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婚約者と卒業式(中)

母が受けた祖父の予見、この国に嫁ぎ王となる私を産む。

私が受けた叔父の予見、私の伴侶を間違えてはならない。

伴侶を間違えると大変なことが起きる。

大変なこと・・・、たぶんこの世界の未来が決まる。このまま平穏な世界が続くか、シャシャラル(ねむれる)神の裁きを受けるのか。

だから、子供神の血を引く神帝が予見した。

「神帝の予見は、予知というより神託なのですね。」

神託?

予知は未来を知る力で、予見とよく似ている。

「神の言葉です。神様か(かんなぎ)や巫女に憑依し(おり)て直接話す場合や、夢枕、占いなど色々あります。」

「占い?花びらで占ったり?」

好き・嫌いと花びらを順番にむしっていき、最後の一枚がどちらかで意中の相手にどう思われているか知るものだよね?

花びらの数が決まっているから答えなど分かっている。それでも花びらで占う女性心理はよく分からない。

「それは恋占いです。昔の日本(いせかい)(まつりごと)に占いがかかせなかったらしいです。」

それはそれで危険な(まつりごと)をしていたと感じるけど。占う人次第で、人が、政治が、動かされてしまう。

ところで、彼女は気づいていないのかな?

私が彼女に唯一の伴侶と求婚したことに。

もしかして忘れてしまっている?

彼女ならあり得るかもしれない。

さて、いつ気づかせよう?

「占って、良い結果なら当たるように、悪い結果なら当たらないように努力しなければいけないそうです。」

面白い考えだ。

悪いことを回避しようとするのは分かるが、良いこともそれを引き寄せ掴み取る努力をしなければならないのは。

それじゃあ、頑張って努力をしよう。

彼女が側にいる。この幸せ以上の幸せを引き寄せ掴み取れるように。

「占いは今の状態で一番近い未来を云っているだけで、未来は変わる、変えられると誰かが言っていました。」

私の口角が自然に上がる。

彼女はいつも欲しい言葉を私にくれる。

私は彼女を膝の上に抱き上げた。

ドレスなんかかまっていられない。

「シャル、私のたった一人の伴侶。」

やっぱりキョトンとした顔になったね。

そうだよ、この腕の中にいる人が私の伴侶だよ。

首を小さく横に振っているけど、もう取り消しは出来ない。

後頭部を押さえ、唇を重ねる。

「シャル、私は私が幸せになりたいから、私が幸せにしたい人を選んだ。だから・・・」

額を合わせ、囁いた。

しあわせになろう

無粋なノックの音で彼女の答えは聞けなかった。

真っ赤な顔をして頷いてくれたように見えたのは願望か?

今はそれでいい。

一歩ずつ二人で歩いていけばいいのだから。


卒業式が始まった。

直前で学園長が交替した。

何か仕掛けてくるだろう。

この卒業式で?その後で?

来賓席には、マリークライスがどうどうと座っている。

その左手薬指には、彼女に渡した婚約指輪によく似たデザインの指輪がはまっている。彼女のより大きな緑の石がその繊細なデザインをぶち壊していた。

キャスター・ユインスキーが激怒していそうだ。矜恃のある商人なら、悪質な模造品は貶されているとしか感じない。

あの指輪を売った店は、二度と宝飾を取り扱うことは出来ないだろう。

ユインスキー商会は、他国の王族とも取引がある宝飾業界の最大手だ。マリークライスに騙されたのだろうが、下調べをしなかったのが悪い。

にしてもマリークライスは、支払いをどうしたのだろう?お金など持っていないはずだ。

私の個人資産から出されてなけれぱ良いが。あの女に使う金など持っていない。

卒業証書授与も終わり、学園長の式辞が始まった。

長いし、不要な言葉が多すぎる。

明日、王太子となる私を讃え、聖女の青き力を誉め、彼女を貶す。

ああ、ラーシナカ家の親戚筋の男か。

マリークライスが私の妃になれば甘い汁が吸えると思ってはいないだろうな。

飾りの妃に力などあるわけが無いだろう。

「・・・ゲーム通りに進めようとしていたとはいえ、侯爵令嬢が苛めなど貴族として・・・。」

ダン!!

私は()()()()()()()()()()()()

学園長が、ギョッとした顔になっている。

「殿下・・・、何か・・・。」

「いや、いつから式辞はおべっかや誹謗中傷の羅列になったのかと。」

退屈で堪らない。欠伸が出てしまう。

「しかし、こうしゃ・・・。」

まだ言うのか?

学園長を見る目に力が入ってしまうよ。

ダン!!!

大きな音だったね。

けっこうな人数が私の真似をしたようだ。

「・・・・・!皆さん、卒業おめでとう!私の話はこれで終わります。」

台風?それは、何?

竜巻に雨がついたもの?

嵐とは違うのかい?

気圧?気流?

暖かい湿った空気と冷たい空気は分かる。

暖かい空気は上に冷たい空気が下にくるのも。

うん、水を回転させると渦ができるね。

海面の暖かい湿った空気が上に上がって、上空の冷たい空気が下に来て、上に上がった空気が冷えてまた下に、下で暖まった空気が上に、巡回しているのが強い回転になり大きな渦になる???

うーん、とりあえず異世界には、自然の脅威が色々あるということだね?


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