第9話 白仲家 ep2
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白仲宅から退散しようした俺の目の前に突如現れたのは、白仲の両親だった。
陽香さんは両親は日中は出かけているって言ってたが…
俺が今回の白仲宅訪問に踏み切ったのは、白仲と陽香さん以外に家に誰もいないと事前に聞いていたのが大きかったため、俺の困惑度合いは計り知れない。
白仲母の方は、この状況でなければ母親かどうかも疑わしいくらい美しい見た目だった。
20代後半と言われても信じてしまうかも知れない。
陽香さんと同じくらいの長さのショートヘアに、顔のパーツとしてはどちらかというと妹の方に似ているという印象だ。
だが、まとっている雰囲気は娘の二人にはない余裕のあるほんわかオーラ全開である。
そして、今の俺の立場を窮地へと追いやっているのは白仲父の存在だ。何がやばいってこの人、
顔が怖すぎる。
まずでかい。185㎝くらいの身長にがっちりとした体、鋭い目つき。もう正直もはや堅気じゃない人にしか見えない。
そしてそんな人に出会い頭にめちゃくちゃ睨まれて警戒されている。漏らしてないだけ褒めてほしい。まあ家に帰りついたら、玄関に可愛い娘二人と知らない男の子がいたのだから、警戒されるのは仕方がない。
「これはあの、白仲さん、じゃなくて柚香さんとはクラスメイトでして、学園祭の衣装の準備のために、少しだけお邪魔していました。あ、下田といいます。」
「そ、そう!劇の衣装作ってもらうの!この人に!」
上手く乗り切るため、高校生コンビはきちんと事実を伝えた。二人ともサイズ測るとまでは言えない。
「そうか。学園祭の準備だったか、二人とも事前に知っていたのか。今日下田君が来るのは。」
「ごめんなさい。知ってたけど、なんかちょっと恥ずかしくて…」
「私はどうせ家に二人とも家にいないから言わなくてもいいかなって、ごめんっ」
白仲はバツが悪そうに、陽香さんはてへぺろ感満載で答えた。
「家に来させるのは構わないから、次来るときはきちんと報告を入れなさい。分かったな?」
「はーい。」
決戦、父親編は意外とあっさり終了した。多分白仲の父は見た目は怖いが、親としてちゃんとした人なのだろう。事情を話せば分かってくれた。
これで無事何事もなく帰れる、はずだった。
「あと、実は彼とは私との方が長い付き合いんだよー、実は。ほら私の仕事が軌道にのってヒットした時あったでしょ?その時はプランナーがこの人。年下だけど恩人なのよこれが!」
「え! あの陽香がよく話してたあの子?」
「そうそう!」
これで問題なく帰れると安心していた俺だったが、考えが甘かった。白仲母と陽香さんで会話が盛り上がっている。
「ほぉ、陽香を今の仕事に定着させた敏腕プランナーが柚香と同い年のしかもクラスメイトだったとは驚きだ。陽香がお世話になった。改めてお礼を言うよ。ありがとう。」
「いえいえ、両親から頼まれた仕事でしたので、報酬も貰ってますから。」
陽香さんのプランナーになったことは、正直、俺にとっても転機だった。業界で多少なりとも注目されるようになって依頼も増えた。
俺はかなり良い思いをしている。逆にお礼を言いたいくらいだ。
「せっかくだからご飯でも食べていきなさい。」
「そうね!ご両親に連絡して問題なければ!私も下田君とたくさんお話したいわー」
「でしたら。両親は基本的に仕事で家にいないので、ご一緒してもよろしいでしょうか。」
仕事関係や学校外では、基本的に人間関係は円滑に進ませるようにしている。
それに今回は許可なしで家に上がり込んどいて、せっかくの誘いを断るというのも失礼な話だ。白仲には申し訳ないが、今回はお言葉に甘えて、一家団欒に混ぜてもらおう。
「下田君が…家族を攻略していく…」
白仲が小さい声で何か呟いていたが、よく聞こえなかったのでスルーした。
玄関でのやりとりを終えて、俺は戻るような形でリビングに案内してもらうことになった。
美男美女の家族の一家団欒に参加することに対して、一抹の不安を抱えながら俺は足を進める。
ガチャ。
背後からドアを開ける音。
「ママーっただいまぁーっ」
玄関を振り返るとそこには、 天使がいた。
次回、「可愛いの暴力で下田氏死す」
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