閑話 婚約者と七夕祭り
七夕用に書いてみました。
夏の休みに入る直前の話です。
7月7日20時に30話『婚約者と悩める者たち』を投稿してます。
私は笹とやらが手に入らないから、手頃な細い木で彼女が書いた絵を手がかりに笹擬きを作っていた。
公務が忙しくて準備が全く出来てなかった。
「エドヴォルト!色紙は切れたか?」
「殿下、もう少しお待ちください。」
残念男に短冊なるものを作らせている。
色のついた紙を長方形に切るだけの簡単な作業だ。
「殿下、提灯ができました。」
彼女が色紙で作った見たこともない形を見せてくれた。
「ちょうちん?」
「はい、異世界の昔のランプです。蝋燭を中に入れて夜間外に出掛ける時の明かりにしたのとよく似た形をしているので。」
蝋燭を変わった紙の筒の中に入れて?危なくないかい?
「はい、蝋燭が倒れて燃えてしまうこともあったらしいですよ。これは、吹流しです。」
″ふきながし″も変わった形をしているね。
「一年に一度だけしか会えないなんて変わった話だね。」
彼女から七夕の話を聞いた。
運命の相手に会って夢中になってしまったのも分かる気はする。
会えなくされたら、うん、衰弱するかな。蜜月が素晴らしかったらその分余計に。
けど、一年に一度、それも晴れた日にしか会えないなんて。
発狂しそうだね、私なら。
たぶん、無理矢理会いに行ってすぐに拐って逃げているよ。
一年に一度なんて耐えきれない。一日会えないだけで辛いのに。
雨の日でも会えるって?曇りや雨は、地上から会っているのを見られないように照れ隠し?
うん、分かる。可愛い彼女は独り占めしたい。
イチャつくところを見世物にしたくない。
にしても異世界は面白い。
星と星を繋いで物語の登場人物にしたり、物の形にしたり。
星々に色々な話がついている。
国によって話も違う。
こちらでは、星は星というだけだ。
笹擬きはこれでいいかな?
飾り付けをして短冊に願いを書こう。
空に近い部分に短冊をつけるほど、願いが読んで貰えるだね?
あれ、私とのことは短冊に書いてもらえないのかな。
食べたい物ばかり書いてあるよ。
また食べ物は準備しておくから。
まあ、私が彼女とのことはたっぷり書いておくよ。
子供は、男の子は二人に女の子は三人、最低欲しいかな。
ドレス代はかかるけど、彼女によく似た女の子は絶対に欲しい。
見た目は私に似てもいいけど、中身の私似はいらないよね?
計算して、異世界の七夕の日はちょうど今日。
二人でゆっくり星を見よう。侍女と護衛がいるけど。
異世界のように星と星を繋いでみて、私たちだけの星座を作ろう。
「願いは幾つまで?」
彼女は、口元に指を置いて考えている。
その仕草も可愛いね。
「制限はなかったと思います。毎年のことなのですぐに叶えたい願いごとが多い?」
えっ、子供の数とか未来のコト書いてしまったよ。
まあいいか、叶えるはずの願いだから。
神頼みしたい願いは、これかな?
『彼女を早く妻に出来ますように』
今すぐ一緒に朝を迎えたい。




