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水中

教授は俺の家から電車で10分ほどの近所に住んでいた

割と広めの2階建ての一軒家だ

俺はチャイムを鳴らした

一応、菓子を持参して

「入ってくれ」

インターホンから声がし、俺は中に通された

出迎えてくれたのは50歳半ばと思われる、教授本人だ

「あ、つまらないものですが」

そう言って俺は菓子を手渡す

「はっは、別に構わないよ それより、入ってくれ 早く話がしたい」

俺はリビングに通され、ソファに腰かけた

教授も向かいの椅子に座る

「地下世界の件で、君は私の代わりに実際に行動に移してくれる、間違いないね?」

どうやら教授は体力的に、自分が探索するのは難しいと思い、他の協力してくれる人間を探していたようだ

「ええ、その通りです 僕は冒険者としてのキャリアがほしくて、今まで誰も挑戦してこなかったことをやりたいと思いました そこで教授のブログを拝見して、ぜひやりたいと思いました」

教授は、

「そうか! 私も君のような人を探していたんだ 体力があって、冒険家を志す若者 今回の探索にうってつけの人材だ」

といった

「では、具体的な方法を説明しよう」

といって、奥の部屋に入っていった

何をとってくるのかと思ったら、へんちくりんな宇宙服みたいなものを着込んでやってきた

「これは、私が開発した半永久的に水中に潜れるスーツ、魚クンだ」

魚クン?ギョギョギョのアレか

「この服は2つのボンベと装置からなっている 片方のボンベには酸素、片方には二酸化炭素が入るようになっている このボンベはつながっていて、中央についてるこの装置で二酸化炭素を酸素に変換することができる これによって、循環し、半永久的に水中に潜れるというわけだ」

と説明した

ネーミングはあれだが、これはすごいぞ、と思った

「これを着て、新宿ヒルズ内を散策してもらいたい」

俺はこの服を着て、近くの市民プールで実際の動作訓練を行うことになった


かなり周りの目線が気になるが、俺は水中での動き方をマスターした

足にはスクリューがついていて、それが推進力になる

俺はとなりを泳いでる小学生を悠々と追い越していった

また、間接にモーターがついていて、重いものを持つ際、アシストもしてくれる

教授はこれを開発するのに1億以上の財をなげうったらしい

ってか一企業並みの開発力と資金力だな、とあきれた


使い方をマスターし、1週間後、いよいよ新宿湖に向かった

教授の車で、かつて新宿のあったところまで向かう

車で国道を走り、およそ1時間

新宿湖についた

俺たちは魚クンを運び、湖のすぐそばまで運んだ

それに着替え、水中に入る

ザブーン、という音とともに、俺は水中に潜っていった

目の前のスクリーンに教授の顔が映し出される

「スクリューで湖の底まで向かってくれ」

と指示をうけ、俺はスクリューをオンにし、視界の悪い湖をひたすら下へと潜っていった


そこについて、周りを見渡す

「何もありませんね、建物の瓦礫くらいしか見えません」

「そこからまっすぐ20メーター進んでくれ」

「了解」

ギューンとスクリューを回し、進む

すると、視界の向こうに何かが見えた

「あれは……」

一本のアンテナ 

それが地面から突き出ていて、根元には建物の頭が見えた

あれがおそらく、

「新宿ヒルズタワーの頭頂部」

俺と教授はハモった


「よし、侵入できそうなところを探してくれ」

と言われ、俺は近づいて、建物のガラスを覗き込んだ

予想通り、地下に続く空間がある

俺は間接のモーターを回し、ガラスに向かってパンチを繰り出した

そのパンチは水中でも勢いを得て、ガラスを砕いた

俺は割れたガラスの穴を、体が入れるくらいの大きさまで広げた

そして、下方向に広がる空間に出る

どうやらもともとは展望台だったみたいだ

望遠鏡なんかが何台かおきに設置させている

俺は床面まで行こうとスクリューを回した

その時だった

背後からグンという何かが動く気配を感じ、チラと後ろを見た

「そんな!」

背後に迫っていたのはサメであった

しかも、なかなかに巨大である

こちらに向かってくる

サメの泳ぎとこちらの動き、比べるまでもなく相手が早い

俺はとっさにボンベを外し、構えた

相手は歯をむき出しにしながら向かってくる

そして、ガキイイインという金属音

ボンベに相手の歯が見事に食い込んだ

「く……」

しょっぱなからボンベを失うとは

酸素のメモリが一気に0になる

やばい、と思った

地上に引き返すべきか

ボンベなしでは10分ともたない


だがその時、あるものが目の前に映り、ひらめいてしまった

扉が開いたままのエレベーター、そしてカゴがこのフロアにある

おそらく、地盤沈下があった際、救助を求めるために、この建物の一番上に避難してきたままの状態なのだろう

うまくこの下のフロアに行くことができれば、エレベーターのワイヤーを伝って一気に下に降りることができる

教授の話では一番下は地下鉄と直結している

ということはそこそこの広さがあり、そこは浸水してない可能性がある

俺は冒険家として、それをひらめいておきながら、試さないわけにはいかなかった

俺はサメを振り切って下のフロアに向かった


キャビアの卵からかえったサメ ってことにしますか

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