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プロローグ
大昔、人間という種族は生まれていなかった。
世界は神や悪魔、精霊といった種族が多く住んでいた。
彼らは自分たちの住む世界を広げようと、争いを繰り返してきた。
争いは激化し、住処も戦禍を受けてしまった。
それは逃れられない運命だった。
天界、下界、里、神殿・・・
そして力を失っていく種族たち
全てが失いかけていた。
住処を広げるべく、皆が目に向けた大陸。
それが『グリア大陸』。
ただ一つ、大きく広がる大陸。
そこで生まれる『人間』という種族。
生きる力を失っていた種族たちは、そこに着目した。
人間の内を住処とする術を身につけ、生き延びる、と。
それに成功した種族たちは、人間の中で生き、繁殖し、死んでいく事を決めた。
それから幾年か経っていき、人間の中に種族が住んでいる者が増えてきた。
人間たちが創り出す世界、そこで繰り広げられる抗争、共に生きていく種族。
そこに飛び込む一人の少年。
はたして、少年の見る世界は、どのようなものだろうか―