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婚約者と平民の悲鳴

本編に関わりが深いので、短編ではなく連載に投稿しました。

隣で婚約者のエメリンが大喜びをしている。

お二人が去った後も跳び跳ねて、大はしゃぎだ。

僕、キャスター・ユインスキーは、エメリンになんて声をかけていいか分からなかった。

レオンクラウド殿下がイハヤタカ侯爵令嬢との婚約を破棄してすぐに求婚し承諾された。

とてもお目出度いことなのだけど・・・、祝えない僕がいた。

「やった!ティアシャルドネ様が王子妃に!」

はしゃぐエメリンに僕は小さく息を吐いた。

僕もこの祝事にやっぱり浮かれていたのだと思う。

後から思えば、家でちゃんと説明したら良かったのだから。

「エメリン。イハヤタカ侯爵令嬢は愛妾になられたんだ。」

飛び跳ねて喜んでいたエメリンが固まって、キョトンとした表情になったと思ったら、叫び声を上げた!

「えー、何それ!ウソでしょ?」

「嘘じゃない。愛妾にするためにレオンクラウド殿下は、一旦婚約を破棄された。」

貴族の婚姻は、ややこしい。婚姻誓約書を書いて終わりってわけにはいかない。王族となれば余計に。

「そんな!レオンクラウド殿下は、唯一人と言ってみえたじゃない!!」

だから、そんな大声を出すなよ。

レオンクラウド殿下も苦渋の決断だったと思う。

ティッオ殿下にも見られたじゃないか。

あぁ、こちらに歩いてみえる。

「本当だ。ティアシャルドネ嬢は、兄上の愛妾になった。」

「何故ですか?何故?」

エメリン、ティッオ殿下に詰め寄るな!不敬罪になったらどうするんだ!!

僕が悲鳴をあげたい。

「そうしないとティアシャルドネ嬢と一緒になれないからだ。議会は、兄上たちの婚約を解消し、彼女に処罰を与える予定だ。いや、今日か明日にそうなる予定だった。愛妾は、兄上の権限で自由に持てる。妃に上げるには議会の承認がいるが。」

ティッオ殿下の言葉にそこまでイハヤタカ侯爵令嬢の立場が悪くなっていたことにびっくりする。

彼女がレオンクラウド殿下の婚約者としての落ち度など見当たらない。強いて言えば、根も葉もない悪評ぐらいだ。

公表された乙女ゲームの話は間違いだらけで信じる気にもならなかった。この時期に発表されたのもイハヤタカ侯爵令嬢を陥れるため?と思っていたけど、そうだったみたいだ。

「処罰?ティアシャルドネ様は、ティア様は、何もしていないのに?」

エメリン、目立つことは止めよう。せっかくイハヤタカ侯爵令嬢が庇ってくれていたのを無駄にしてしまう。

あ、もう遅いのかな?盛大に祝福してたから。

「ティアシャルドネ嬢の馬車は、民から投石されている。兄上の婚約者として彼女が相応しくないと一部の民が行動を始めた証だと。議会は、それを重くみている。」

ティッオ殿下が、視線を床に落とされた。

分かっている、ティッオ殿下も議会がそうしむけたことを。

「そ、そんな・・・。」

エメリンは、絶句していた。

僕もショックだ。これからの未来に。

王宮で面会する最近のレオンクラウド殿下は、店一番の護衛が嫌がるほどの殺伐とした雰囲気を出してみえた。ほんとに雰囲気だけで人が殺せるんじゃないかと思えるくらい怖い。特にマリークライス様が関わった後は。

「兄上は、ティアシャルドネ嬢を手放す気はない。だから、愛妾にされた。唯一人の妻であり、()()に。」

確かレオンクラウド殿下の"伴侶"には、特別な意味があったはず。

「ティアシャルドネ様は、何も悪くないのに。」

エメリン、泣くのはいいけど静かに泣こう。

もうこれ以上目立っても仕方がないから、もうどうでもいいけど。

貴族から睨まれる立場になったことを実感しながら、ため息を吐く。明日から針のむしろかー。

「聖女様の邪魔をしているじゃない。」

口を挟んできたのは、ナオプール伯爵令嬢だ。

ラーシナカ家の分家であるナオプール伯爵家。令嬢は、マリークライス様の筆頭取り巻きだ。

選民意識が高く、平民は貴族の奴隷だと本気で思っていそうなヤツ。商売の取引さえなければ近づきたくない種類の人間。

「聖女様がレオンクラウド殿下の妃になり、お子をお産みになるのよ。」

エメリン、怒りたい気持ちは分かるけど、ナオプール伯爵令嬢にを叩こうとするんじゃない。

こういうタイプは、一を十で騒ぐから質が悪すぎるから。

羽交い締めにして、僕はエメリンの動きを必死に止めた。

「それは無理だ。兄上は、ティアシャルドネ嬢を唯一の伴侶とした。今後、誰が兄上の妃になろうが、ティアシャルドネ嬢でない者が産んだ子供は、兄上の子と認められない。」

エメリン、声に出したら恥ずかしから。それも嬉々として。

年頃の、ましてや未婚の女性が口にするようなコトではないから。

「それって、ねや・・・。」

「私たちはこれで失礼させていただきます。」

僕は慌てて、エメリンの声に被せて発言した。

エメリンの口を塞ぐ。

女の子が閨なんて使わないでほしい。

婚約者の僕も恥ずかしい。

そのまま、そそくさとその場を辞した。

どうなっているのか、情報集めなきゃあ。

国外脱出も視野に入れるけと・・・。

エメリンのために、レオンクラウド殿下とイハヤタカ侯爵令嬢の力になれるよう動かなければ。

じゃないとエメリンに殺されてしまう!!

「エメリン、機嫌を直して。」

馬車を家に向かって走らせる。

「ねぇ、私たちに何ができるかしら?」

エメリンがボソッと言った。

まず情報収集と同時に現状把握だね。

で、情報操作で、イハヤタカ侯爵令嬢の悪評を払拭する。

骨が折れるけど、出来る。

たぶん、レオンクラウド殿下もしているから。

「キャスター、動いてくれる?」

いや、動かないと煩いだろ。

エメリンが勝手に動くと、余計手間になるからねー。

「出来るだけするよ。エメリンは、何をする?」

エメリンがにっこり笑った。

「私は投石した者を探すわ。きっと羽振りが良くなったはずだから。」

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