婚約者と氷の棺
『婚約者と立太式(前)』の前にこの話をいれます。
『婚約者と立太式(前)』を一部書き直しました。
悪夢の始まり→氷の棺→立太式(前)になります。
衛兵と神官たちで揉めている。
マリークライスの処遇についてだ。
神殿に籍を置くマリークライスを殺人未遂で捕まえるのは難しいらしい。
全てが面倒になってきた。
煩わしいモノは、全て消してしまおうか?
ああ、それは彼女に知られたら怒られるね。
簡単に出来ることだから、急ぐこともない。
人が集まってきた。
彼女は見世物ではない。
彼女を動かさないと。だが、どこへ?どうやって?
さあ、どうするべきか?
「レオン・・・、これはどういうことだ?」
アンタイル、来たのか。後ろにカンサエルもいる。
「すまない。シャルに毒を飲ませてしまった。」
彼女を見て言葉を失っているアンタイルたちに素直に詫びる。
「エドヴォルドの氷か。小さく出来るか?」
アンタイルの言葉に残念男が頷いている。
「確かに、このままじゃ殿下の部屋に入れれないから。こんなところで殿下が寝泊まりしたらお付きの人が大変だよ。」
カンサエルが茶化していう。
ああ、その通りだ。
巨大な氷の柱は、部屋に入れることが出来ない。
けれど、こんな所に彼女を一人にしておけない。
彼女は私の隣にいるべきなのだから。
彼女がここにいなくてはいけないのなら、私がここに来よう。
彼女が寂しくないように。
「人が運べる大きさに。」
それなら、彼女と部屋に帰れる。
「そんな女に。」
誰だ。そんなことを言ったのは。
声がした方に視線を移す。
集まってきていた人々が割れ、一人の男が取り残された。
来賓で出席していた確か文学関係の高位文官だったはず。
そんな女、と言ったのか?
男はブルブル震えだし、その股間には染みが広がりボタボタと何かが滴り落ちている。。
「レオンクラウド殿下。」
アンタイル、何故止める?こんなヤツ、必要ないだろう。
要らないものは、捨てる。当たり前だ。
「抱いて眠るなよ。風邪をひいたらティアが気にする。」
そこには、棺の大きさまで小さくなった氷の柱があった。
その青白い頬に触れたくて手を伸ばすが、冷たい氷に阻まれてしまう。
彼女を氷に閉じ込めてしまったのは、私だ。
私が毒に気が付いていたら・・・。
「キャスター、キャスター!」
女性の声が聞こえた。キャスターの婚約者が、座り込んだキャスターをガクガクと揺らしている。
「なんとか出来ないの?早く早くしないと。」
「エ、エメリン、揺らさないで。気持ち悪い。」
「だって!ティアシャルドネ様が!」
騒がしいとしか言い様がない。
だが、彼女を心配しているのが嬉しい。
「色々手配してあるけど、毒の種類が分からないと。」
「じゃあ、とっとと調べなさいよ!」
無理をいう女性だ。
ヒロインは本来こういう性格なのかもしれない。
人のことに一生懸命で回りを問答無用で巻き込んでいく。
色々手配?
「キャスター、何か手があるか?」
「あ、はい、今、色々な解毒剤をこちらに運んでいます。が・・・。」
キャスターは、言い淀む。
だから、私は言葉を引き取った。
「ノモイルワ毒は、調合が必要で毒の回り状態で解毒剤の種類がかわる、か。それに材料も特殊で手に入りにくい。」
患者をみて解毒剤が出来るころの状態に合わせた薬を作らなければならない。合わなければ解毒できない。
だから、ノモイルワ毒は、薬師泣かせともいわれている。
「レオンクラウド殿下、ティアシャルドネ様は。」
「助ける。必ず助かる。」
「キャスター、私たちが出来ることをするわよ。」
ああ、まだ彼らがいる。
乙女ゲームのヒロインと攻略対象者たちが。
どらきゅら、だった?
棺で暮らしているのは?
太陽が嫌いで、ニンニクが嫌いで、十字架(神具)が嫌いで、銀が嫌いで、姿が映らないから鏡が苦手てで、以外と弱点多いね。
人の血を吸う悲しい化け物。
この世界にいなくて良かったよ。
夜、安心してイチャイチャできないからね。




