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婚約者と行方不明

19時に『閑話 婚約者とお月見』を投稿済みです。

キャスターがいる生活は、今日で十日目になった。

その間に三度もキャスターは狙われた。こんな使い勝手の悪い千年樹の蜜を欲しがるなんて物好きだと思うが、私が保護している者を狙うなど身の程を思い知らせなければならないね。それが他国の者でも。

私の部屋に入ってきたキャスターに声をかける。

キャスターは私の部屋と続きの従者たちが控える部屋()で寝起きをしている。隣接させたほうが警備がしやすいからだ。

「おはよう。」

「お、おはようございます。」

うん、擬音は相変わらず健在だ。

頭を下げる仕草に立付けの悪い扉が開くような音が聞こえそうだよ。

その挙動不審な動きは何処からくるのかな?

面白いから、原因は探らないでおこう。

もうそろそろ花守りたちがどうなっているのか報告がくる頃だ。

杞憂で終わっていたら良いのだが。

「殿下、ご報告が。」

ああ、当たってしまったようだ。

キャスターも一緒に聞かせたほうが良いだろう。

「殿下、ユインスキー殿と花守り様を乗せた馬車が襲撃されました。」

やはり。

「何処でだ?」

「王都郊外のビナダ川近くで。」

「分かった。至急、手配を。」

キャスターは、ガックリと肩を落としている。

予めこの可能性は、キャスターに言ってあった。

先に花守りを手入れ後でキャスターを狙う者が出てくると。

キャスターでは千年樹の蜜をどうにも出来ない。ただ持っているだけだ。

花守りなら、千年樹の蜜をどうにか出来る可能性がある。高級香水にしたり、あのグロテスクな効果を有効に使えるように出来たり。

「エメリン、無茶してないだろうな。」

キャスターの呟きに思わず苦笑してしまう。

キャスターの婚約者(エメリンじょう)は、花守りたちと一緒に行方不明になってしまった。

キャスターの父親ユインスキー氏はあの日、王宮を出て一度自宅に寄った。ちょうど、キャスターの家に来ていたエメリン嬢は、ユインスキー氏に付いて行ってしまったらしい。

ちょうど学園が春休みになり、花守りに会いたいからと。

馬車が行方不明になり動けない婚約者(キャスター)の代わりにエメリン嬢が動くと思っていた私は大きく予想を外した。

この場合、斜め上の動きというべきだろうか?

「婆様も大人しく・・・、してないな。」

キャスターのため息は重い。

ユインスキー家の女性はどうやら女傑ばかりのようだ。

花守りの娘であるキャスターの母親に保護のために王宮に来るよう使いを出したら、隣国に鉱石の買い付けに出た後だった。

いつも何処にと場所を告げず、フラりと出かけるらしい。

何故、隣国に行ったと分かったかというと国境までの街道沿いでキャスターの母親が要所要所の警備隊に犯罪者を届けに寄っていたからだ。

「まだ、母さんがいないからマシかな?」

二人の女性が起こしているかもしれない騒動に頭を悩ませているキャスターだが、父親の心配はしないのかい?

「あの人、危険回避が凄く上手なので。だから、母と一緒にいられるというか・・・。ほんとにあの母といてよく無傷だなと感心するくらい避けれる人なので。」

キャスター、その言い方だと君の母親はとても危険な人のように聞こえるよ。

さておき、こちらも出かける準備をしなければいけない。

フェルプスにチラリと見ると頷いて部屋を出ていく。

「キャスター、エメリン嬢は″守る会″のブローチをいつも着けているかい?」

私は、彼女の魔道具を順番に作動させる。

誰が狙っているか分からないからね。対策はしっかりしておかないと。

「は、はい。あれはエメリンの必須アイテムなので。」

必須アイテム?ただのブローチなのだが。いや、ただのブローチではないか。

「キャスター、お姫様たちを迎えに行こうか。」

私の声にやはりキャスターは、ギィーと音が聞こえそうな動きで立ち上がった。

ユインスキー氏が花守りを迎えに出た時点から、花守りの誘拐の可能性を考え色々調べていた。誘拐を企てられる人物は絞られている。ほとんどがラーシナカ家縁の者たちだ。

ラーシナカ家が力を持ちすぎたのには理由がある。

本来ならば正妃になるはずだったラーシナカ家の娘ソーリマ。神帝の予見により私の母が正妃になってしまった。

先王は、ソーリマを側妃にしてしまう負い目から重役にラーシナカ家縁の者を何人も起用した。それがラーシナカ家に大きな力を与えることになってしまっていた。

当主であるラーシナカ公爵家が力を失ってもその回りの者たちの力は健在であり、もう一度返り咲くことを望んでいた。

いつも彼女をおいて部屋を出るのが辛い。

彼女が言っていたね、ネコ型ロボットがモノの大きさを変えられる機械を持っていたと。

それがあれば、私もキャスターのようにロケットペンダントに彼女を閉じ込めて肌見放さず身につけているのに。

大人しくしていてね。

悪さをする者には容赦しなくていいから。

いつも後ろ髪を引かれながら、部屋を出る。

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