表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/255

婚約者と悪夢3

流血があります

舞踏会は、無事終了した。

ルイブロン王国の大使は、無事回復したと聞いている。

酒に弱いのに飲み過ぎるから、毎回体調を崩すのだ。

他にも不調を訴えた者がいたらしいが、薬師たちが頑張ったようだ。

足りなかった薬は手に入ったが、彼女の解毒剤はまだ作ることが出来ない。

必要な器具の一つが紛失していたからだ。

本当に黒幕に操られ、薬を盗むように命じた者は馬鹿としかいいようがない。

その器具が必要な事態が起こったら、どう責任を取るつもりなのだろうか?

いつも通り、誰かに責任を擦り付けて終わりだろう。

「レオン様、わたくしが何故そのようなことを?それよりこの扇をご覧になって。」

「マリークライス!そなたが命じたのだろう?」

私は、通じない話に苛立ちを隠せない。

マリークライスは、先日手に入れたというゴテゴテに宝石で飾られた趣味がいいとは言い難い扇を開いていた。

「この宝石たちが綺麗でしょう。」

淡い金色の髪、緑の瞳、形のよい鼻、ぽってりとした唇、女性らしい丸みのある小柄な体。

マリークライスと会ったほとんどの者は、魅力的な女性と答えるだろう。その内に隠れた猛毒に気付かずに。

「私は、宝石の話をしているのではない。」

きつく言い渡す。

マリークライスは、不思議そうな顔をして首を傾げた。

何が問題なのか分からないというふうに。

「あら、そうですの。」

すっと視線を動かし、一人の令嬢で止まる。

またか。

「ラシア、あなたがしたのね。」

ガッシャーンと盛大な音がした。

令嬢が持っていた盆を落としたのだ。

ラシアと呼ばれた令嬢は真っ青になって震えていた。

「私は″スマラタ様がティッオ殿下に近づきすぎでは″と申しただけですわ。子爵の庶子が王族に近づくなど我慢ならなかったのでしょう。」

あくまで、命じた覚えはないと言い切るマリークライスに、私はこれ以上強く言うことができない。

だが、マリークライスの言葉の真意を悟り行動しなければ、自身に家に何をされるか取り巻きの令嬢たちは知っている。切り捨てられるのも(こうなることも)

「ならば不用意な言動は避けよ。」

「分かりましたわ。あんな下賎な者のためにレオン様の手を煩わまして申し訳ございませんわ。」

悲しげに息を吐くマリークライスに、私は何を言っても無意味なことを感じた。

私がマリークライスに苦言を言う度にスマラタへの風当たりが強くなることも。

次は、何を企んでいる?

対策をよく考えなければならない。

明日の昼食会が終われば、立太式のためにこの国に来ていた国賓たちは各々の国へ帰っていく。

動くのはそれからだ。向こうもこちらも。

私は、彼女に近づいた。

「シャル、起きるころには静かにしておくから。」

大規模な害虫駆除になるかもしれない。



もう少しだった。

もう少しで彼女を逃がすことが出来たのに。

どこで間違えた?

「マリークライス!エドヴォルドとティアシャルドネの遺体を何処にやった!!」

一番の間違いは、目の前にいる女を生かしていることだ。

エドヴォルドに思いを寄せる侍女を唆し、毒の入った水で二人を殺した女を。

「何ですか?」

宝石を並べていたマリークライスは、私のほうを見ようともしない。

「ラーシナカの私兵が運んでいったと聞いている。」

イハヤカタ侯爵家に葬儀の準備を任せ政務を行っていたら、遺体を強奪されたと連絡があった。

エドヴォルドはまだ分かる。ラーシナカの姓であるから。ラーシナカ家で弔うといわれたのなら分かる。

だが、彼女はイハヤカタ侯爵家の令嬢だ。

「あ!イロノ国にお譲りしました。」

イロノ国の王は、屍体収集が趣味だ。

特に美男美女の屍体を集め切り刻むことで有名だった。

「譲っただと!そなたに何の権限があって!」

「国交のないイロノ国にいい贈り物がないかと思いまして。あの二人も死してなおレオン様のために役立てるのなら幸せでしょう。」

「国を出ていないはずだ。すぐに引き返すように連絡しろ。」

すでに兵は出してある。遺体を取り返してくるように。抵抗したら手段は選ばなくていいと。

だが、イロノ国の兵がいたら手出しができない。

「お礼にテオの雫を頂いて。」

テオの滴は、千年に一度しか咲かない花の蜜で作った香水だ。

希少すぎて、値段も小国の国家予算ほどする。

「返品しろ!」

「あら、すでに使っていますわ。それにあれらもイロノ国王も大層気に入っていただけて。」

あれら、だと。あの二人をモノ扱いするのか!!

フフフと笑う女がもう人に見えなかった。

こうする予定で二人を殺害したのか?

長きの間、国交がなかった隣国との国交を開いた王太子妃として名を残すために。

それにイロノ国王が二人の遺体を見たなら、返して貰える確率は低い。

あの王は、国交などどうでも良いのだから。

無意識だった。風を使ったのは。

「手当てしてやれ。痛み止は必要ない。」

マリークライスの屍体を渡したところでイロノ国王が満足するはずがない。

力尽くでも返して貰わなくては。

「簡単に殺しはしない。死にたいと望んでも最期まで生きるがよい。」

血塗れの顔をしたマリークライスを見下ろし、私はその部屋を後にした。

ドライヤーが調子悪い?

私が乾かしてあげる。

魔法で行うと、温度がむずかしい。

あまり高い温度だと彼女の髪の毛を傷めてしまう。

どう、ちょうどいいかい?

これからは、私の風で乾かしてあげるよ。



幾つもの世界が交差してます。

一つに纏められるのかは、殿下次第です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ