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婚約者と二つの家(捕捉)

ラーシナカ家とイハヤカタ家の確執の話です。

資料を読んでいる形なので、真面目な殿下です。



7月17日20時に『婚約者と議会』を投稿します。

私は、色褪せた紙束を手に取った。

昔調べた資料だ。

イハヤカタ家とラーシナカ家、二家の間には深い確執がある。

その確執の理由を調べられるだけ調べた。


それには、残念男(エドヴォルド)の母親と彼女の母親イハヤカタ侯爵夫人が深く関係していた。

残念男(エドヴォルド)の母親は、イハヤカタ家の者であった。銀色の綺麗な髪をした美しい女性だったと聞いている。

魔力はイハヤカタ家の中でも弱いほうだったが、それでも普通の者よりは強かったらしい。

だから、目を付けられた。拐われ、魔力封じの魔道具を付けられ、閉じ込められた。そして人知れず男の子を生んでいた。

イハヤカタ家が必死に探したが所在は見付からなかった。

ラーシナカ家を疑ったが、王家に次ぐ権力を持つラーシナカ家は簡単に調べさせなかった。

消息が分かったのは、残念男(エドヴォルド)の存在だった。

強すぎる魔力は、魔力封じでは押さえられず暴走した。

雇った魔術師たちも役に立たず、ラーシナカ家はイハヤカタ家を頼った最悪の形で。ラーシナカ家は、残念男(エドヴォルド)を失うことが()()()()()()()()()

イハヤカタ侯爵夫人は、長い間父親の分からない私生児とされていた。淡い金髪で緑の瞳のラーシナカ家の者とよく似た顔立ちをしていた。

侯爵夫人の母親は裕福な子爵令嬢だった。ラーシナカ家に行儀見習いを兼ね侍女として勤めていた。ある夜会の後に悪酔いした嫡男に襲われ子供を身籠った。

ラーシナカ家がそれを認めることはせず、男漁りをしていた淫乱な女として子爵令嬢は貴族会から抹殺された。実家の子爵家も瞬く間に没落し、母方の家族の元で失意の中、子供を産み落とし亡くなった。

侯爵夫人は母方の祖父母に大切に育てられ、魔術学校で現在のイハヤカタ侯爵と知り合った。

そして、恋に落ち結婚した。

侯爵夫人の祖父母から話を聞いていたイハヤカタ家は、ラーシナカ家から距離を取って接していたが、寝耳に水のことが起こった。

突然、ラーシナカ家は侯爵夫人をラーシナカ家の庶子と認め、叔母として残念男(エドヴォルド)を預かるように要請した。

要請というより強要だったらしい。血の繋がりがあるのだから応えるのか当たり前だと。

イハヤカタ家は理不尽な要請に憤慨したが、コントロールできない魔力で死にそうになっている残念男(エドヴォルド)のために承諾した。

だが、その時にイハヤカタ家は残念男(エドヴォルド)の母親を救出することは出来なかった。

ラーシナカ家の横暴は、これだけでは済まなかった。

残念男(エドヴォルド)の魔力か落ち着き、士官学校入学とともにラーシナカ家に連れ去ってしまった。イハヤカタ家に何も言わずに。

あろうことか、我が子と同じように残念男(エドヴォルド)を育てたイハヤカタ侯爵夫人を侮辱にした。男遊びの激しかった侯爵夫人の母親がたまたまラーシナカ家の子を身籠っただけだと、死者を冒涜し、侯爵夫人を蔑んだ。

だから彼女(ぜんせもち)の子供など生んだのだと。

そして、イハヤカタ家との繋がりなど無いように振る舞い続けた。

いくら温厚なイハヤカタ家でもすぐにラーシナカ家に絶縁を申し立て、それが今にも至っている。

ラーシナカ家はイハヤカタ家を敵対視し、何かあれば蹴落とそうとしていたが、予想もしていなかった事態が起こった。

私の婚約者選びだ。

必ず選ばれると思っていたラーシナカ家のマリークライスではなく、ほとんど人前に出てこなかったイハヤカタ家のティアシャルドネ(かのじょ)を私は婚約者に選んだ。

ラーシナカ家はさぞ困惑し激怒したことだろう。

ラーシナカの血を引く者を王にというのは悲願としていたために。


ラーシナカ家の祖は、先々代国王の兄になる。公爵家を賜り臣になったが、王になれたかなれなかったは正妃か側妃の子かの違いだけだったらしい。血深泥の王位争いにならなかったのは、王兄が潔く身を退いたからだ。

先代はラーシナカ家に娘が生まれず、当代は私の母がいるため側妃にしかなれなかった。

だから、ラーシナカ家は次代にと強い望みをかけていた。正妃と同じ歳の娘を授かることが出来、王への道は出来たと信じていた。

だが、選ばれたのは・・・

ラーシナカ家が汚らわしいとしている前世持ちの者。

ラーシナカ家の血を引いていてもそれを公言出来ぬ者。

ラーシナカ家で強い魔力を持つ残念男(エドヴォルド)と同じ青い銀髪と青い瞳を持ち、強い繋がりを感じさせる者。

そして、王位の近くに立つことを邪魔する者。

彼女の存在は、ラーシナカ家では許すことのできない者となっている。

彼女のために諦めようと何度も思った。

それでも、彼女が狙われるのが分かっていても彼女しか欲しくなかった。

どうしても諦められなかった。

だから、強くなるしかなかった。

力を手に入れるしかなかった。

彼女と幸せになるために。

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