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婚約者と教室

もう少しで授業も終わる。

私は彼女を迎えに行くことにした。

少しでも早く会いたいじゃないか。

少しでも長く一緒にいたい。

なら、廊下で授業が終わるのを待ち伏せが一番だろう。

彼女の教室のほうが騒がしい。

何か問題でも起こったのか?

教室に入ると、件のシャリーブロン子爵令嬢が床に座っていた。

何故、シャリーブロン子爵令嬢がここに?教室が違うはずなのに?

「殿下・・・。」

私に気がついた教師が声をかけてくる。

「どうしたのだ?」

子爵令嬢の真っ正面には、数人の女性と驚いた表情をした彼女が立っている。

「イハヤタカ侯爵令嬢が・・・。」

砂糖菓子のような甘い声がした。シャリーブロン子爵令嬢の声だ。あまりの甘さで鳥肌がたちそうだ。

「まだ、授業中のはずだ。他の教室の者が、何故、ここにいる?」

私の問いに視線が異母弟(ティッオ)に集まった。

「スマラタが、シャリーブロン子爵令嬢が、見学したいと言ったから。」

もう名前を呼ぶような仲になっているのか。

異母弟(ティッオ)は、ヒロインにもう落ちているのかもしれない。

「シャリーブロン子爵令嬢は、自分の教室で授業を受けるべきだと思うが?」

「可笑しいです!私も貴族です。」

甘い声で叫ばれる。気持ちが悪くなるなら、シャリーブロン子爵令嬢はなるべく口を挟まないでくれ。

「何が可笑しい?この教室で学べる学力があるなら、異議を受けよう。」

学園の教室分けは学力だ。成績が良くなければ、王族でも下級の教室で授業を受けなければならない。

「この教室は、全科目A以上の成績がある者しかいない。隣の教室はB以上だ。」

A以上というと特Aしかないのだけどね。

シャリーブロン子爵令嬢は、確かB未満一番下の教室だったはず。

その教室は、生徒のほとんどが平民だ。

「だって、この教室は、貴族ばかりで・・・。」

だから、何?学力だと言ったはずだ。

高位貴族になればなるほど下級の教室で学ぶことは恥となる。入学前にしっかり勉強してくるに決まっているじゃないか!

「それは、しっかり学習しているからだ。それに、貴族ではない優秀な者もこの教室にいる。」

そう、キャスター・ノインスキーの婚約者のようにね。

貴族、平民隔てなく()()に学力で決まる。

「この教室に入りたかったら、次の試験でA以上の成績を出せばいい。」

私は、彼女の側に向かった。

昼の休憩時間になる。早く二人きりになれるところに行こう。

侍女と護衛はいるけどね。

「可笑しいです。平等じゃないです。」

意味が分からない。

平等過ぎるほど、平等だろう。

学力主義なのだから。

「何故、平民がこの教室にいて、貴族の私が最下級の教室なのですか?」

ワナミタ王妃が言っていた通りだ。

ヒロインには、何故か()()が通じない。

特に乙女ゲームの知識を持った者は、ゲーム通りにのなるのが当たり前と違い(げんじつ)を認めない。

素直なヒロインなら理解して、実力不足を補う努力をするはずだ。

「彼女たちにその実力があるからだ。学力に合わせて授業内容も変わる。だから、学力に合った教室で授業を受けなければならない。シャリーブロン子爵令嬢、あなたの編入試験の結果で授業を受ける教室が決まった。納得がいかないのなら、次の試験で結果を出すことだ。」

私は、教室から彼女を連れ出そうとした。

今からは楽しいランチタイムだ。

私のデザートはちゃんとあげるからね。

「けど、ティッオ様たちが・・・。」

乙女ゲーム通りにヒロインを優遇しようとしたのかな?

それは、認められないよ。

特例は、そう簡単に作ってはいけない。

「実力で、だ。学力の合わない教室で授業を受けても恥をかくだけだ。恥をかきたいにしても教室に学力の合わない者がいると授業の邪魔になる。」

私は、異母弟(ティッオ)たちの方を見た。

異母弟(ティッオ)は視線を反らしたが、取り巻きたちは私を睨んでいるか、シャリーブロン子爵令嬢を憐れみの目で見つめている。睨むのは不敬罪にとるよ。

「スマラタ、行こう。」

異母弟(ティッオ)がシャリーブロン子爵令嬢を立たせて、連れ去っていった。取り巻きたちも後についていった。

賢明な判断ともいえるが、授業を(たぶん)台無しにしたことはどうするのだろうね。

「ティッオが、迷惑をかけたようだ。()()()を招きいれるなどと。」

教師は恐縮していたが、分かっているだろうか?

今後、異母弟(ティッオ)の命であっても相応しくない者を授業に加えるなと言われたことに。

特権の乱用を許してはいけない。

「皆さま、お騒がせいたしました。」

彼女が優雅に頭を下げる。

たぶんじゃなく絶対に彼女に非などない。

本来なら頭を下げる必要のあるのは、もうこの教室から出ていってしまっている。

言葉が通じない相手には、どうしたらいいんだろうね?

頭の痛い問題になりそうだ。

「昼の休みだ。みんなゆっくり休んでくれ。」

私はやっと彼女を部屋に()()()()()

「シャル、この肉のソース、美味しいよ。」

私はフォークに刺した肉にソースを絡み付ける。

彼女の口元に持っていくと、ジト目でにらまれるが、彼女は口を開いて食べてくれる。

ソースが落ちたら、ちゃんと綺麗にしてあげるのに。

アーン

と言ったら怒るね。

本当はそうやって食べさせたいのに。

我慢しているんだよ、沢山。


殿下は、もっと我慢しなければいけないと思います。

7月4日に短編『婚約者とヒロイン誕生』を投稿します。

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