1/1
出会い
いつだったのか。いつからだったのか。
なんて覚えても無いし、思い出せもしないけど。
決して消去される記憶された”モノ”なんて、存在しないんだって!
…………ねぇ、聞いているのかい?
あぁそうか。
今のキミに、昔のぼくは、いないんだね。
そう、そう、なんだね________椎名〈ヨクイ〉
「初めまして!俺の名前はヨクイ。翼に、人偏のついた衣で、翼依!よろしくね、慧くん」
そう言って彼は手を伸ばしてきた。ぼくは彼の眩しさに固まってしまった。何故笑えるのか分からず混乱したんだ。すると彼はぼくの冷たい手を包み込んだ、がぼく以上に冷たい手をしていた。
俯いていた顔を上げると、少し屈んで目線を合わせる彼の顔が近くにあって、心臓がどきっとした。
「慧くん。試しに俺の事、ヨクイって呼んでみようか」
「…………よ……く…ぃ」
か細い声だった。しかし彼は笑顔で
「ありがとう、嬉しいよ慧くん」
と笑ったのだった。また暖かい笑顔だった。




