01
一次創作の新しいの始めました。
東方の二次創作で色々妖怪とかについて調べるうちにこれらの設定使って一次創作作れんじゃね?と思って書いてしまった作品。
亀更新になると思いますがご容赦ください。
綺麗だな、って……初めて彼女を見た時、そう思った。
「ようこそ…………私の領域へ」
悪戯っ子のように笑う彼女はとても輝いていて、僕は無意識に唾を飲み込む。
街中の街灯がやけに眩しくて、心臓の破裂しそうな鼓動を感じ、つう、と一滴の汗が流れる。
電柱の頂上に腰掛けた彼女の髪を風が揺らす。くすぐったそうに目を閉じるその姿に目が奪われる。
思考が空回りして、纏らない。聞きたいことも言いたいこともたくさんあったはずなのに、彼女がこちらを見て笑いかけたら、一瞬にして思考が吹き飛んだ。
自身が死に掛けていたことも忘れて。
自身を死へと誘っていたモノを至極あっさりと殺した頭上の彼女、そんな事実すら忘れて彼女だけに視線を奪われていた。
どうしようもないことに。
どうにもならないことに。
僕は一目見た瞬間から。
彼女に心を奪われたらしい。
「…………キミは……誰?」
呆然自失としながらも口からは言葉が突いて出る。
「あたしユキ。キミもそう呼んでね」
「…………ユ……キ……」
「天霊の都で夜遊びだなんて……キミも命知らずだね」
言われればそうだ……この都で夜に出歩くのは、化け物かそれを退治するものと決まっている。
けれど自分はそのどちらにも属さない……いや、属せない。
「キミ、自殺志願者?」
あながち間違ってもいないかもしれない。
「どうせ……家の内にも外にも、居場所なんてないんだ」
だったら……。
「あ~も~、くっらいな~! 決めた。キミ、私と友達になろう。とりあえず、名前は?」
紅い瞳の奥に、有無を言わさない何かを込めて彼女は僕を見つめる。
「僕は……僕は御門……千歳です」
止まった思考、けれど無意識的にでも聞かれたことに答えていた。
「そう、千歳……また明日ね」
その言葉の意味に、僕は気づけなくて……。
月が差し込む交差路で……いつからか、僕はそこに迷い込んでいて。
そして僕は…………
…………彼女と出合ったんだ。
「転校生を紹介する」
担任の言葉に顔を上げる。
一学期終りかけのこの次期に?という疑問に、クラスメートたちがざわつく。
教師の呼びかけに入ってきたのは一人の少女。白い髪をリボンで括り、紅い目をした……。
「どーも、あたしの名前は水月雪姫だよ。よろしくね」
快活に笑う彼女を見た瞬間、心臓が跳ね上がった。
「う……そ……」
紹介を終え、クラスの最後尾の席へと向かう彼女。そして、擦れ違った瞬間。
「よろしくね、千歳」
そんな言葉が聞こえた気がして、目を大きく開いた。
放課後、やることも無く、クラブにも入ってない自分はそのまま直帰する。
いつも通りのはずの帰路、その隣には何故か今日転校してきた彼女がいた。
「驚いた? ねえ、驚いた?」
楽しそうに聞いてくる彼女に驚いた、と言うとやった、と喜び跳ねる。
「そんなに楽しい?」
「楽しいよ。だって私、友達なんてキミが初めてだから」
意外な言葉に思わず立ち止まる。
「どうしたの?」
「今まで友達いなかったの?」
「そうだね、意外だった?」
「うん……すごく」
「そもそも私がこれまでいたところって人があんまりいなかったからね」
どこかの田舎からやってきたのだろうか?
何せここは日和の国が中心、天霊が都なのだから。
「ねえ、昨日から気になってたんだけど、御門ってアノ御門?」
ああ、やはり知っていたか、と嘆く。出来れば知らないで欲しかった、自分なんかを友達と言ってくれた彼女だから、知らないで欲しかった。
「…………うん、そうだよ。陰陽寮統括御門一族…………それが僕の家」
陰陽寮。魑魅魍魎が跋扈するこの天霊の都で少なくとも千年以上前から存在していた非科学を専門とする帝直属の組織。妖怪の楽園と呼ばれるこの天霊の都が日和の中心、首都としてこの地に根付いていられるのも、彼らの活躍があってこそだ。
そして、その陰陽寮の頂点、それが御門一族。ミカドと言う姓を名乗ることを帝直々に許された陰陽の大家。名門中の名門だ。
「へえ~すごいじゃん。じゃあ、妖怪退治とかしてるんだ。もしかして夜中出歩いてたのはそれ?」
「…………めて」
「一般人を妖怪から守る、正義のヒーローじゃん」
「止めて!!!」
「!?」
ふいに僕の出した大声に、彼女が驚き、目を丸くする。
「止めて……僕は…………ダメなんだ……僕は……」
御門千歳。
御門家の現当主。
それが、僕の肩書き。
そして…………天賦の才を持ち、近年で最強と言われた父親を持ちながら、一切の術が使えない一族の落ち零れ。
それが…………僕だった。
その後、彼女と別れて、家へと帰宅する。そしてそのまま街中を当てもなく彷徨う。
理由など分かりきっている、家にいたくないから。
陰陽師の大家に生まれながら陰陽師としての資質が一切無い自分に、居場所など無かった。
父が当主だった頃は家も纏っており、何もかもが上手く回っていたのに。
「…………空……亡……」
それが父が命を賭して調伏しようとし、破れた妖怪の名…………らしい。
実際に父が空亡と戦っている姿を誰一人として見ていない上に、見た人間は全てその時死んでいるので、本当に父がその妖怪に殺されたのかは不明。
ことの始まりは五年前、天霊の都の中央に座する宮廷に一匹の件が現れたことだった。
曰く「月が千度登りし後、世界は黒き太陽に覆われ、そして人の世は終わりを迎える」。
件は牛の体と人の頭を持つ妖怪だ。一部では神獣などとも呼ばれており、凶事が起きるとき、件は現れその凶事を予言し、そして死んでいく。そして件の予言は必ず未来に起きることである。故に朝廷は上から下への大騒ぎとなった。騒ぎの中一人冷静だった帝が陰陽寮にこの予言を解釈させた。そしてこの黒い太陽とは『空亡』という妖怪ではないだろうか、という話になったらしい。
妖怪空亡。黒い太陽とも呼ばれ、百鬼夜行の最後に現れるとされる妖怪。けれど、一度足りとてその姿を見たものはおらず、どんな容姿なのかも分かっていない。本当に存在するのかどうかも怪しい幻の妖怪。
そんな実在の確認すら取れていない妖怪の資料がなぜあるのか、そんな資料に信憑性があるのか怪しいものであったが、けれど黒い太陽と言う言葉は件の予言と合致する。
そして陰陽寮統括一族御門家の当主であった父がその調伏を命じられ、父は五年前から空亡の調査を始めた。因みにこの時僕の年齢は9歳。父がどんな重荷を背負っているのか、気づかずいつも通りに終るのだろうと、そう思っていた。
半年後、父とその仲間たちが行方不明となり、さらに半年後、父が死体となって都に帰ってきた。
そして、御門家当主は世襲制故に僕、御門千歳が御門家の当主を世襲した。
この時、まだ10歳。
「当主襲名、喜ばしきことである…………して、汝が父の果たせなかった役目、継いでくれるな?」
有無を言わせない威圧を伴って、御簾の向こう側の人物、天皇天日様が尋ねる。
御門は朝廷でも大きな権威を持つ天霊の守護者。それ故、当主が代われば帝へ挨拶にも行かなければならない。
そして出会ったのは、父を越えた化け物であった。
日和の頂点、天皇天日。天照大神の血族である皇族の頂点。彼に出会った他国の政府関係者は口を揃え必ず言う……私は神と出合った、と。
父の果たせなかった役目……つまり空亡の調伏。
それは、僕の役目となった。
タイトルが思い浮かばなくて頑張って書いたら厨二臭くなった……。一応タイトルも内容に基いてつけてるんですけど、やっぱ厨二臭いなあ。