婚約者と平民の奔走(後)
暑い日が続いています。
体調にお気をつけ下さいm(__)m
神殿、どう攻めようかな?
レオンクラウド殿下も動いているだろうし。
エメリンのためだ、頑張ろう。
「ティッオ殿下!」
あっ!この人、ラーシナカ伯爵?だったかな・・・。
淡い金髪は、妹のマリークライスに似ている。
「来客中でしたか?」
「いや、大丈夫だ。神殿のほうはどうだった?」
表情が優れない。たぶん、いい結果じゃない。
「無理でした。」
「そうか・・・。」
ため息が重なった。
聖人・聖女の認定を申し込んで拒否された?
一応、二人も役のついている神官がこの国に今いるから、そちらに頼めだよな、普通。
「何故、神殿もマリークライス様をレオンクラウド殿下に嫁がせようとしているのでしょうか?聖女は、幸せにならなくてはいけないのですよね?」
疑問がそのまま口に出てしまった。
発言が許されていなかったのにどうしよう!
「失礼致しました。」
慌てて謝罪する。
「ティッオ殿下、こちらは?」
ラーシナカ伯爵に睨まれたのは気のせいでない。
やっぱり妹は、可愛いのかな。
「キャスター・ユインスキー、兄上の同級生だ。」
「ユインスキー宝飾商の?」
はい、先日あなたの妹に絡まれたキャスター・ユインスキーです。
「妹のマリークライスが失礼をしたようで。」
「こちらこそ、出すぎた真似をしてしまいました。」
マリークライスは平民だが、この兄は貴族だ。
下手に出ておかないと。
「いや、聖女の肩書きがあるだけの平民だ。もう存在しない公爵家にいつまで拘っているのか、父もマリーも。」
さあ?本人にも分からないのでは?
血筋から王を誕生させるという念願に囚われていることに。
ああ、洗脳って怖い。
ラーシナカ伯爵、この人は洗脳されていないのだろうか?
「ああ、それも問題になっている。」
ティッオ殿下の深いため息から、マリークライスを諦めさせるより、レオンクラウド殿下の心変わりを期待してるのかな?
結婚させてしまえばどうにかなると。
「シャシャラル神の名を出せば、兄上もマリークライスの方を向くと思っているようだ。」
あー、やっぱりバカばっかりだ。
そんなことでレオンクラウド殿下が従うと思っていることが。
シャシャラル神は、平等に全ての物を愛していると云われている。
つまり聖女は幸せにならなければいけないが、聖女だけが幸せではいけない。
まあ、誰も彼もがが幸せに成れないけど、聖女の我が儘で不幸な人が生まれるのはおかしい。
マリークライスの求婚は、断られた時点で我が儘になっている。
″私が嫁ぎたいのだから嫁ぐのが当たり前″
それは、聖女だからこそ通じないのに。
「確かに神殿が諌めてもおかしくないのにマリーの婚姻を押し進めていますね。反対意見もあるそうですが。」
マリークライスの暴走じゃないんだ。
神殿なら分かっているはずなのに、何故?
マリークライスをレオンクラウド殿下に押し付けてなんのメリットが?
帝国?帝国の皇位継承権?あっても神力がなければ皇帝には成れない。
「ユインスキー、情報を集めていたお前なら兄上の婚約者は誰にする?」
ティッオ殿下、分かりきったことを聞かないでください。
誰かは、分かりきっているでしょう。
「不敬罪にはしない。参考までに聞きたいだけだ。」
二人の視線が僕に集まっている。
仕方がないなー。
「イハヤカタ侯爵令嬢、ティアシャルドネ様です。」
「その理由は?」
ラーシナカ伯爵、一番の理由はあなたもお分かりでしょう?
「最大の理由は、レオンクラウド殿下の思い人であられるということです。」
ティッオ殿下も頷いている。その顔が引き摺っているのは気にしないておこう。あの執着に恐怖を感じているのは、僕も同じです。
「次にゲームに名前が出てみえなかったこと。ゲームとの関連性を避けるため、名前が出てみえた方は避けるべきです。」
イハヤカタ侯爵令嬢がゲームと関係が無いとは言い切れない。だけど、スマラタがヒロインの乙女ゲームには、名前さえ出ていない。
「そして、イハヤカタ侯爵令嬢は争い事を好まない。レオンクラウド殿下は、イハヤカタ侯爵令嬢の顔が曇るようなことを為されないと思います。」
「ティアシャルドネ嬢が兄上の抑制力になるということか。逆にティアシャルドネ嬢がいないと兄上の抑制力は無くなってしまうということか。」
ティッオ殿下の吐く息が重い。
その様子に背中に冷たいモノが走る。
もしかして、愛妾にしてまでレオンクラウド殿下が手に入れたのに引き離そうとしている?
「破滅が来ても知りませんよ!レオンクラウド殿下の伴侶は間違えてはならないのでしょう?」
神帝の手紙を思い出して僕は叫んでしまった。
エメリン、道は遠そうだ。
僕は一介の商人の息子ってだけだよ。
なんの力もないんだよ。
レオンクラウド殿下が無理だったもの、僕に出来ると思わないでくれるかな?
そんな目で見ないでくれる?
はい、分かりました。
はい、頑張ります。




