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婚約者と悪夢5

昼食会は和やかに始まった。

側妃が一人いないが気にする者もいなかった。

イロノ国の間者も律儀な者だ。

代金が多いと返しに来るのだから。

口止め料だと分かっていただろうに返しにきたということは、向こうは隠すつもりがないのだろう。

問題は、間者がキャスターに預けた小瓶だ。

私にということらしいが、中身が思いつかない。

ソーリマが必死に取り替えそうとしていたらしいが。

キャスターには、私が時間が出来るまで王宮で待機させている。

図書室に案内させたから、読書家のキャスターならうまく時間を潰しているだろう。

私は国賓の相手をしながら、そう考えていた。

「レオンクラウド王太子殿下、夜も素晴らしかった。」

そう話しかけられて、何のことか分からず曖昧な笑みで答えた

好みに合わせたお酒を各部屋に準備するよう手配したが、それはどの国もしていることだ。

「生娘を抱き放題。最高でしたな。」

下衆な話題に思考が一瞬止まる。

私は()()()()()()()()()()()

「好みに合った娘を準備するなど、接客は未来の奥方にお任せですな。」

虫唾の走る笑い声。殴りたくなる気持ちを辛うじて押さえ込む。

だが、誰が手配したのかは分かった。

「失礼いたしました。二度とそのようなコトをさせないように致します。」

固まる相手を無視して、私は責めるべき相手を探した。

「マリークライス。話があるのだが。」

にこやかに談笑しているマリークライスを見つけた。

会場から少し離れた場所に連れ出す。

「何故、勝手なことをした。」

「なにでしょうか?」

「女を手配しただろう?」

「あら、女だけではございませんわ。()()()()()()()()手配いたしましたわ。」

その答えにぞっとする。

幼児嗜好の国賓もいた・・・。

「余計なことをいたすな。王宮は娼館ではない。」

怒気を込めて言うと、目の前の女は目を伏せた。

「レオン様のことを思って。」

涙を浮かべているが、私のためではないことは分かっている。

マリークライスは、期待した目で私を見ている。

礼を言われるとでも思っているのだろうか。

それよりも聞かなければならないことがある。

「集めた者たちは、どうした。」

無理矢理集められ、相手をさせられた者たちはどうしているのか。

「処分いたしましたわ。吹聴されても困りますから。」

割れた食器を処分したように言う。

それが信じられない。

「家族を教えてくれ。」

「全員ですわ。下賎の者たちでしたが、レオン様のお役に立てたのですから最高の誉れでしたでしょう。」

私は、手で顔を覆った。

こんな女を妃にしなければならないのか。

だが、決定事項だ。私がどうにか御さねばならない。

「これからは、どんな些細なことでも相談してほしい。」

そう言うのが精一杯だった。

「わたくしは、最高の妃になってみせますわ。」

目の前が真っ暗になった気がした。

何を言えば伝わるのか言葉を探しているうちに名前を呼ばれ、会場に戻る。

笑顔を張り付け客をもてなす。

王族として必要な役目。

苦痛と思うこともあるが、仕方がないと諦めている。

ふとした瞬間、彼女が今隣にいないことをとても寂しく感じる。

本来なら、この隣に彼女が立っていたのに。

彼女が隣にいたら、笑顔を張り付ける必要などないのに。

ああ、はやく私室(へや)に戻り彼女の側にいたい。



イロノ国から取り戻した二人の遺体は、首と胴が切断されていた。

胴のほうは四肢が切り落とされ、他の者と一緒にされていて探すのに時間がかかったため、その場で焼いてきた。

イロノ国は呪具と毒で抵抗してきたが、神殿を味方に出来たため圧勝だった。

イロノ国と辛うじて国交のあった隣国のルイブロンが攻め込んできたが、返り討ちにし制圧した。

おかしな動きのある国や邪魔な国は次々と滅ぼした。

「レオン、もうやめろ。」

アンタイル、何もしていない彼女はこんな姿になってしまったのだよ。

何故、彼女がこんな目に遭わなければならなかった?

ギオテナーイサ帝国からとうとう苦言の手紙ではなく宣戦布告が届いた。

どうでもいい。

彼女がいない世界なんて。

「レオン様、お許しください!!」

薄汚れた女が縋ってきた。

髪はボサボサ、頬は痩せこけ、服はボロボロ、体には無数の傷がついている。

美しかった面影はもうない。

「マリークライス、君は″やめて(ゆるして)″という叫びを聞き入れたことがあったかい?」

ゆっくりと女を囲む者たちがいる。

「すきなように。死という逃げを与えなければよい。」

追いかけてきた者たちの目は、狂喜に歪んでいた。

やっと得られた復讐の機会を彼らは純粋に喜んでいた。

彼らは歪んだ笑みを浮かべて頷き、嫌がる女の手や髪を掴み引き摺っていく。

きっと、私も彼らと同じ目をしているのだろう。

泣き叫ぶ女の声に背を向け、人気のなくなった廊下を歩く。

この世界は、なんて暗くて寒いのだろう。

ごかん?

なんだい?それは。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。

五つの感覚で五感。

ごかん、なのだね。ごかく、ではなくて。

語尾に″(かく)″が付いているから、五覚でもいいような気がするけれど?

だいろっかん?

五感以外の感覚?

虫の知らせ?

異世界では虫が何かを知らせてくれるのかな?

れいかん?ちょうのうりょく?

霊感は、死者の姿が見えたり、話せたりする力?

超能力は、念派で物を動かしたり、瞬間移動したり?

五感以外にも色々な感覚が異世界にはあるのだね。

それらは、第七感、第八感になるのかい?

えっ!五感以外はまとめて第六感?

細かいところまで区別して名前を付けるのに、これは大雑把なのだね。

ところで、魔法はやっぱり第六感になるのかな?

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