はじめてのおつかい
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次に訪れたのは商人の町「ヴァルマルク」。
露店がひしめき合い、荷馬車の行き交う活気に満ちた町である。
カイ「俺はギルドで資金を稼いでくる。エリシアは食料、DCは薬品の材料を」
エリシア「リーディにはお小遣いを渡すから、買い物をしてみなさい」
リーディ「やった! ボク一人で買い物!」
嬉々として町を歩くリーディに、一人の男が声をかけた。
男「お嬢ちゃん、この腕輪なんてどうだ? 大切な人への贈り物に」
リーディ「大切な人……エリシアにあげようかな! お小遣いもあるし!」
男「いい心がけだ。おまけにこのネックレスもつけてやるよ」
リーディ「ボクは男だ! ……でもくれるなら、もらっとくね!」
――しかし、その瞬間。
リーディ「うわっ……!」
電撃が体を走り抜ける。麻痺の呪いがかけられたネックレスだった。
男「残念でしたー! 金も品もいただきだ!」
すべてを奪われ、泣きそうな顔で宿に戻ったリーディ。
リーディ「ごめん、エリシア……全部、取られちゃった……」
カイ「チッ、ふざけやがって!」
エリシア「無事で帰ってきただけで十分よ」
その夜。
詐欺師のアジトで、男は仲間に笑い話をしていた。
男「こんなガキから楽に巻き上げてきたぜ!」
仲間「今時そんな手に引っかかるやついるのか?」
――その瞬間、窓が粉々に砕け、暴風が吹き荒れる。
気づけば、金も品も、全てが跡形もなく消えていた。
翌朝。
リーディが目を覚ますと、枕元には昨日の買い物袋と小遣いの残り、そして机の上には金貨の山。
リーディ「な、なんで……?」
一方その頃、宿屋の屋上。
DCは空を眺めながら、手のひらに一つの魔石を転がしていた。
DC「コソ泥のくせに、いい魔石持ってるじゃない。……これでベリーの借りはなしよ、子犬」
にやりと笑うその横顔は、朝焼けよりも紅く輝いていた。
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