プロローグ
頑張ります。よろしくお願いします。
どこの学校でも、スクールカーストというものは存在する。
容姿、性格、学力、家柄など、学校によってカーストの種類はそれぞれだが、どんなカーストでもクラスに必ず形成され、自らのポジションによって学生生活の大枠が決まるといっても過言ではない。
俺、下田涼が通っている済南高校でも、その例に漏れずスクールカーストが形成されている。容姿とコミュ力が重要視される一般的なものだ。
現在、高校2年の俺はこのカーストの中で、ど底辺陰キャとして地を這いずりまわっている。
特に1年の時に何かをやらかしたわけでもないが、今の俺の前髪で目が隠れた見た目とこの捻くれた性格であれば、当然のポジションだと思う。
だが、俺はこのポジションを気に入っていて、今の現状をどうこうしたいという気持ちはない。なぜなら…
「何とぼとぼ歩いてるの。また寝不足?」
「お前が朝から元気すぎるだけだ。俺はこれが通常運転だ。」
あれやこれやと自らの高校生活の事を考えながら登校していた俺に話しかけてきたのは、腰あたりまで伸びた美しい黒髪、モデルのようなスタイルにその整った容姿と圧倒的コミュ力から、
我が済南高校で人気を博する美少女、白仲柚香だ。
「あと、人に目につくところで俺に話しかけるなといつも言っているだろ。今すぐ離れろ。お前の評判が落ちる。何のために俺が───」
「あーはいはい。いつもありがとうございます。別にいいじゃない少しくらい…」
冷たい態度に機嫌を悪くしたのか、彼女は拗ねたような態度で、俺と距離をとるように、早歩きで正門に向かっていく。
なぜ底辺陰キャの俺が、スクールカースト最上位の彼女と多少なりとも繋がりがあるのか。 彼女は昔から家族ぐるみで付き合いのある幼馴染でも、何かしらの腐れ縁があるわけでもない。
彼女は、俺がこの高校で一番最初に咲かせた高嶺の花である。
読んでいただいて、ありがとうございます。