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婚約者と秘密の会(前)

ヒロイン編、始まりです。

よろしくお願いします。

議会は、ワタミタ王妃の告白を重くみた。

それはそうだ。

乙女ゲームとやらの舞台がこの国なら、ヒロインというワケの分からない女性に国を無茶苦茶にされる可能性があるのだから。

ただ、この国を舞台としたゲームは存在し、すでに始まっていることを彼らは知らない。

私の可愛い彼女は呼び出され、異世界(ぜんせ)について聞かれている。

それを知った私も同席しているが、これは質問というより誘尋問だ。

彼女に、異世界(ゲーム)の知識により第一王子(わたし)を誘惑したと言わせたいのかい?

彼女は乙女ゲームを知らないと言っているのに。

もし乙女ゲームを知っていてもこの国が舞台のモノとは限らないのに。

「つまり(けい)たちは、私が誘惑されたと?」

ビクリと、前に座る二人が肩を震わせる。

「シャル、行こう。」

不愉快で堪らない。

せっかく彼女といい雰囲気になってきたのに、私の苦労をどうしてくれる。

私は彼女を立たせた。

「で、殿下。どちらへ?」

「学園に来ているのだ。教室に戻るに決まっているだろう。」

取調室と化した学園長室から彼女を連れ出す。

「レオン様・・・。」

そんな不安そうな声を出さないで。

不安を取り除きたくなって、空き部屋に連れ込みたくなるじゃないか。

我慢しているのだからね、これでも。

もしかしたら、強制力が働いているのかもしれない。

ワタミタ王妃はゲームの私の婚約者は違う人物だと言っていた。

ゲーム通りにするために彼らは、見えない力に動かされているのかもしれない。

現に第二王子(ティッオ)の回りをウロチョロしている平民出の子爵令嬢に誰も何もいわない。

「シャル、大好きだよ。」

うん、可愛い反応だ。

立ち止まって赤くなった彼女の手をそっと握る。

顔を上げた彼女の頬に唇を落とすと、私は一歩踏み出した。

「レオン様!」

怒った顔も可愛い。

私は、今、可愛い婚約者を愛でているだけだよ。

ワタミタ王妃は、ヒロインが異世界の前世持ちでなければ、大きなことにはならないだろうと言っていた。

王族や高位貴族の婚約破棄という騒動は起きるが、国を揺るがすような大惨事までにはいたらないと。

公衆の面前での婚約破棄は品位を疑うし、政略結婚が壊れることによる余波が大問題だと思うが、それは今は置いておこう。

ヒロインの基本設定は、出来すぎたほど″善人″らしい。

まあ、『善良な悪』とワタミタ王妃は言っていたが。

天真爛漫、優しい、素直、純真無垢、打たれ強い、前向き、無邪気、何事にも一生懸命、行動力のある、・・・。

聖人君子かい?と言いたくなるね。又は、善悪の区別がつかない子供とも。

どんな風に育ったらそんな性格になるのかと、尊敬の念は抱いてしまうかもしれない。

だが、ヒロインは、『善良な悪』、″悪″なんだ。

ヒロインは、貴族社会を理解しようとせず、心のままに行動し、悪意なく人を傷つけ続ける。

ヒロインは優しい人のはずなのに、婚約者を奪われる者の気持ちを考えない、奪っている自覚もない。

確かに″悪″だ。

「シャル、迎えにくるよ。」

彼女の教室の前で、抱き締めて優しく言う。

真っ赤になって耐えている彼女も可愛い。

見せつけておかなくては、彼女は私のモノだと。

隠れファンがいることは分かっているからね。

押さえていた元公爵令嬢(マリークライス)がいなくなったからと動き出したらやっかいだ。

「兄上。」

異母弟(ティッオ)が白い目で見てくるか、そんなの気にしない。

「ティッオ、私の()()()()()()を頼むよ。」

嫌味が通じるだろうか?異母弟(ティッオ)とその取り巻きに。

最近、そこにいる子爵令嬢とばかりいて、婚約者に何もしていないだろう?

私は、大切にしてるよ。

彼女を怒らせてしまうくらい大切に、ね。

名残惜しく彼女から離れ、自分の教室に向かう。

彼女の教室の一角から妙な熱気を感じたが、害は無そうだったのですてておくことにした。

教室に戻り席に着くと、一人の生徒か近付いてきた。

「お願いします!!」

ゴン

私の机に一枚の紙を置いて、頭を机にぶつけそうな勢いで下げて脱兎のごとく席に戻っていく。

いや、頭を机にぶつけたね、凄くいい音がしていたから。

あの者は、確か・・・、スデケヌマ子爵愚息を殺し損ねた平民のキャスター・ユインスキーだ。

私は目の前の紙を見た。

嘆願書?

女性の字だ。キャスターは、誰かに頼まれてようだ。

私はざっと目を通しながら、口角が上がるのを抑えられなかった。

教師がきたから、後でゆっくり読ませてもらおう。

楽しいことが起こりそうだ。

学園長室は、歴代の学園長の肖像画で壁が埋め尽くされている。

幾つもの目で見られているようだ。

彼女は、幽霊とか嫌いなのだよ?

それを分かっているかい?

光の加減で、目が光って見えたりしてるじゃないか!

彼女が、肖像画を見ないようにしているよ。

怖いんだね。

大丈夫、私がついているからね。

さあ、早くこんな部屋から出よう。

でね、今度、二人きりでこの部屋に来よう。

夜がいいかな?ベッドがないから、夜はダメだね。

ずっと抱き締めているから、怖くないよ。


接触するためなら手段は選びません。

利用できるモノは、何でも利用します。

お読みいただき、ありがとうございますm(__)m

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