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婚約者と評判

「レオンクラウド殿下!」

煩いな、と思う。

妃たちを私がどう扱うか明言したら、考え直せと煩い。

仕方ないだろ、抱けないのだから。

一夜過ごしても一緒に部屋にいただけになる。いや、私が彼女と離れられないから、()()()しているところを見ることになるだけだ。

どんな相手でも最初から話しておいたほうが諦めしやすいだろ?

「で、妃候補には了解が得られたのか?」

イレンデ伯爵は、言葉に詰まっていた。

まあ、了解するわけはないだろう、あのマリークライスが。

私の卒業式も近付いてきた。後一ヶ月もない。

卒業式の直後に行われる立太式で婚約と結婚式の日を発表したいのだろうが、どうでもいい。

私は、その日に唯一人の伴侶として彼女を国民に紹介するだけだ。

「レオンクラウド殿下、この書類について。」

一人の文官が走り寄ってきた。

彼女の勉強会に出ていた文官だ。

私は書類を見て、表の一部を指差した。

「この数値とグラフが合わない。」

文官もハッと気がついたみたいで、頭を下げて職場に戻っていく。

王宮での彼女の噂も大きく変わった。

私を堕落させる悪女から、私を支える賢女に変わりつつある。

彼女の勉強会に参加する者たちが、噂と正反対の彼女に驚き真実を伝え、それが広まってきている。

それについては、複雑な思いだ。

彼女を良くいわれるのは嬉しいが、褒め称えているのが男が多いというのが・・・。いわれなくても狭量なのは分かっているよ。

「イレンデ伯爵、私に彼女を諦めさせたのだ。妃候補はさぞかし立派な方なのだろうね?」

イレンデ伯爵の顔が引き摺った。

彼女とは逆にマリークライスの評判は下降を続けている。

イレンデ伯爵も私のことでマリークライスに罵られたばかりだと聞いている。

妃候補と正式に発表されていない状態にも関わらず、王宮にて私の妃のように振る舞うマリークライス。公爵令嬢時代の傲慢無礼の態度も表れ始めた。

比較対象が彼女では、ますます評判も落ちていくだろう。

「ああ、レオンクラウド殿下、ここにおいででしたか。」

マリークライスの兄、ラーシナカ伯爵だ。

この男もエマコトオ司教と同じで何を考えているのか分からない。

そううえば、エマコトオ司教は、話し合いの場と言っていたがどうなっているのだろう?音沙汰は何もないが。

「ティアシャルドネ様にまた算術の勉強会を開いていただきたいのですが。」

彼女に勉強会を開くように進言してきたのはこの男だ。

複雑な足し算、掛け算、割り算、一覧表にグラフ、異世界の算術はとても面白く役に立っている。

それが異世界では、基礎の教育だというから驚きだ。

「伝えておく。」

彼女の素晴しさを伝える良い機会なのは分かるのだが・・・。

勉強会に参加するのは、ほとんどが男性・・・、男だ。

うん、狭量なのは分かっているよ。だから、勉強会は私がいる時間の執務室でしか行わない。

「イレンデ伯爵、マリークライスが失礼をしたようで。」

家族として縁を切っているマリークライスのために、兄だからといってラーシナカ伯爵がイレンデ伯爵に謝る必要はもちろんない。

「いえ、聖女様の苛立ちも分かりますし。」

イレンデ伯爵の目が游いでいる。

「公爵令嬢ではないのですから、振る舞いには注意するよう再三言ってはおるのですが。」

マリークライスが貴族でないことをはっきり公言するラーシナカ伯爵。

貴族令嬢と振る舞うマリークライス。

この温度差をどう表現したらいいのだろうね。

「用がないなら。」

話し込み始めた二人をその場に残し、私は彼女の元に急いだ。

彼女は、アンタイルと印刷機について話しあっていた。

今ある白黒ではなく、色のついた(カラーというらしい)印刷ができるようにしたいと。

白黒の印刷機でも画期的だったのに、今度はカラー印刷だと彼女の知識は止まることを知らない。

白黒の印刷機に色をどうつけるか?インクを使う色だけ準備すると機械が大きくなりすぎる。

異世界では、五色から七色のインクが自動に混ざり希望の色を作り出してくれるらしい。

そこまでの物を作るにはしばらくかかるだろう。今は、五色刷りができそうな物を作ることになった。

執務室に戻るとアンタイルが彼女と話していた。

アンタイルからは、すでに一発腹にくらっている。

手加減無しだったから、一瞬息が止まったよ。

まあ、涙目になった彼女が手当てしてくれたから、それはそれで最高だったけど。

一年以内にどうにかしないと、彼女を連れ帰ると言われている。

一年も私が待てると思うのかい?

それほど気長ではないのだけど。

後で排除するのが手間だから、今は誰かが隣に立つのを阻止したいのだけどね。無理矢理引き摺り降ろすと彼女が嫌がるだろうし。

さて、どう動くべきか?

コンピューターというのは、そんなに便利な物なの?

数字を打ち込めば勝手に計算してくれる。

表やグラフも自動に作ってくれる。

えっ?プログラム?

プログラムというものがあって、それでコンピューターが動いている?

0と1の集まり?

イフ?もしも何々だったらという意味?

おあ?あんど?

プログラムというのは、とてつもなくややこしいものみたいだね。

しばらく手計算でいいよ。

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