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婚約者と侯爵家

今年も猛暑です。皆さま、体調にはお気をつけ下さい。

まず彼女の家に入ると手厚い歓迎を受けた。

彼女の可愛い姪っ子たちが抱きついてきた。

「レオン様、好き。」

この子たちも可愛い。

彼女と違う可愛さがある。

「けど、ティア姉様を不幸にするレオン様は嫌い。」

グサリと胸にくる。

不幸にするつもりはないのだよ。

彼女を幸せにしたいし、彼女と幸せになりたい。

「女を幸せに出来ない男は、カイショナシというのよ。」

「ヒカゲの女にするのは、サイテイなのよ。」

キツイ言葉を聞きながら、小さな手に導かれ彼女の家族がいる部屋に向かう。

荷物は、家令に運んでもらうように頼んである。

訪問の挨拶をすると、私は″土下座″というものをして、彼女に、彼女の家族に謝罪した。

彼女を妃に出来なかったこと、勝手に妻にしてしまったこと、挨拶が遅くなってしまったこと、彼女以外愛さないこと、彼女を幸せにすること、等。

はっきり言おう。

肉体的に痛め付けてくれたのは男性陣で、精神的に痛め付けてくれたのはオシャマな二人も入れた女性陣にだった。

うん、女性陣のほうが凄く恐ろしかった。

同情的な目をしながら、グサッとくる言葉を形を変えて何度も放ってくる。

怒らせてはいけないと実感したよ。

彼女?

彼女は、最初はオロオロと私の″土下座″を止めさせようとして、止めないのが分かると隣に座ってくれた。

それが凄く嬉しかった。一緒に頭を下げてくれたのも。

彼女も私に頭を下げられる立場なのだよ?

愛妾なんて立場にしてしまったのだから。

許してもらえて立ち上がろうとしたら、足が痺れて動けなかった。

ササリット、子供たちをけしかけないで欲しかった。

痺れた足の上に乗る子供は楽しそうだったが、私は辛かったのだよ。逃げることも出来なかったのだから。

足がどうにか動くようになったら、彼女にプロポーズというものをした。

跪いて求婚するのは、こちらも異世界も同じだね。

指輪を取り出し、一生の愛を誓う。

今さらという回りの生暖かい目がとても痛かったが。

彼女は、涙ぐんで受け取ってくれた。

彼女の細い指に指輪をはめる。

震えてしまった。

けれど、これで彼女が私のモノだと改めて実感できた。

今度は、結婚指輪をはめあおうね。

家族への贈り物もおおむね喜んで貰えた。

彼女の家族に夫として認めてもらえたことにホッとする。

仲の良い家族だから。私のせいで亀裂など出来てほしくなかった。

王宮に帰る時間になってしまった。

本当は、彼女を結婚まで家族の元においておくべきなのだろうが、私はそれが出来ない。彼女をもう手離せない。

もう一度謝罪して、彼女と馬車に乗り込んだ。

嫌な予感がしている。

帰り道のどこかで襲撃されるだろう。

彼女に怖い目をさせてしまう。

またアンタイルに怒られる。

「シャル、ちょっとバタバタするけど大人しくしていてね。」

私にもたれて、可愛い寝息をたてている彼女に囁いた。

昨夜から彼女も緊張していたからね。家族から何を言われるのか?祝福されなかったらどうしよう、と。

馬車の中にいる侍女の顔色が変わったね。

「ケイン、君は敵か味方か?」

護衛騎士のケインは、ギョッとした顔をしている

「殿下、何を仰るのですか?」

声が震えているよ。

「君と外の者が私の気を引き付け、侍女(フリマ)が彼女を連れ出す。」

襲撃点は、もう少し先。進路を変更しても馬車が通れる道は限られている。どう避けても確実に襲われる。

「懲りないね。」

思わず笑ってしまう。

ケインの顔色が悪くなり、侍女にいたってはガタガタと震えている。

ただ、馬鹿ばかりだと笑っただけだよ?

何故、そこまで怖がられる?

「襲撃者は、全部で七人か?」

チラリとケインを見る。

「私は、命令に従っただけです。」

ケインの言葉が馬鹿馬鹿しくて、ますます笑える。

警護対象を襲うのが職務なのか?と。

侍女がケインの剣を奪い、彼女に斬りかかってきた。

大丈夫なのは分かっていても、体は動いてしまう。

大切な彼女だからね。

剣を受け止めるために鞘に入ったままの愛剣を彼女の前に出す。

侍女の腕が振り下ろされるが、愛剣にはなんの衝撃も感じない。

侍女は、驚いた表情で自分の手を見ている。さっきまで握っていた剣が消えていた。

「静かにしていてもらおうか?」

風を丸めて、侍女の腹に放つ。

意識を失っていてもらおう。たぶん、依頼主は吐かないと思うけど。

「ケイン、君はどうする?」

答えを聞く前に馬車が止まった。

私は、眠っている彼女を引き寄せた。

扉が外から開かれる。

抜き身の剣を持った者たちが立っていた。

私は、風を放った。

血の臭いが馬車に入らないように気を付ける。

ケインは、青い顔をしながら侍女を紐になりそうな物で縛っていた。

「殿下、私も罰してください。」

私は、ケインの言葉に頷いた。

私の側にいても利用されるだけだろう。

うーん、どうやら高砂人形のようになれないようだね。

この世界の人は、白髪にはならない。

イハヤタカ家の家令は、いい歳だったはずだ。

赤茶の髪をしっかりしていたよ。

ルミ殿下も真っ黒な髪をしてみえた。白髪というものがあるようには、見えなかった。

彼女と同じ髪の色というのも憧れたけど、やはりこの青銀の髪を歳をとってもみていたい。

誰だい?青銀だから、白髪に見えるんじゃないか?と呟いたのは。

全然、まったく違うからね。


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