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婚約者と悩める者たち

真面目な話です。

その日は、それから何もなかった。

″守る会″からも追加の情報は届いていない。

ただ、シャリーブロン子爵令嬢が異世界の前世持ちだと確定した。

私の目の前には、消沈した異母弟(ティッオ)と赤・黄・(あお)三人(しんごうき)が座っていた。

傷心ではない。消沈だ。沈みきって消えそうになっている。

私は彼らに呼び出され、異母弟(ティッオ)の部屋に来ていた。

「あにうえ。」

生気のない声で話しかけてくる。

「なんだ?」

かれこれ十分以上この状態だ。次の言葉が異母弟(ティッオ)から出てこない。

スマラタ(かのじょ)は・・・。」

やっと出てきた。長い葛藤があったようだが、私は暇で暇で仕方がなかったよ。

「前世持ちだ。乙女ゲームを知っている異世界の。」

はっきり言って欲しかったのだろ。なのにそんな傷付いた顔をしなくても。だから消沈までしていたのだろ。

「なぜ、そう、おも、われ、ます?」

黄が動揺を露にして聞いてきた。

「分からないか?」

本当は分かりたくないだけではないか?

「まず、私の婚約者を違う者と思っていた。」

「それは、ただの勘違いでは?」

赤が聞いてくるが、違うと思っていたことが問題だと気づかないのかい?

「婚約して、五年になるのに?私の婚約者が、異世界の前世持ちだというのは有名な話だ。」

赤が俯いた。これも簡単に知り得る情報だ。

私の婚約者の前世(ちしき)で新しい魔道具を作っているのは、他国にも知れ渡っている。

だから、彼女を欲しがっている国があることも。

渡さないからね、彼女は私のモノだから。

「ティッオとシャルの関係を知らなかった。仲の良い従兄弟と思っていた。」

「それは、マリークライス様と間違えたのでは?」

黄は、自分でも可笑しいと思っているのだろう。視線を游がせ言いにくそうにしている。

あんな性悪女と間違えるとは失礼だね。

彼女は人を陥れようとしない。とても優しい人だ。

「どう間違えたと?学園の者に尋ねたら簡単に分かることなのに。」

そう、学園の者に聞いたら、異母弟(ティッオ)がどれだけ彼女に失礼な態度をとっているか分かる。

話をしない、目を合わせない、彼女が触った所は消毒しなければ触らない、その他色々。

()()が終わったら、絞めてやるとは思っていたけどね。

「前世持ちを″転生者″といった。そんな言葉を使ったのは、ワナタミ王妃(ルミでんか)だけだ。」

異母弟(ティッオ)三人(しんごうき)が、はっとした顔になる。決定的な言葉だとは思ってもいなかったのだろう。

「シャリーブロン子爵令嬢は、よく″可笑しい″、″間違っている″と言っているが、私には、ゲームの内容と″同じじゃない″、″違う″と言っているように思える。」

異母弟(ティッオ)三人(しんごうき)は反論したいが、言葉が見つからないといった顔をしている。ショックなのだろう。

「それに、教室についても自分は努力せずに上級になるのが当たり前と思っている。その根拠は?」

足りない学力をどうにかしようとせはず、そうなることは()()だと騒いでいる。

「ゲームのヒロインは、恐らく努力して上級になっていたのだろう。ゲームの世界だと思い込んでいるヒロインは、努力をしなくてもゲーム通りに進んでいくと思っている。だから、ゲーム通りに進まない。」

愚かなことだ。ゲームでは、一気に数時間、数日、または数年過ぎることがあるらしい。ゲーム内の登場人物たちは、毎日一生懸命生き努力して、遊び手(プレイヤー)の選択肢通りに成長した姿で現れる。

ヒロインは勘違いしている。ゲームで描かれなかった頑張っている姿を見ていないから、選択肢さえ間違えなければゲーム通りに(そうなって)当たり前だと。

「私が一番気になるのは、いつから前世を思い出していたか、だ。」

シャリーブロン領は貧乏だった。だから、医師が領内に十分にいなかった。

「幼い頃に思い出していたのなら、母親が死ぬのも阻止できたかもしれない。」

ヒロインの母親は医者にかかることが出来たら助かっていた。

シャリーブロン領に鉱山があるのを知っていたのに教えていなかったとしたら?

ゲーム通りに進めるために母親を見殺しにしたことになる。

母親が死ななければ、シャリーブロン子爵に引き取られていなかった。

まあ、鉱山が今頃は廃山になっているかもしれないが。

「ま、まさか・・・。」

異母弟(ティッオ)三人(しんごうき)の誰かがそう呟いた。が、遊び(ゲーム)の世界だと思い込んでいるのなら、()()()()話だと思う。その通りにしないとゲームの話から変わってしまうから。

「ゲームの設定通りに進めるために必要なら、()()()()だろう。」

ゲームと少しでも違うと″可笑しい″、″間違っている″と言っているなら。

沈痛な顔をした異母弟(ティッオ)三人(しんごうき)をそのままに、私は部屋を出た。

後は、彼らで答えを出さなければならない。

愚か者たちをどう料理しよう?

さんざん彼女が異世界の前世持ちと嫌っていたのに同じ異世界の前世持ちに引っ掛かって。

まあ、ヒロインは私の彼女より格段に下の前世持ちだけどね。

私も異母弟を利用していた。

異母弟が彼女を嫌悪してくれていたから、彼女に悪い虫が付きにくかった。

私の婚約者とはいえ、王族に嫌われている者に近づく者は少ない。

貴族のトップであった元ラーシナカ公爵家からも彼女は嫌われていたから余計に学園で彼女に近づく者はいなかった。

虫除けはタップリしておかないと。

あんなに魅力的溢れる彼女なのだから、本当は心配でたまらない。

教室も一緒で接点が多い異母弟が彼女を嫌っていて良かったよ。

恋敵は少ないほうがいい。

だから、異母弟をどう罰しようと悩んでいる。

虫除け効果が無くなったら、私が困る。

番犬として今から調教する?


7月7日21時に閑話として、七夕の話を投稿します。

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