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地下へのルート

俺の名前は猫山鳥男(25)だ

インディー・○ーンズにあこがれ、考古学を大学で学んだのはいいが、冒険家なんて職業は日本には存在しなかった

俺は卒業はしたものの、就職せずにずっと家にこもっていた

その日も部屋で○コニコ動画を見ていた

これは素人の放送できるサービスもあり、はっきり言ってテレビのバラエティなんかより面白い


素人の放送の項目を探していると、ふと気になるタイトルのものを見つけた

「地底世界から放送 冒険者求む」

というものだ

地底世界、冒険者、という男心くすぐるワードに、これは見なきゃ始まらねえ! という気持ちになり、さっそくその放送を見ることにした

すると、画面はノイズが入り、ひどいラグがある

どうも電波の状況が良くないらしい

俺はコメントをうってみた

「はじめまして」

すると、2,3秒して、相手からも反応がある

「はじめまして 冒険者の方ですか?」

俺は少し考え、

「ええ、駆け出しですが」

と答えた

「私は、地底世界に住むものです」

こういうノリか、と思い、それに付き合ってみることにした

「地底世界はどんなところですか?」

「季節も何もありません、私はここで生まれたので、地上に憧れます」

ずいぶん作りこんだ設定だな、と思ったが、ならとことん暴いてやる、といういたずら心に火が付き、質問攻めにした

「地底世界から地上には上がれないんですか?」

「一体そこには何人の人が住んでいるんですか?」

「何を食べ、何をして生活してるんですか?」


これらの質問に、相手はよどみなく答えた

「地上に近づこうにも、湖の水で阻まれて進めません」

「およそ1万人が生活しています」

「人工的な光でも育つ野菜を作っています」

といった具合である

俺はとうとう確信をつく質問をすることにした

「地底世界へはどうやって行けばいいのか?」

すると、返事がきた

「地下世界はかつて新宿に住んでいた人の生き残りで作られた第二の故郷です

新宿湖のビルから入り込み、地下へ進めるはずです こういった情報はかつて電波塔だった新宿ヒルズタワーを利用して手に入れました 情報提供者が地上にいるので、やり取りをしています しかし、実際に探索するものはまだ誰もいません もし、地底世界と地上のルートが開ければ、その第一人者は冒険家としての名誉を得ることになるでしょう」


その返事を聞き、俺は「これマジか?」

と思ってしまった

作り話にしてはできすぎている

一応、コミュニティに登録し、一旦放送を切った


翌日、事件が起こった

「鳥男! 就活する気ないんなら、今すぐ出て行ってもらうからね!」

うちのババアが怒号をあげた

いつものように放送を見ていたら突然部屋に入ってきてこの調子である

俺が家にこもり始めてからちょうど3年だった

ババア、数えてやがったのか

「うっせえな、俺は今やりたいことを探してるとこなんだよ」

「うそおっしゃい! 黙ってみてたけど、ずっとどうでもいい素人の放送ばっかみて バイトでもなんでもって思ってたけど、あんたを信じて3年待ったあたしが馬鹿だったよ!」

今日はいつになく怖え、マジでキレてるっぽい

だが、ここで働くと言えば、俺は敗北の2文字を背負うことになる

「うっせえ、バイトなんて気安めだろ いつか働かなきゃならないんなら、俺はやりたいことを見つけて、それで一生食ってくんだ」

ガッシャアンと机がひっくり返された

ババアがぶちぎれた

「あんた、そんなセリフは死にもの狂いで頑張ってる姿を見せてからいいなさい!」

「あーーーっ、俺のノーパソがああああ」

「こんなものっ」

バキイインとパソコンがへし折られた

そして俺は追い出された


「くっそ、あのババア」

俺はスマホと財布だけ取って家から出てきた

これを忘れたら終わりだ

あーあ、これからどうしよっかな、と思っていた時、ふと放送のことを思い出した

「ちょうどいい、やることもないし、地底世界とやらに、本気で行ってみるか」

俺はスマホで、新宿湖、地底世界、行き方

と検索をかけてみた

すると、一つのブログを発見した

それは、個人で運営してるブログで、管理人はどこかの大学で教授をしている人間とのことだ

ブログには、新宿湖から新宿ヒルズタワーに入り込み、そこから地下鉄に通じる道を行けば、地底世界に住む人間の作ったルートをたどることができるはず、と書かれていた

放送の内容と一致したため、どうやらこの人の推測はあてになるな、と思った

俺はブログのコメント欄に、

「はじめまして 地底世界探索を考えている冒険家の卵です もしよかったら一度お会いして、実際にルート開拓の手ほどきをお願いします ハンドルネーム トリネコ メールアドレス……」

と返事を書いてみた


その日はマンガ喫茶で、一晩を過ごした

そのうちババアの機嫌も直るだろう

それまでの遊びだ

と思っていた


することもないので、マンガ喫茶で○ンピースの580巻を読んでいると、携帯が鳴った

例の教授からであった

「是非、お会いしましょう 都合のいい時間があれば、連絡ください」

俺は、さっそく教授にアポをとった




放送している人の名前はneneさん 

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