表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/255

婚約者と正妃候補

彼女の作った資料が好評で教えを乞う者たちが現れた。

彼女が認められることはいいことだ。

彼女も喜んで教えている。

だが、王宮で働く文官はほとんど男性だ。そして、覚えようと向上心のあるのは下位の貴族令息が多い。

今日も執務室の一角で、彼女がグラフの元になる表を説明している。

()()()()に囲まれて。

素晴らしい異世界の知識を覚えるのはいいことた。私も異世界の学力がこれほど高いとは、思ってもいなかった。私も彼女に色々教えてもらっている。

だが、この状況は・・・、仕方がないと思っていても許せない。

うん、自分が狭量なのは分かっている。彼女に対しては、猫の額より狭い心しか持っていないことも自覚している。

彼女に近づくな!触れるな!話しかけるな!

心の中で毒気つきながら、あの中に入れるように私は急いで書類を片付ける。

「殿下、失礼します。」

また一個団体が来たよ。

執務室にゾロゾロと文官たちが入ってきた。

彼女と婚約を破棄して十日あまり。早い決定だ。いや、決まっていたのだから遅すぎたほうか?

勉強会は、今日は終了だ。若い文官たちは部屋の隅に移動している。

私はまた側に彼女を立たせた。

「殿下の正妃候補が決まりました。」

イレンデ伯爵だったな。確か中立派だったはずだ。

「そうか、ではその候補者に伝えてくれ。私には、唯一の伴侶がいる。名前だけの正妃でよければ嫁いでくるがよい、と。」

彼女の手を取る。もうすぐ指輪も出来てくるからね。

異世界では、婚姻の証に左手薬指につける。彼女を縛り付けられるのなら、なんでも真似をするよ。

「で、殿下。それはどういう意味で?」

イレンデ伯爵、確認したくなるのは分かるよ。

正妃の一番の仕事は、後継者を産むことだからね。

「ああ、私の妻は彼女だけだ。彼女しか愛さないし、愛せない。しかし、正妃や側妃になる者が哀れだから、私の子だと言わなければ好きにしてよい。誰の子を宿し育てようが。」

はっきり言っておかないと分からないだろう?

与えるのは、妃という名前だけだと。

「それと、妃が必要な行事以外は散財しなければ好きなことをして過ごせば良い。彼女は妃教育を終えている。立派に役目を果たせる。」

彼女がビクッとして、驚いた目をして私を見ている。

愛妾だから妃たちを立てるつもりで彼女はいただろうね。

うん、私も彼女に公務(しごと)はさせたくないけど、飾りの妃を伴って公務(しごと)するのも苦痛だから。特に舞踏会のダンスなんか。

「妃候補たちによく説明して、納得させておくれ。無理強いはさせず、辞することも許すように。」

彼女の細い指一本一本に口付けする。

立派な正妃候補がいたのに、婚姻まで決まっていたのに、破棄させたのはお前たちだ。

「で、式はいつ?それまでに皇族についても学ばすように。」

一応、帝国の皇位継承権を持っているからね。詳しく皇族にもしってもらっておかないと。

「で、でんか。お相手をお訊ねにならないのですか?」

恥ずかしがった彼女が手を抜こうとするから、反対に引っ張ってみる。男の力に勝てないよ。

彼女の上半身が近くに来たから、捕まえた。

もう彼女は、真っ赤になっている。

「イレンデ伯爵、私は、飾りに興味ない。だから、議会か()()()()()がどうでもいい。」

「ヒロト様!」

私の腕の中にすっぽり収まった彼女が抗議の声を上げている。

私の発言よりも捕まえたことに。

「シャル。お仕置きされたい?」

ブルンブルンと首を横に振る彼女に夜のお仕置きは決定する。

こんな可愛い姿を私以外に見せているのだよ。お仕置きは必要だ。

「話は終わりだ。」

「しかし・・・。」

食い下がろうとするイレンデ伯爵を無視して、広げてある書類に目を向ける。

彼女は、私の膝の上で小さくなっているよ

大人しくしていることにご褒美はあげないといけないね。

「ティアシャルドネ嬢は、学園のほうに行かれては。」

命の危険がなければ、そうしてるよ。

「護衛騎士フォスト、火傷は治ったかい?」

入口近くに立つ厳つい男に声をかける。

「や、やけど、など・・・。」

否定するが、咄嗟に右手を擦ったね。

「治療の記録を見たら分かることだ。治りにくかっただろう?それから、フォスト以下三名、使えない剣をいつまでぶら下げている?」

側にいた者がフォストの剣に触った。刃のない柄と鍔だけが床に転がった。

「ああ、それから、離宮に行ってみるがよい。マリークライスは、あの光に腕を焼かれて聖女になったようだから。聖人に認定されるかもしれないよ。」

何のことか分からないと首を傾げている者がほとんどだ。

たが、種は蒔いておかないと。

フォストは、マリークライスと同じ立場だが聖人には認定されない、させないだろう。

私の膝上で彼女の身体が震えている。

思い出させたね、ごめんね。

中庭で顔を隠した男たちに襲われて、怖い思いをさせてしまった。犯人は、処罰されるから。

「安全が保証されたのなら、学園に通わせる。今の状態なら、私と一緒でしか学園に通わせられない。」

にっこり笑ってイレンデ伯爵を見れば、顔色がみるみるうちに悪くなり脂汗まで流しているよ。

「分かりました。担当としっかり話し合います。」

そうしてくれる?

そして、とっとと全員出ていってくれ。

今から、私は休憩するのだから。夜の分を先取りしてもいいよね?

「シャル?」

彼女は、唇を尖らせて拗ねている。

「シャル。」

プイと顔を背けるのも可愛らしい。

執務室にある仮眠室で動けなくなるまで可愛がったのを怒ってる?

歩けないから部屋に戻るのに抱き上げてきたのも?

けどね、まだお仕置きは、終わってないのだよ。

今からが本番だから。

だーめ、逃がさないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ