた生きる厄災だ。存在するだけで大気中にある魔力濃度を増加させ、あらゆる生物の生命活動を停止に追い込む絶滅の象徴。
かねてより聖神教より語り継がれていたその悪魔の復活が迫っていると……。
魔王復活の予言によりあらゆる国家はその対策に乗りださざるおえなかった。各国より集めた精鋭による魔王討伐隊の結成。魔王復活時の防衛機能の製作などが大陸にある全ての国のもと合同で行われた。
そんな中人類の中でも数少ない紫の魔法使いである俺が、ゴラドの花をまともに探しにいくことは出来なかった。
祖国でもあるメイラス王国の防衛魔法式の作成を命じられた俺は、軽々しい外出は禁止され騎士団にも見張られ、なかば拘束のような形で囚われることになった。また、貴族の生まれでもなんでもない俺に拒否権はなかった。
そう絶望に沈む中、弟であるカインが魔王討伐隊、その中でもとりわけ重要な勇者に選ばれたことを耳にした。俺が魔法学院に通うようになってからしばらくの間連絡を取っていなかったカインに俺はすぐ接触し、事情を話魔王討伐隊に同行する許可を貰った。
流石に、魔王討伐隊のリーダーとも言える勇者の発言にはメイラス王国も軽く扱うことは出来ず、また俺の実力もあって防衛魔法式の作成に代わり、魔王討伐隊の同行という任を与えられることとなった。
勿論ただの同行だけでなく、魔王復活の際の転送陣の作成といったものも旅の道中に行うこと等、他にも幾つか仕事を与えられたが、些細な事だった。こうして俺は魔王討伐隊が魔王討伐におもむく道中にゴラドの花を探すことが出来る様になった。
しかし、現実はそこまで甘くはなかった。過去の3件しか発見されておらず、幻の花と呼ばれるだけの所以はあり、ゴラドの花はついぞ魔領直前の地域このアーブルの街に至るまでの間ついぞ見つけることはできなかった。
「……ッ」
歯噛みする。そもそもゴラドの花が確実に魔力欠乏症に効くとも分からない現状そのゴラドの花すら見つからないのは正に手詰まりと言っていい状況だった。始めの内は俺の魔法のおかげではやく進みゴラドの花を探すのにも協力してくれた魔王討伐隊の面々もいっこうに見つからない花の存在に次第に諦めを促すようになっていった。
結局花は見つからないまま俺は魔王討伐隊の彼等に見放されてしまったが……。
いや彼等の判断は正しい。実際魔王復活が迫っている中花を探すことを彼らは最後まで協力してくれていたのだから。俺を追放したのも、自身らは魔王復活の阻止という本来の役目に従事するというのと同時に、一時でも俺に花を探す時間をくれての事だろう。
現に宿をこうしてとって出ていってくれたのだから。理性では分かっている。分かってはいるが納得はできなかった。
「クソっ!!」
苛立ちを紛らわすように腰にあったタガーを壁に投げつける。木の壁が裂ける音と共にタガーは壁に深々とつき刺さった。
この旅の道程で薄々だがゴラドの花は魔領にしか生えないのではないかと俺は考えるようになっていた。現にアーブルの街に近い魔力濃度の濃い地域は既に隅々まで探索し、その全てが結局のとこ空振りに終わった。魔力濃度という点では王都付近の最も魔力濃度の濃い地域と比べても4段階近くは高いというのにだ。
だからこそ、魔領にならあるかもしれないというのが俺の最後の希望だったのだ。
魔領の魔力濃度の濃さはこのアーブルの街と比べても3段階は違う。魔領においてはなんの変哲もない地域であってももれなく青以上の魔力濃度なのだから。
「ちくしょうっ……」
そして恐らくみんなにはそんな俺の思考が読み取れていたのだろう。
だからこそ、魔王復活まで時間を危惧してこのタイミングで俺をここに取り残したのだ。
《贈り物》も持たない俺が浅い地域であれ魔領で1人で探索が出来ると思っている程俺も自惚れてはいない。いくら紫の魔法使いとはいえ、《贈り物》のあるなしはそれだけ戦闘力に直結するのだから。
これからどうやってゴラドの花を見つけるかを思い悩んでいると、ガチャッという音と共に扉が開いた。
「っと帰っていたんですか、アベルさん」
「フーエルさん……」
ジョン・フーエル。40代半ばといった見た目の恰幅のよい茶色の目をした少し髪の薄い男性で今回の魔王討伐隊の遠征における、数々の街の滞在費用や武器の手入れ、遠征に必要な備品の供給、長距離移動に適した騎獣の手配といったあらゆる細かなサポートを担当してくれた人物だ。
また王都にあるフーエル商会と呼ばれる大紹介の跡取りでもある。彼の持つ《贈り物》『収納』が魔領までの遠征に役に立つと見込まれ俺と同じく同行を許可された人物でもある。
「いやぁ大きな音がしたんで、まさかとは思いますが泥棒でも入ったんじゃないかと様子を伺いに来たんですが……、どうにも随分と荒れてますなぁ……」
「その……すみません。あとで治しておきます……」
「まぁ、アベルさんならこのくらいの傷治せるのは知ってはいますが……治せなくなるような傷は付けないでくださいよ。ここの代金は1様うちが持ってますからねぇ」
「……えぇほんとうにすみません」
フーエルさんはそう言って俺の返事を聴くと大きく溜め息をついてから俺が座っているベッドの横にある机の椅子に俺と向かい合うように座った。
「で……どうでしたか?花は見つかりましたか?」
「それはっ……」
「あぁーいいですよその反応でだいたい分かりましたから。どうしますか?もう少し滞在しますか?私としては出来ればあと3日ぐらいで切り上げてくれると助かるんですがねぇ」
「その……すみません」
「謝ってばかりですねぇ……貴方は……」
俺の返答に呆れたのかフーエルさんはまた再度大きな溜め息をついた。
「その……宿の代金についてはもし足りないようなら帰ってから払います。貯金ならかなり貯まっていたと思うので……」
「別に私は宿の代金でどうのこうの言いに来た訳じゃないんですがねぇ……私としては、はやくこの街から離れたいだけなんですよ。現に私達と数人の変人を除けばほとんどの人が貴方の作った転送陣で魔領より遠い場所に避難していますしねぇ……。いくらカインさん達が復活の阻止に向かったとはいえ万が一という事も有り得ますし、それに転送陣だってずっと効果がある訳じゃないんでしょう?」
転送陣は設置してから長くても2ヶ月しか効果は及ぼさない。魔王復活が迫り大気中の魔力濃度が高くなっている現状だと期間はもっと短いだろう。
「確かにそうですが、あれは今回の遠征中に集めた魔材もそれなりに使って作っているので最低でもあと2週間はもつと思いますよ」
「はぇーこれだけ魔力濃度の高い土地であと2週間も持つんですか……流石は紫の魔法使いと言ったところですかねぇ」
「……そんな大した物じゃないですよ。最高位の魔法使いとはいえ、こうして足手まといと言われて置いていかれた訳ですから……」
言葉を口にしてからしまったと思う。少々考えが負の方面に偏りすぎてしまっていたようだ。フーエルさんも俺を気にしてこうして様子を伺ってくれているのだろうに……。
後悔しながらフーエルさんの様子をチラっと伺うと、気にしていませんよという風に首を振り再度溜め息を吐いてからまた口を開いた。
「まぁ……なんですよ。アベルさん確かにカインさん達には置いていかれたかも知れませんが、貴方はもっと自分に自信を持った方がいい。彼等だって旅がこんなにもはやく進めれてたのはアベルさんのおかげだって言ってましたしからねぇ……。戦闘に特化した《贈り物》持ちの彼等と私達とじゃあそもそも生物としての規格が違いますからねぇ」
「……そういうフーエルさんは《贈り物》を持っているじゃあないですか……」
「私のは基本的に戦闘には役に立つのかどうかも分からない単なる雑用能力ですよ。まぁこの能力のおかげでいい思いをした事は確かに多いといえば多いですがそれを言われたら、紫の魔法使いであるアベルさんの方が私から言えば余程凄いですよ。私は《贈り物》のおかげで魔力量こそ多いですが魔力の色自体は赤にすら届いていませんからねぇ……」
確かに魔法使いの中でも紫にまで到達した人間は歴代の数を数えても12人と少ない。そう考えれば俺は凄いのだろうが……使える魔法に対して自身の魔力量の少なさのせいでそれを実感したことはあまりなかった。
「……エリーゼ様と貴方がどのような関係なのかは存じませんが、貴方の様子を見るに余程大切な存在なのだろうことは分かります。しかし、そろそろ見切りをつけてもいい頃合いなんじゃぁないですか?」
「それはっ!……エリーゼをこのまま見殺しにしろって言うんですか……」
「そんな人聞きの悪いこと言わないでくださいよ……。単に時間の問題です。魔王復活が迫っているというのもありますが……トラストの支店に連絡の魔道具で聞いてみたところここのところあまりエリーゼ様の容態があまり良くないそうです」
「……だったら!尚更はやくエリーゼの為にも花を見つけないと!」
「そもそも、ゴラドの花が魔力欠乏症に効くという確証がある訳でもないんでしょう?だったらそんな不確かなものに縋るんじゃなくて最後の瞬間までエリーゼ様の傍に居てあげる方がいいんじゃないですか?」
「………でもっ!それじゃあエリーゼは……」
結局救われないじゃないか。あんなに心優しく、人々に寄り添って生きていた少女がこんな病で呆気なくそれも残酷に死ぬのなんてあんまりじゃないか。
俺が俯いて、言葉を発せないまま黙っているとそれを見かねたのか、もう何度目かも分からない溜め息をした後にフーエルさんが口を開いた。
「……1つだけ魔領ではなく魔力濃度がこの辺りよりも濃い地域に宛があります」
「!本当ですか!?」
「……いや、やっぱり今のは聞かなかったことに」
「お願いします教えてください!」
フーエルさんが言葉を全て言い切る前に願い出た。魔領には入れない入ったところで魔物ひしめく魔領で探索しようものなら、俺では自殺行為に他ならないからだ。だからこそフーエルさんの申し出は俺にとって最後の希望だった。
フーエルさんは少し悩んだ様子だったが頭を下げる俺の様子を見て渋々口を開いた。
「……これはここの主人に聞いた話なんですけどね。今から数年前アーブルの街から南西に少し進んだ魔領の手前に洞窟が見つかったそうなんですがね……」
フーエルさんの話をまとめるとこうだった。当時はまだ魔領近くは現在のように魔物は活発になっておらず、また魔力濃度もそれなりで、なんなら魔領に潜む魔物を恐れて危険な生物はほとんどいない状況だったらしい。それでも魔領の近くということもあって元々アーブルの街に住んでいた人を除いてはこの地域を出入りすることが稀だったそうだ。
そんな中ある日4人の男達がアーブルの街にやってきたそうだ。珍しく思い旅の理由を聞いた【はざま亭】の主人はその人達が探索者であり、金が無い為お金を作るため魔力濃度の高い地域にのみ生える貴重な魔材を求めにきた事を知ったそうだ。
男達は街に来た次の日からアーブルの街の周辺にある地域を漁り回ったそうだ。
男達は目論見通り、様々な魔材を手にしたそうだが探索の際に魔領に近いほどいい魔材が取れた為、どんどん魔領に近づくように探索の範囲を広げていったそうだ。その際に見つけたのがその洞窟だったそうだ。一度アーブルの街に戻った男達は街の住人にあの洞窟はなんなのかと話を聞いて回ったらしい。
しかし、その洞窟はアーブルの街に住んでいるとはいえ、魔領の恐ろしさゆえか魔領にはあまり近づかない街の住人にとっても知らないものだった。男達は危険だとは思ったが、まだ誰も知らないということは魔領にも近いこともあり莫大な数の魔材が取れるのではないかとその洞窟の探索を試みたらしい。
結果は無惨なものだった。男達の内3人は帰らぬ人に街に逃げ込んできた男も血まみれで酷い後遺症が残ったらしい。
何があったのか何か恐ろしい魔物でもいたのか話をを聞いた街の住人達によると、どうにも始めのうちは順調に探索出来ていたらしいが急に1人が嘔吐しはじめその後倒れたそうだ。それに続くようにもう1人、2人とこれまた同じように嘔吐し倒れていったそうだ。最後の1人は始めのうちは何があったのかと看病をしていたらしいがだんだん怖くなって洞窟から出ようと思うとその男もまた急に酷い吐き気を催したそうだった。
胃の中のものを吐き出しながら命からがら洞窟からでた時には身体中に裂傷が走っていたそうだ。
「……魔力過重ですね」
「えぇ……それで間違いないと思います」
魔力過重。魔力欠乏とは全く逆で身体に過剰なまでの魔力を摂取した時に起こる症状。通常時ではまず起こることのないこの症状は魔力を回復するために外部からの魔力供給を過度に行った際に起こる現象であり、魔力欠乏と違って魔法使いや《贈り物》所持者を除いて縁のない症状だ。この症状はそもそも一般的な魔力量の人間ではマナポーション等を使って魔力を回復したとしても起こり得ることはない。普通の人間が魔力を貯められる範囲は心臓だけしかないからだ。しかし、魔法使いや《贈り物》所持者となると話は変わってくる。魔法使いは少しでも多くの魔法を使うため、身体中のあらゆる部位に魔力を貯める訓練をする。心臓に宿る魔力を少しずつ別の体の部位に移動し維持それが出来たらまた次の体の部位へという修行を経て魔法使いはただの人間から魔法使いという人種になる。この修行を経た魔法使いは通常の人に比べて10倍以上もの魔力を行使することができ、また魔力を扱う練度に関してもこの修行をやるのとやらないのでは魔法使いとして雲泥の差がうまれる。
だがこの修行にもメリットばかりがある訳じゃない。それが魔力過重だ。通常魔力を貯えることの出来るところは心臓だけだが、それを無理やり他の体の部位にも拡張することにより、魔力回復の際外部から吸収する魔力が体内において乱れて循環してしまい、酷い吐き気を催すのだ。またそれだけでない、自身の身体のものでは無い魔力を短期間に多量に身体に取り込むと、身体が魔力との拒絶反応を起こし、最後は身体中に裂傷が現れ、破裂してしまうのだ。
これは全身に魔力を貯蔵する修行を行う魔法使いと、《贈り物》授かったことにより生まれながら全身に魔力をやどすことの出来る《贈り物》所持者特有の症状と言える。
しかし、何事にも例外はある。この症状はある特定条件下でも発症することが確認されている。通常は人が住むことのない魔力濃度の濃い地域に3日間ずっと滞在していた人間が魔力過重の症状を発症したのだ。
先程の男達の話を踏まえると探索をどれだけの時間したかは分からないが、通常魔力濃度が濃いと言われる地域ですら3日かかった症状がおよそ数時間で出ることを踏まえると余程魔力濃度が濃かったのだろうことが伺える。
すなわちそれだけゴラドの花がある可能性も高いということだ。
「お話した通り、魔物などは出てこなかったそうですが、今は出るかもしれませんし……それに何より話を聞いてわかる通りあまりにも魔力濃度が高すぎる。いくら、貴方が紫の魔法使いで魔力に対する耐性が高いとはいえ命に関わるかもしれません。それでも行かれますか?」
確かに、話を聞いた限りでも危険なのは分かる。でも恐らくこれがゴラドの花を見つける上での最後のチャンスだ。俺はフーエルさんを真っ直ぐ見つめると大きく「はい!」と返事をしたのだった。
軽く魔法使いにだけ、
魔法使いにはランクがあります。
そのランクは魔法使いの体内にある魔力の濃さで表されています。
一般人が灰色で魔法使いとしてのランクは下から
赤、橙、黄、黄緑、緑、青、藍、紫の順で上がっていきます!
んで色が濃いほど様々な魔法が使えるという設定になってます。
これは自然にある大気の魔力でもそうで一般的に魔力濃度が濃いっていうのは黄色から言われています。低いと思ったそこの方!この世界の通常大気にある魔力は基本真っ白なんで黄色レベルの魔力の密集地は異常といって差し控えないです。
ちなみにこれだけ見ると主人公のアベルくんめっちゃ優秀に見えるかも知れませんが、実際問題アベルくんは超有能です。魔王討伐隊の人達がおかしいだけです。実際ミーファちゃんは魔法使いのランクで言うと緑です。
4ランクも差があるのになぜミーファちゃんのが強いかと言うと魔力量とギフトの差ですねぇ……こればかりは才能なのでどうしようもない。
ちなみに心臓は魔力を貯める臓器であると同時に魔力を作る臓器でもあります。またこの能力にはかなり個人差があるので悪しからず!ではまた俺の気力が持てば次回に会いましょう