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古き都の夢幻  作者: 雪代
6/7

05

序章が千歳と雪姫との出会い。一章が空亡退治。

じゃあ、4話以降は何と言うべきなのだろう?間章?




「誰が何目論んでても関係ないよ。どうせ僕たちのやることなんて変わらない」

 その結論に辿り着いてから僕たちは当初の予定通りに空亡討伐のために動き出した!!

「と、言えたら格好良かったのにね」

 全くだよ、とユキが疲れたような顔で応える。

「居場所も分からない相手どうやって倒せっていうの……?」

「まさか陰陽寮に何の資料も無いとは思わなかったよ……」

 天霊の中心にある朝廷の一角を陣取る巨大な屋敷。名を陰陽寮と言い、天霊どころか、日和にいる陰陽師の大半がここに属している。設立はおよそ1300年ほど前と言われており、妖怪への対処を目的として作られた帝直属の機関だ。

 主な役割は妖怪退治だが、傍らで妖怪たちの情報収集もやっている。この間の送り狼の例に洩れず、同じ種類の妖怪というものは多く存在し、それらはだいたい同じ対処法が有効であったりするから、そう言った情報を纏め上げ、資料として先人たちが後世に残したものがここには大量にある。

「けど……まさかここにも無いなんて」

 いやあるにはあったのだが、書かれていた内容は「妖怪空亡。黒い太陽とも呼ばれ、百鬼夜行の最後に現れるとされる妖怪。けれど、一度足りとてその姿を見たものはおらず、どんな容姿なのかも分かっていない。本当に存在するのかどうかも怪しい幻の妖怪」たったこれだけ。陰陽寮ですら確認の取れていない妖怪がいたことには驚いたが、父さんという例があるので、存在はすると僕は信じていた。

「正直、ここに期待してたんだけど…………手がかりすらないと無いとなると」

 正直、手詰まり気味だよ。

「まあ、予言が出た時に一度は調べられて、その上で空亡だって思われたんだよね。よくあれだけの資料で、空亡だって決め付けることができたね陰陽寮の人たちは。あたしの中では、予言に出てくる妖怪と空亡が同じであるということすら怪しくなってきたよ」

「…………こうなったら」

「こうなったら?」

「……父さんの足跡辿ってみたほうが早いかもしれない」

 僕の言葉に、なるほど、とユキが頷く。

「たしかに、千歳のお父さんは実際に件の予言を覆すほどのところまで確信に近づいたわけだし」

「けど父さんが一体どういう軌跡を辿ったのか……それが問題だよね」

「うーん、千歳のお父さんて一人で妖怪退治言ったわけじゃないよね?」

 ユキが投げかけたその言葉にハッとする。

「そうだ!全滅した、って言ってたんだから、複数人で行ったってことだよ」

 そして複数人が動いたということは……。

「必ず何かの痕跡が残る……ってことだね。人間一人でさえ痕跡を残さないっていうのはほぼ不可能に近いのに、それが複数となればね」

「後、父さんの遺品を捜してみるのもありかもしれない。何か手がかりを残してるかも」

 四年前は呆然としていて親族に任していたので、今どこにあるのかすら知らないが。

「ならそれを最初にしようか。今から千歳の家に行くにはちょっと遅いし、また明日で良い?」

「学校があるのが面倒だよね……放課後じゃあ、時間が少ないし」

 けれど、辞める心算つもりは無いけどね。学校に通うのは僕の日常の一部なのだから。

「じゃあ、今日探してみるよ。もし見つけたら僕の家……は人が多くてダメだね。それに、あまり家にはいたくないし。学校もあまり良くないし……どうしよう?」

 さて、困ったね。いっそ、拠点みたいなのでもあればなあ、と考えていると、何気無くユキが呟く。

「じゃあ……あたしの家に来る?」

 数秒思考が止まる。そして動きだした脳で考えてみる。

「いつもどこからとも無く現れてたけど……家があるの?」

 最近は自身の神気を感じ取れるようになり、それに伴って他人の霊気などもはっきりと感じ取れるようになった。そして初めて知ったことだが、ユキには全くと言っていいほど霊気が無い、もう無いと言い切って良いほど微弱にしか。けれど、妖気も無い。そして神気も持っていない。霊気で強化しているわけでも無いのに、華奢な体のどこからあの強さがどこから出てくるのか、不思議でしかないのだが、とにかくユキは人間だ。

 だったら、当然戸籍があって、そこに家もあるはず。天霊の情勢で、家の無い人間など見たことが無い。当然の話なのではあるが、何故かユキとそう言った日常的なものが結びつかないのは、初めて出会った時の印象が強く焼きついているからだろうか?

「……じゃあ、ユキの家で頼むよ」

「うん、分かったよ…………楽しみにしててよ」

 そう言ったユキが悪戯っぽく笑う。いつもなら輝いているように思えるその笑顔は、今日はなんだか黒く濁っているような気がした。






 夜の朝廷。その最奥。日和が頂点、帝だけが入ることを許された深奥の部屋。

 そこに座る一人の男……当然のことながら、言うまでも無く、日和が頂点、天皇日霊。

 暗い部屋の中で、帝の周囲だけが蝋燭に照らされていた。

「…………そこに居るは誰ぞ?」

 沈黙を切裂き、帝が声を発する。周囲の人間全てをひれ伏せさせる絶対的な威圧を持った声。

 けれど、そこにいた人物は、何事も無かったかのように、その姿を灯りの元に曝す。

「………………ふふ」

 それは少女だった。白い髪と煌々と紅く光る瞳を持った、小柄な少女。

 それを見た帝が眉を顰める。

「……主様でありますか……」

 そして、周囲の人間が聞いたら驚愕し、耳を疑うであろう言葉を発した。それもそうだろう、帝は日和が頂点にして絶対君主。その帝が相手に様付けをし、さらに敬意すら持って接したのだから。

「久しぶり……かな?」

「ええ……お久しゅう御座います……()()()。如何様なご用件で?」

「…………五年前現れたくだん、話を聞いた限りだと雄しか出て来ていないんだけど……雌はどこにいったのかな?」

「………………本日の用件はそれであらせられますか」

「そう、日霊なら知ってるんじゃない?雌の件が何て言ったのか。だから御門家に命じたんでしょ?」

 確信したような少女、鏡花の問いに、けれど帝は首を振った。

「……確かに五年前。雌の件は現れました。けれど、予言を口にするより早く、()()()()()()()

「闇?」

「そうとしか言いようの無い……存在を持たぬはずなのに、実体を持つ。あれは妖怪などと言う程度の物ではありませぬ。一瞬で現れ、件を包み、そして件と共に消えました」

 帝の言葉に、鏡花が考え込む。

「空亡…………またあの時みたいに」

おれは知りえませぬが……この間のものを見る限り、当時と合致する部分も多いことも事実」

「そう…………これはさすがというべきなのかな、それとも……彼でもダメだったのか」

 鏡花の呟きに、けれど帝は黙して答えなかった。それは鏡花の呟きが、問いではないことを知っていたから。

「鏡花様ご自身は、空亡という存在について如何ほどお知りで?」

「空亡……ね。アレは敵だ……私の……いや、私たち姉妹の最大の敵。遥かなる太古に姉様が命を賭して封じた化け物。そして1200年前に彼と私がその復活を妨げた悪夢……けどね。本当は1200年前の時点で殺せる機会はあった」

 その言葉に、帝が目を見開く。それは誰も見たことの無い、帝の動揺であった。

「けど、殺せなかった…………アレは裏界の法。存在を持たぬ存在。全ての妖怪の原点。放置すれば世界が滅びる。けれど、倒してしまえば世界の調和が崩れる」

「真厄介な……」

「本当にね…………だから私は転身の法の完成を急いだ。1200年、転身を繰り返しながらそれはようやく完成に近づいてきている」

「つまり、完成までの時間を稼げ……と?」

「頼めるかな?日霊」

 帝が目を閉じ、深々と頭を下げ。

「大妖老が一人……()()()()()の命とあらば」

 そして、誰かに聞かれたら、国家が転覆するほどの台詞を口にした。

「正確には、転身の法を自身にかけた時点で、もう私は大妖老とも言え無いんだけどね…………じゃあ、頼んだよ」

「畏まりました……」

 そうして帝を下げた頭を起す。


 そこにはもう誰もいなかった。


「……我らが偉大なる祖に、栄光を」


 一つ呟き……そしてまた目を閉じた。




大妖老

世界中に住み着く妖怪たちの中で一際強大な力を持つものを「大妖」と言い、さらにその中でも最も古く、そして最も強力な力を持つものたちを「大妖老」と呼ぶ。大妖老は全部で五体おり、実は全員天霊の地に住み着いている。

(チート勢ども。どいつもこいつも性能が狂ってる)


前半は前回の続きだけど、後半は意味が分からないだろうなあ。

若干空亡についてネタばらし。


感想とか感想とか、感想とか待ってます。

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