絶望、そして始まり
僕は20歳になった。
ついにこの時がやってきた。
兄さんと共に戦場に立つ、この時が・・・。
僕はデン=ゼウシルト。
精霊の里に住む、普通の農家の人間だ。
でも、普通ではないのが一つある。
それは、体から「電気」のようなものが発する事があるということだ。
兄さんが軍隊に入隊してから、僕は兄さんの無事を、家の櫓から毎日祈っていた。
考えたくはないけど、兄さんがいなくなるのは嫌だから・・・。
いつものように祈っていた、そんなある雷の鳴る大雨の夜だった。
突然、僕の体に衝撃が走った。
それは一瞬で僕の体を裂くような、激痛を感じさせた。
僕はきっと、雷に撃たれて死んだ。
そう感じた・・・
・・・薄れてゆく意識の中・・・
『・・・ね・・・です・・・』
聞こえてくる声。
天使が僕を迎えに来てくれたのだろうか。
『おねがい・・・です・・・』
僕に・・・お願い?
天使じゃ・・・ない?
『おねがいです・・・どうか・・・私を・・・』
『私を・・・助けて・・・』
助ける・・・?
僕、瀕死なのに助ける事なんて・・・
『・・・です・・・な・・・で・・・』
あぁ・・・
意識・・・が・・・
ト・・・オ・・・ノク・・・・
・・・