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婚約者と四つ葉のクローバー(過去)(前)

流血シーンがあります。


 十歳の誕生日を前にして、また私とマリークライスとの婚約の打診がきた。ほぼ毎月婚約するように言われている気がする。

 いい加減、うんざりしていた。

 二代続いて公爵とはいえ同じ家から妃ありえるのか?

 貴族の間にある闇をつつく。

 この国に公爵家は他にもある。

 王家(こちら)から望まない限り、同じ家からはありえない。それほど今のラーシナカ家の力が強いということだ。

 突撃してくるマリークライスから逃げるように時間を作っては、イハヤカタ侯爵家に向かう。

 どんどん時間も作りにくくなってきた。もうすぐイハヤカタ侯爵家に向かうのではなく、アンタイルに来てもらうことになるだろう。

 彼女とこうして会えるのもあと僅かということだ。コロコロと表情の変わる彼女は、凄く可愛いかった。大人びた感じも口調が砕けると、背伸びしている女の子に見えてくる。

「四つ葉のクローバー?」

「うん、滅多にないから幸運の証とされているの。」

 十三歳になるエドヴォルドが士官学校に行くから贈り物にしたいようだ。

 葉一つ一つに意味があり、『希望』『誠実』『愛情』四枚目が『幸運』。

「こちらの世界もクローバーがあるから、探してみようと。」

「ふーん、五つ葉とかもある?」

 何故か面白くなくて彼女に聞いてみる。

 エドヴォルドだけずるいと思ってしまう。

「五つ葉は金運だから、見つけたらヒロト様にあげるね。」

 無邪気に言われた言葉にドキリと胸が跳ねる。

 五枚目は『金運』、六枚目は『出世運』、七枚目、八枚目も意味があるらしい。

「商売繁盛の運気アップになるといいな。」

 それは、自分でするからいいよ。それよりも欲しいモノがある。

「見つからなかったら、四つ葉で我慢してね。」

 ニッコリ笑う彼女が眩しくて、頷くだけしかできない。

 イハヤカタ侯爵家の近くにある野原で探していた。

 彼女は、エドヴォルドと私の分。

 私は、彼女を手伝っているフリをして、彼女に渡す四つ葉のクローバーを探していた。

 クローバーの花言葉を王宮の図書で知った。

『わたしのものになって』

 それに四つ葉だと一つ意味が増えるらしい。

『真実の愛』

 彼女はその二つの花言葉を知らない。

 だから、彼女に()()()()()四つ葉のクローバーを渡したかった。

 馬の鳴き声がした。こっちに向かって走ってくる一団が見える。

「帰ろう。」

 嫌な感じがして彼女を誘った。

「うん。」

 少し遠回りになるけど、姿が隠せるから林の中に入った。

 手を繋いで走る。

 叫ぶ声が聞こえる。

「青い髪のヤツを捕まえろ!」

 ビクンと彼女の身体が震える。

「な、なぜ?」

 それは私も聞きたい。何故、彼女が狙われるのか分からない。

 ラーシナカ公爵夫人に彼女のことが知られたのか?

 わざと馬が通れない場所を選んで走る。

 当然、私たちも逃げにくい。

「きゃあ!」

 彼女が枯枝に足を取られてしまった。

 こっちだ!と声が聞こえる。

「雷で馬を驚かせて。」

 小さな声で彼女にお願いする。

 ほとんどの者が馬に乗っている。馬を暴れさせて、混乱させる。

 私たちはその間にそっと逃げた。

 見つかった。私は風で木の枝を落とした。

「おい、茶色のチビが魔法使うぞ!」

 その頃の私の髪は、茶色が強く小麦色ではなかった。

「青いのを連れてきゃあいいんだろ。」

 統率のない男たちは寄せ集めなのだろう。俺が先だと争っている。

 土の魔法で後ろの地面を歩きにくくして、彼女の手を引いて走った。

 もう少し走れば、イハヤカタ侯爵家の結界に入れるはずだ。

「行かせませんよ。」

 フードを深く被った男が前に立っていた。

 先回りされていた。それにフードの男は他の者たちとは違う感じがする。

 ハート彼女に争う所を見せたくないなかったが・・・。

「おや、本当に女の子・・・。そうか・・・。この子が?」

 見逃してもらえそうにない男の気配に逃げ場を探す。

 寄せ集めの男たちが追い付いてきている。時間がない。

 一か八かで風で剣を作り、フードの男に切りかかる。

「誰か呼んできて!」

 彼女が逃げやすいように声をかける。逃げるのではなく助かるためだと。

 フードの男には簡単に避けられてしまう。

横から出てきた男が彼女に手を伸ばす。

助けに向かおうとしたが、フードの男に蹴られ近くの木に身体がぶつかった。一瞬、息が止まる。骨が折れたかもしれない。

「いやー!!」

 彼女の身体が青く光った。男の手から剣が消えていた。

 彼女は、剣を無くしてバランスを崩した男の下敷きになってしまった。

「青き焔!!目覚めさせるには・・・。」

 フードの男の驚きの声。

 ワタワタと男の下から、這い出そうとしている彼女にフードの男が近づいていく。

 早く動かないと()()!!

「邪魔だ。」

 フードの男が剣を取り出し、男を持ち上げ斬りつけた。

 赤色の液体が彼女に降り注いでいる。

 止めろ!彼女にそんなモノを見せるな!!

 彼女は、目を見開いて声にならない悲鳴をあげているように見えた。

 血に濡れた剣が彼女の目の前にある。ポタリと剣から赤い滴が彼女に落ちている。

 早く彼女の元へ。

 私は痛む身体を懸命に動かした。

知っているかい?

四つ葉のクローバーの花言葉に『約束』と『復讐』もあることを。

『約束』は分かるけど、『復讐』はどういう意味なのだろうね。

『復讐』出来る『幸運』を手にしたということなのだろうか?

『復讐』、復讐ねぇ。

彼女は、私がヒロトと気付かなかった。

だから、再会してから意地悪してたのは、当たり前だよね?


夏休みの宿題

『″うま(馬)″と″しゃ(車)″で″じどうしゃ(自動車)″であっている?』

″ばしゃ(馬車)″です。それは。

この子は、″うま(馬)″と″しか(鹿)″を″かしこい″と読むかもしれません。

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