決戦前夜――捧げられる心臓
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夜の荒野。星がぽつりぽつりと輝き、冷たい風が吹き抜けていた。
4人は焚火を囲み、静かに揺れる炎を見つめていた。
その中で、珍しく神妙な表情を浮かべたDCが口を開いた。
DC「みんな、ちょっと……聞いてほしいんだけど」
唐突な声に、カイが首をかしげる。
カイ「なんだ? いつになくしおらしいじゃねぇか」
リーディもにやりと笑って続けた。
リーディ「ほんとだ、DCがそんな顔するの珍しいよ」
だがDCは視線を炎に落としたまま、きっぱりと言った。
DC「……茶化さないで。冗談じゃないの。これは、本当に大事な話だから」
その声に、場の空気がぴりつく。
焚火の爆ぜる音だけが、しばしの沈黙を埋めた。
エリシアが小首をかしげ、不安げに問いかける。
エリシア「……大事な話って?」
DCは深く息を吸い込み、やがて口を開いた。
DC「実は——この前、天使教の男を倒したときにね。そいつの脳内の情報を少しだけ覗いたの」
カイ「脳内の情報?」
DC「そう。普通なら危険だから滅多にやらないけど……あの時はどうしても知りたかった。天使の心臓のことを」
炎に照らされたDCの横顔は、どこか影を帯びていた。
DC「……そこでわかったの。エリシアを天使の心臓から開放する方法」
一瞬で皆の表情が強張る。
リーディ「……方法が、あるの?」
エリシア「本当に……?」
DCは目を閉じ、言葉を選ぶように続けた。
DC「条件は2つ。ひとつは——“愛する者の心臓をささげること”。それは部位保持者でなくちゃならない」
焚火がぱちりと弾ける。
カイの瞳が細くなり、炎に照らされた横顔が険しくなる。
DC「そして、もうひとつ。心臓をささげた者は……次の“魔王の器”になる」
言葉を終えると、焚火の炎が風に揺れた。
長い沈黙。
エリシアは息をのむと、震える声で呟いた。
エリシア「……そんな……わ、私のせいで……」
絶句した彼女の手を、カイがそっと取った。
カイ「そっか……ありがとな、DC。言いにくいことなのに、ちゃんと話してくれて」
その声は不思議と軽く、しかし深い覚悟を含んでいた。
リーディは慌てて口を開く。
リーディ「で、でも! それってつまり……エリシアの心臓を治すためには、カイが……!」
カイは苦笑しながら肩をすくめた。
カイ「まぁ、そうなるかもな。でもな、わかっただけでも儲けもんだろ?」
カイは炎を見つめ、ぎゅっと拳を握った。
カイ「今はその先のことを悩んでる場合じゃねぇ。とりあえず——目の前の敵を倒すことを考えようぜ!」
エリシアは俯いたまま、唇を噛みしめる。
だがカイの明るい声に、ほんの少しだけ表情を和らげた。
リーディ「……カイの言う通りだね。悩むのは後でもいい。まずは生き延びなきゃ」
DCは目を細め、小さく笑った。
DC「まったく……無茶ばっかり。でも、だからこそ私たちのリーダーなんだろうね」
焚火の炎が高く揺らめき、夜空に火の粉を散らした。
決戦の前夜、彼らの胸にはそれぞれ重い想いが残りながらも、心はひとつに結ばれていた。
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