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婚約者と四つ葉のクローバー(過去)(後)

戦闘シーンがあります。

「ティア!」

 フードの男が飛び退く。そこに氷が出来ていた。

 息を切らして現れたエドヴォルドを見て、フードの男が笑った気がした。

「その子だ!捕まえろ。」

 エドヴォルドに集中しているフードの男に体当たりして、彼女の前に立つ。風で氷を砕いて飛ばす。

 彼女から少しでも遠ざけないと!

 彼女は恐怖からか気を失っていた。

「あなたが目覚めるのはまだ早い。しばらく眠っていただきましょう。」

 ローブに氷が刺さるのを気にせず、フードの男は彼女を狙ってくる。

 よし!起動した。起動までに時間がかかりすぎる。改良が必要だ。

 私は、彼女の側から飛び退いた。しばらく彼女は安全なはず。

「風の結界。新しい魔道具? そうか・・・。」

 弾かれた剣にフードの男が笑い声をあげた。

 試作品の魔道具。彼女の身体を半円の風で包み込んでいる。

 バリアという異世界の防具を元に作ったもの。

「レオンクラウド殿下であらせられたか。」

 フードの男は剣を投げ、仰々しく頭を下げた。私をバカにするように。

「細やかな幸せを取り上げるのも・・・。」

 フードの奥から見られて、ゾクリと悪寒が走る。

「青銀の騎士を捕まえろ!」

「エドヴォルド、逃げろ!狙いはお前だ。」

 助けに来たつもりのエドヴォルドが戸惑っているのが分かる。

 それでも魔法の訓練と共に身体を鍛えているエドヴォルドは、男たちとうまく立ち回っていた。

 が、エドヴォルドも十三歳になる子供だ。力や体力の差が出てくる。

「あの結界は?」

「日没まで大丈夫だと思う。」

 エドヴォルドが聞いてきた。日没までまだ時間がある。大丈夫だ。

 エドヴォルドと背中合わせで男たちと対峙する。

 息が上がって、魔力も体力も限界にきている。

 エドヴォルドに聞き返す。

「侯爵は?」

「もうすぐ来る。」

 あのフードの男がやっかいだった。

 寄せ集めの男たちをうまくまとめ、こちらの隙をついてくる。

 急に目の前が真っ白になった。そして、響き渡る轟音。

 特大級の雷が落ちた。焦げ臭い、いや、鼻が曲がるような臭いがする。

 眩しさから目が慣れた頃には、炭と化した男たちが体か、煙を出していた。

「大丈夫か?」

 アンタイルが私の身体を支えていた。

「彼女は?」

「魔道具で無事だ。」

 私は、ホッと息を吐きそのまま意識を手放した。

 ()()()は、何も持っていなかった。

 だから、彼女を守りきれなかった。だから・・・。

 目覚めたら、知らない部屋だった。

 記憶を辿り、イハヤカタ侯爵家の客室だと思い付く。

 この件は、有耶無耶になるだろう。

 生き残っていたはずの襲撃者たちもいつの間にか、動かないモノにされていた。

 口封じの手際もよすぎる。後ろに大きな力を感じる。

 イハヤカタ侯爵と話をしたが、襲撃者の正体は結局分からなかった。

 何故、エドヴォルドを拐おうとしたのかも。

 私はこの事件をきっかけにイハヤカタ侯爵家に行けなくなり、エドヴォルドはラーシナカ公爵家に強引に連れ戻された。

 私が次に彼女に会えたのは、私の十三歳の誕生パーティーだった。

 ラーシナカ公爵夫人も亡くなっており、彼女は異世界の前世持ちとして名が出るようになっていた。

 美しく装った女性たちの間を通りすぎる。

 このパーティーで、私は妃となる婚約者を決めることになっている。だから、五歳から二十二歳までの貴族女性は必ず参加となっていた。

 彼女がいる場所は、分かっていた。

 残念男(エドヴォルド)、言ったはずだよ。

 三年の間に彼女の隣に立つ者がいなければ、彼女を私がいただくと。

 マリークライスが呆然として、離れていく私の背中を見ているのも気が付いていた。

 彼女は相変わらずデザートが好きだね。

 けれど、彼女はあの時よりもますます可愛くなっていた。会えなかった時が悔しい。

 彼女の皿とフォークをアンタイルに渡した。

 あの時より私の外見は大きく変わっていた。背は伸び、子供らしい丸みのあった顔は細くなり、髪の色も小麦色になった。変わらないのは若草色の瞳のみ。

 彼女が私がヒロトと分からなくても仕方がなかったかもしれない。

 案の定、目の前に現れた私に彼女は驚いて固まっていた。

「イハヤカタ侯爵令嬢、ティアシャルドネ嬢、私、レオンクラウド・ヒロド・ファス・コードストブールの婚約者になっていただけませんか?」

 彼女の右手を包み込み、跪いて愛を乞う。

 王子である私の申し込みに彼女に拒否権は無いのだけど。

「えっ!えっ!」

 彼女は、救いを求めるように両親のイハヤカタ侯爵夫妻やアンタイルたちを見ているが彼らの根回しはもうしてあるよ。

 胸のポケットから、この日のために作らせたアクセサリーを取り出す。

 彼女の細い手首に巻く。

 先に三つ葉、反対側の先に一つ葉、一周させて四つ葉のクローバーになるようにして留める。

 逃げても捕まえるよ。

 ずっと彼女だけが欲しかったのだから。

まさか、あれから五年近くお預けをくらうとは、思わなかった。

十三歳の誕生日パーティーで彼女と婚約し、彼女と会えるようになったのはなったのだが・・・。

何故、二人っきり(護衛はいる)になってはいけないのかい?

お茶会や舞踏会しか駄目とは、どうしてなのかい?

私が学園に入学と公務で忙しいから?なれるまで?

では、マリークライスが私に会いに来る理由は?

忙しいはずの私に時間を作って、マリークライスには会えというのかい?

彼女がやっと学園に入学してきた。

これで二人で・・・。

彼女が学園になれるまで?

覚えておくがいい。


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