婚約者と平民の密談
7月中に終わる予定が(゜ロ゜;ノ)ノ
僕は、集まった情報を纏めていた。
今の王宮の情報は、面白い。面白すぎて笑いしか出てこない。
あのレオンクラウド殿下が骨抜きになり、駄目王子になっているなんて。
あのイハヤカタ侯爵令嬢が殿下の執務室に何人もの男を連れ込んでいるなんて。
人を笑い死にさせたいのか?と思ってしまうくらいに。
骨抜きはあっている・・・かもしれない。
イハヤカタ侯爵令嬢、一筋だから。恐ろしいくらいに。だから、その殿下が侯爵令嬢が悪くいわれるような行動をとるわけがない。
その侯爵令嬢に男って!その人、殿下に瞬殺されてるって!侯爵令嬢の回りに本当に男性がいるのなら何か理由かあって殿下が容認している場合のみだ。
この噂を流している人たちに生きる気ある?と聞いてみたい。死神に喧嘩売っているようなものなのに。
侯爵令嬢が優しいから手を下さないだけなのに。
「キャスター、楽しそうね。」
焦げ茶の髪を揺らしながら、婚約者が部屋に入ってきた。
「エメリン、首尾は?」
ニッコリ笑うエメリンにやり過ぎてない?と不安になる。
「ただの配達人が昼間から酒を飲んでいるのよ。それも超高級品。」
その男も終わったな。たぶん今頃何処かで冷たくなっているだろう。
「うふふ、ランクの上の酒屋でね、自白剤入りの酒でベロンベロンに酔わせて。」
うわぁー、盛大に喋っただろうな。それも満員御礼状態の中で。
「酷かったわ。小さな子をわざと泣かして、それをティアシャルドネ様のせいにしたりしてたのよ!泣いているから慰めにいかれただけなのに!!」
その親子も肩身の狭い思いをしただろうな。暴露現場に呼ばれていただろうから。
勘違いして言いふらされて。普通の貴族なら自分のせいで子供が泣いても知らんぷりだって。
「でも雇い主までは辿りつけなかったわ。ナオプール伯爵も怪しいけど神殿も黒っぽいわ。」
悔しそうに顔を歪ませるエメリン。
「少し前の王宮の情報、読む?」
エメリンもある程度調べてるだろうけど。ほんとに王宮に勤める者は馬鹿ばかり?と聞きたい。
「骨抜き?″ぞっこん″か″一途″というのよ!」
いや、執着や執愛が一番近いと思うけど。
「ねぇ、王宮の人たちって、自殺願望でもあるの?」
そうなるよね、やっぱり。
「で、これが最近の。」
下の者から″悪い噂″は、無くなってきている。
王宮で働いている大部分は、下位の貴族や平民だ。
その者たちに侯爵令嬢は慕われ始めている。
「さすが、ティアシャルドネ様!!」
殿下の力添えもあるだろうけど、侯爵令嬢の人格によるものが大きいと思う。
「算術!?ほんとに異世界はびっくり箱だわ。」
そう思う。グラフなんてもの初めて見た。
分かりやすくなった分、不備や不正が多々出てきたらしい。
殿下の妃選びに参加する暇も無くなった貴族もいるらしい。
風通しがよくなり過ぎると商売がしにくくなるんだけどな。
「マリークライスもさすがだわ。」
黒さを持った声がした。
エメリンのマリークライスに対する思いも根深い。
「二ヶ月ちょっとで化けの皮が剥がれるなんて。」
扇子でも広げて高笑いしそうな感じだ。
ジワジワと下位の者たちに慕われていく侯爵令嬢。
傍若無人で下位の者たちが離れていく正妃候補。
たった二ヶ月で人徳の差がはっきり出た。
「まあ、あの女がお飾りで満足するはずがないから・・・。」
侯爵令嬢を排除しようとする動きも活発化している。
エメリンは、心配してなさそうだけど。
「殿下が髪の毛一本触れさせないはずだけど・・・。剣先や矢が消えた?火傷?」
髪の毛一本?殿下を万能と思ってない?
それにさすがの殿下でもそれらは無理だろう。
侯爵令嬢の回りで怪奇現象が起きている。
侯爵令嬢を狙った矢が直前で消えた。
斬りかかった剣の刃が侯爵令嬢に当たる直前に消えた。
掴みかかった男の手が重度の火傷になった。
その時、侯爵令嬢は青く光っていたらしい。青銀の髪の輝と間違えたのではないかと言われているが真偽は分からない。
まあ、被害に遭っているのが暗殺者たちだから、侯爵令嬢を襲わない限り害はなさそうだ。
「王宮を守る騎士であろう方々が・・・。」
「騎士団には、マリークライス様に心酔している人が多いから。」
だからといって行って良いことではない。
王宮にいる者を守る立場の者たちが襲うとはどういうことなのか。すごく問題視されている。
ただ気になるのは、火傷を負った騎士が聖人になれるかもと殿下が言ったことだ。
殿下は、侯爵令嬢を守る青い光の正体を知っている。
それを公にしないのは、諸刃の剣なのだろうか?
僕は、レオンクラウド殿下が苦手だ。
いや、苦手というより怖い、怖すぎる。
だから、レオンクラウド殿下の前に立つと恐怖から挙動不審になってしまう。
何故、怖い?理由は分からない。
みんな、優しい王子だというけど・・・。
一人の女性さえ関わらなければ、完璧王子だというけど・・・。
その一人の女性が関わっている時のほうが、怖さが半減する。別の意味の怖さが出てくるけれど。
レオンクラウド殿下と関わりたくなかったけど、関わってしまった。
たった一人の女性の味方ならば、大丈夫だと思いたい。




