婚約者ともう一つのゲーム
僕、キャスター・ユインスキーは、昨日、ティッオ殿下に話したことを思い出していた。
「ティッオ殿下、乙女ゲームに続きがあるのをご存知ですか?」
この手札を使うべきかどうか、僕は迷っていた。
また、乙女ゲームに振り回されることになる。
「ユインスキー、それは本当か!?」
ティッオ殿下とラーシナカ伯爵、二人とも目付きが怖い。睨まれるのは商売でよくあるから平気だけど。
「副題名が『氷の中の聖女』です。」
異世界の前世持ちから聞き込みをして手に入れた情報。
有力な情報をくれたのは、異世界で″オタク″と呼ばれる種類だった男性だった。
「販売前にゲームの会社が潰れ、幻のゲームだったらしいですが・・・。」
なんでもゲームの最終テスト中に火事が起こり、偶然にも関連する全てが焼失したらしい。新たにゲームを作り直すことも出来ず、火事による損失で会社は潰れた。
「宣伝用の″絵″を覚えていた者がいて。」
青銀の髪をした美少女が瞳を閉じた状態で氷の中に閉じ込められていた。
画像がぼやけ、その氷に愛しそうに手を伸ばす小麦色の髪を持つ青年。
美少女と同じ髪の騎士らしき男が現れる。
『準備が整いました。』
『分かった。』
風が吹いて、絵が変わる。元気に走る少女の姿、新しい主人公に。
新しいヒロインは、学園に通う平民の娘。
最初の攻略対象者は、五人。貴族、騎士、魔術師、神官、商人。
そして、敵か、味方か、女性神官。
シルエットだけ現れて消えていく。
青年と騎士が消えた氷の前にヒロインが現れる。
『呼んだのはあなた?』
氷に手をつき、中の美少女をじっと見るヒロイン。
『分かった。止めてみせるわ。あなたも救ってみせる。』
ヒロインのアップと題名が現れる。
「「青銀の髪!?」」
驚くのも当たり前だ。
青銀の髪は、この国には二人しかいない。
氷の騎士と呼ばれていたエドヴォルド様、イハヤカタ侯爵令嬢の二人だけだ。
「だが、ティアシャルドネ嬢は・・・。」
ティッオ殿下の言いたいことは分かる。
イハヤカタ侯爵令嬢は氷に閉じ込められていない。
「氷に閉じ込められていたら、スマラタ様のゲームには登場できませんよね?」
だから、最初のゲームには名前も出なかった。最初のゲームを作った時は、イハヤカタ侯爵令嬢は重要視されていなかったのかな?それとも続編のために隠されていた?
「では、すでに過去の時点でゲームと違う話になっていたということか?」
ラーシナカ伯爵の言葉に僕は頷く。
何故、そこまで話がここまで違うのか?
もしかして、誰かが乙女ゲームを知っていて話を大きく変えた?
それを違う誰かが、元の話に、それを悪い結末にするようにしている?
マリークライスと婚約することは、最悪の未来を約束するようなことだ。
「それで、続編は始まるのか?」
ティッオ殿下の心配は分かるけど、僕はどう言ったらいいか分からない。続編の設定自体が既に壊れているから。
「分かりません。話としては神殿がこの国に来た時点で始まっているのかもしれません。宣伝用の中に神官、女性神官が出てきてましたから。」
文官がティッオ殿下を呼びに来て、そこで話は終わってしまった。
あの後、話をしていてもたぶん対策案は誰も浮かばなかった。誰も続編の話が分からないのだから。
スマラタのゲームは設定が違っていても始まった。ゲームに登場しないイハヤカタ侯爵令嬢がレオンクラウド殿下の婚約者になっていても。マリークライスがすでに修道院送りになっていても。
ゲームは、主人公の編入に合わせて始まってしまった。
情報が欲しい。もっと。
攻略対象者でも探してみようかな?
貴族、騎士、魔術師、神官、商人。
″オタク″に書いてもらった絵、イマイチ分からない。
思いっきり下手くそ。
ヒロインは、茶色の長い髪に黄緑の瞳。
エメリンと同じだね。
貴族は金髪、騎士は深緑、魔術師は銀(これはイハヤカタ侯爵家かな?)、神官はポンデ教司はないよな、商人は茶金の髪。
茶金は、僕と一緒だ。
まず学園の女子生徒で、茶色の髪と黄緑の瞳は・・・。
女子生徒、分かんないや。
「知ってみえますか?」(ご存知ですか?に訂正済み)は、方言になるのですね。
伊勢の″な″言葉は、気を付けるようにしていたのですか・・・。
教えていただいて、ありがとうございます。




