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婚約者と悪夢4

食べてるか、寝ているかが多い彼女です。

夜更けまで舞踏会は開かれていたため、使用人を除いた王宮にいる者たちの朝はバラバラだ。

だが、主役として最後までいたのにも関わらず、私は仮眠程度の睡眠で動かなければならなかった。

「いってくるよ、シャル。」

私は、彼女の額当たりに口付けすると私室(へや)を出た。

執務室に寄り急ぎの案件を確認する。

それを済ませてから、庭に出る。

春の花がチラホラ咲き始めている。

彼女が見たら、喜んだだろう。

後で数本部屋に持っていこう。

話し声が聞こえる。

私は、そちらに足をむけた。

「お美しいマリークライス様、こちらをどうぞ。」

体格の良い男がマリークライスに何か渡していた。

「まあ、ありがとうございます。タナマイラ公。」

別にマリークライスが誰と会っていようが関係ない。

いや、不義を疑われるようなことになればと願うことも多々ある。

見えるところに侍女や従僕が控え、その可能性を消しているのが残念だ。

何より私がこの場所に来ることが分かって会っていたのだろう。

私にこの場を見せるために。

「貴女に婚約者がいらっしゃらなかったら・・・。」

その言葉に私はこう応えたくなる。

今すぐにでも連れ去って欲しいと。

「私は、レオン様をお慕いしております。」

顔を伏せ申し訳なさそうに言っているが、私の何を慕っているのか。

これ以上茶番を見たくなくて、私は立ち去ろうとした。

「レオン様。」

マリークライスが今気がついたという風に振り向いた。

侍女が合図をしていたのはタナマイラ公も私も分かっている。

近付いてきたマリークライスを避けたくなる。

離れていても匂う香水に顔をしかめないよう気を付けた。

「おはよう、私は挨拶があるので失礼するよ。君は()()()ゆっくりしていたらいい。では、タナマイラ公もごゆっくりどうぞ。」

伸ばしてきた手を避け、マリークライスが何か言う前に私はその場を立ち去った。

朝の散歩を楽しむ人たちと挨拶を交わしながら、奥に進む。

ふと見ると、残っていた雪の中に隠れるように咲いている花を見つけた。

彼女は、この花が大好きだ。異世界の雪割草という花に似ているらしくて。

後で部屋に飾ろう。

奥の方で声がした。そっと近付いてみる。

「ですからそれは!」

女性の声だ。相当焦っているようだ。

ジャリンと硬貨が擦れる音がする。

「王、もう待てない、言っている。」

しゃがれた老人のような声。聞いた覚えはない。それにこの国の言葉に慣れてないようだ。異国の者か?

木々の隙間から覗き見る。

女性の方は、駆除予定の者だ。手に持っている皮袋に硬貨が入っているようだ。

相手の方は、黒いローブのフードを深く被っている。腰が曲がっているが、声通りの老人に化けているだけかもしれない。

「けれど、あれは素晴らしいでしょう。」

「ああ、王、気に入る。が、手に入れる、難しい。」

「王太子殿下は、今日もいらっしゃらないわ。」

「無理。動かせない。幾つも仕掛け、施されている。解く、時間かかる。」

もう出ていって大丈夫かな?準備も出来たようだ。

「私の部屋から、何を持ち出す相談かな。」

女の顔から小さな悲鳴が上がったが、私が気にするのは黒いローブを着た者だ。

「イロノ国の方とお見受けしますが、私の私室(へや)にイロノ国王陛下にお渡し出来るモノはございません。」

黒いローブの者は、最初、逃げる素振りを見せたが周りが囲まれていると分かると大人しく立っていた。

いや、何か目的がある。

「その、ようだ。代金、もらう。」

イロノ国は、毒と呪いの国だ。魔道具は呪具にかわり、魔方陣は呪いをかけるモノばかりだ。

そんな国からの購入品といえば簡単に答えは出る。

「私は、何もしておりませんわ!」

ヒステリックに女性が騒いだ。

そうだね、所詮、切り捨てられる者だ。

すっと、黒いローブの者が動いた。

やはり間者の訓練を受けた者だ。

衛兵たちが見失っている。

そして女の手から皮袋が無くなっていた。

「貴国とわが国は国交を開いておりません。代金を受け取ったのなら、()()()()()退()()()()()()()。」

今回の件を不問にするから、早く国から出ていけと暗に告げる。

今、争うべき相手ではない。

「分かった。女、毒、買った。」

ガザッと音を立てて近くにあった木が揺れた。

「追うな。毒を撒かれたら厄介だ。」

影たちが気配を辿って追おうとするのを私は止めた。

毒に長けているイロノ国の者を対策なしで相手をすることは出来ない。特に国賓が集まっている今は。

「連れていけ。」

「わたしは!」

縋るように私を見てくる女は憐れだと思う。

「主人に逆らえないのは分かる。だが罪は罪だ。」

ソーリマの侍女は引き摺られるように衛兵に連れられていった。

はるいちばん?

冬の終わりに吹く強い風?

けれど、冬の間も六甲おろしとかいう山からの冷たい乾いた風が吹いていると言っていたね。

それとは違うのかい?

六甲おろしは、こうべ?に吹く風?

場所によって、風の名前も違う?

そんなに名前が多くて覚えられるのかい?

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