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婚約者と雪花祭り(前)

聖女編です。


乙女ゲームの騒動から暫く経った。

異母弟(ティッオ)たちと婚約者たちは、長い話し合いの末、大半が元サヤに戻った。

異母弟(ティッオ)は、婚約を解消した。

未熟な自分が婚約者を持つのは早すぎたと理由つけて。

実際は、婚約者のナオプール伯爵令嬢が、元シャリーブロン子爵令嬢(ヒロイン)にしていた嫌がらせを全て私の婚約者の罪にしていたことが原因だった。

自分で探すのもいいだろう。異母弟(ティッオ)の相手は、側妃か決めたから。

いい子ほど売れるのが早いから頑張れと心の中でエールだけ送っておく。

事後処理とかはあったが、今のところ平穏な日々が続いていた。

とうとう初雪が降った。

今日は冬の到来を告げる雪花(せっか)祭りが開催される。

雪花祭りの後、十日すると学園は冬の休みに入る。

また彼女に会いにくい日々が始まる。

対策を考えなくては。

私は、王宮の庭の祭り会場で彼女を探していた。

アンタイルが側にいるはずだから大丈夫だと思うが、何も無いところで転ぶ彼女だから安心は出来ない。

次々と運ばれてくる食べ物にフラフラと行っている可能性もある。

アンタイルにも社交があるからね、ずっと見張ってはいられない。

案の定、デザートビュッフェのほうに引き寄せられるように歩く彼女を見つけた。

「シャル。」

私は、お皿を取る前の彼女を捕まえる。

まだ食べるには早い時間だよ。

ほら、ほとんど並んでいないよ。

拗ねた顔も可愛いけど、挨拶が終わってないしね。

食べるのはもう少し我慢しようね。

彼女をエスコートして、人々の間を蝶のように動く。

あっちへ行っては談笑し、こっちへ来ては挨拶だけで。

一通りしないとね、一応王子だから。

やっと、彼女お待ちかねのデザートタイムになった。

「シャル、どれがいい?」

「レオン様、上の白いクリームのとすぐ下のピンクのジャムのは食べたいです。」

彼女指定のと好きそうな物を適当に取って、布で仕切られただけの個室に入る。

「はい、シャル。」

一口大にフォークで切って、彼女の口に運ぶ。

「レオン様、自分で食べられます。」

そんな訴えるような目をするのなら、今すぐ私室に連れ込むよ。

「私がこうしたいのだよ。」

会えるときは、とことん愛でたいじゃないか。

そんな目をするのも可愛いよ、すぐに食べてしまいたいくらい。

「ほら、口を開けて。」

可愛いな。食べたい誘惑に負けて口を開ける彼女も。

時間が許す限り、私が色々してあげるよ。

けど、食べ過ぎは気を付けようね。今日のドレスは、お腹の形がはっきり分かってしまうから。

私は、あのポコっと出ているのも可愛くて好きなのだけど煩い人たちが沢山きているからね。

「レオンクラウド殿下。」

護衛が呼んでいる。急用かな?多分、余分な用事だ。

「シャル、大人しく待っていて。ついでにまだ食べていないデザート取ってくるから。」

新しいデザートと聞いて目がキラキラ輝いているよ。

私がいなくなることは寂しく思ってくれないのかい?

護衛の一人に彼女を任せて私は文官の後ろをついていった。

「これはこれは、レオンクラウド殿下。我が娘に会いにきて下さるとは。」

レミマウボクヨ伯爵が指輪まみれの指を組みながら、下衆な笑みで迎えてくれた。

「急用だと聞いたが?」

個室の中には、レミマウボクヨ伯爵とその令嬢の二人だけ。

令嬢は、私を見て頬を赤く染め、恥ずかしそうに笑みを浮かべている。

レミマウボクヨ伯爵は、異母弟(ティッオ)の母親の一番の取り巻きだ。

「娘を選んでいただきありがとうございます。ではでは、邪魔者は消えますので。」

二人だけにして噂を立てるということか。

彼女との婚約は解消出来なくても側妃は狙える。

「いや、いい機会だ。伯爵に是非聞いていただきたいことがある。」

私は、違う出口から出ようとしたレミマウボクヨ伯爵を止めた。

出で行こうとした護衛も留まるように指示をする。

護衛が出ていくために開いたドアは開いたままだ。

「レミマウボクヨ領の小麦の収穫量と税収が合わないのだが?」

「その話はまた後で。」

レミマウボクヨ伯爵は、護衛にドアを閉めるように目配せしているが、私が風で止めている。

「それに商人を狙った盗賊が頻繁に出没しているようだが?」

「討伐隊を結成し対処しておりますが、なにぶん人数も多く手強いもので。」

「おや、私の報告書では、盗賊の中にレミマウボクヨ領の上位兵の顔があったと。」

レミマウボクヨ伯爵の笑みが引き摺ったものに変わった。

令嬢もただの見合いの席で無くなったことに気が付いたのだろう。顔色を無くし、震えている。

どうでもいいけどね。

「民からの嘆願書も色々届いている。また後でゆっくり説明してもらおうか。」

今日はお祭りだから、警備以外兵を動かしたくなかったのに仕方がないなー。

入ってくる衛兵たちと入れ替りで、私はその部屋を後にした。

ねぇ、前を見て歩かないと危ないよ。

いくら私がエスコートしているからといって。

デザートは逃げないから。

大丈夫だよ。

ぼら、また前を見ていたのに躓いて。

うん、ちゃんと出来たら食べていいから。

もう少しで終わるこら。

私も食べたいデザートがあるのだけど。

毎日食べたいデザートだよ。

とても甘くて柔らかくて可愛い私だけのデザート。

寝室に来てくれる?

そうしたら、今すぐ食べてあげる。


彼女、デザート好きの女です。

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