禁忌の口を開く者
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雷鳴が絶え間なく落ちる山岳地帯。
稲光に照らされたその場で、レオニスがフィオラの亡骸を見て、低く呟いた。
レオニス『……フィオラ。お前はいい相棒だったよ』
その声は、悲哀に満ちているようで、同時に歪んだ熱を帯びていた。
レオニスは剣を掲げ、神聖な詠唱を紡ぐ。
レオニス『――転生魔法《天魂抱擁》』
白光が爆ぜる。
フィオラの亡骸から魂が抜け出し、流星のようにレオニスの右腕へ吸い込まれていく。
一瞬後――まばゆい光が弾け、彼の右腕はより洗練された純白の鎧と化した。
禍々しさすら纏う美。
レオニス『……さすがは“三部位持ち”の天使だ。よく馴染む』
その声音は、もはや戦士ではなく、怪物のものだった。
カイ「……あいつ、仲間を取り込みやがった……」
ジン「……天使教の転生魔術だ。部位持ちの魂を掛け合わせ、より強き天使を作り出す秘術……」
ジンは悔しげに唇を噛み、ちらりとエリシアに視線を送る。
ジン「見ての通り、魂を奪われた部位保持者は死ぬ。……次は、その女が狙われるだろう」
エリシアは小さく肩を震わせる。
リーディ「でも……どうしよう……あいつ、すごい魔力だよ……!」
そのとき、重い声が響いた。
ヴォルト「隙が無いわけでもない……。ならば、私が先陣を切ろう」
稲光を纏い、ヴォルトが駆け出す。
蹄が岩を砕き、黄金の双槍が走ると同時に、四方八方に無数の残像が広がった。
ヴォルト「――“雷槍閃牙”!!」
十を超える突きが同時に放たれる。
しかし――
レオニス『……流石に早い。四大悪魔と数えられるだけはある。だが――!』
彼の右腕が光に包まれ、天地を覆う光刃が放たれる。
レオニス『“光天裁断”!!』
轟音と共に閃光が走り、ヴォルトの残像を一掃する。
ヴォルト「くっ……!」
一撃をかわしつつも、たまらず後退するヴォルト。
追撃を阻むように、DCが両腕を広げた。
背後に浮かんだ魔法陣は幾重にも連なり、赤・青・紫と色を変えていく。
DC「……ッ、来させるわけないでしょ! “複合陣・連環”!」
光と闇、炎と氷、爆裂と束縛。
彼女の放つ無数の魔法が壁となり、レオニスの追撃を食い止める。
だがその額には汗が滴り、肩で息をしていた。
DC「はぁ、はぁ……これじゃ、さすがに……もたない……」
ちらりと横目で見るのは――腰に下げられた最後の部位。
漆黒の金属のような「悪魔の顎」。
カイ「DC、無理するな!」
リーディ「おい! それだけじゃ防ぎきれない!」
ジン「……くそっ、押し返せねぇ……!」
それぞれが追い詰められていく中で――
DCは唇を噛み、血をにじませた。
DC「……もう! どうなっても知らないから!!」
一気に腰の部位を掴み、己の顔に当てはめる。
漆黒の顎が肉に喰い込み、DCの口元が異形へと変貌していく。
魔力が渦巻き、嵐のように周囲を蹂躙した。
その中心に立つDCは、すでに“人間”の気配ではなかった。
DC「これはい「※#$””*&……」
無数の言葉を、一度に、重なり合うように吐き出す。
「ブリザ」「魔じ」「複数の」「@%」――意味を成さぬ断片が幾重にも重なり、天地そのものが震え始めた。
DCの周囲で空間が軋み、魔力が振動する。
石が割れ、大気が揺れ、天雷すらかき消される。
DC「サぁ……$#といこ””>@――!!」
その声は、呪いであり、命令であり、世界を塗り替える詠唱だった。
異様な光が彼女の体を包み込み、誰もが息を呑んだ。
カイ「……DC……お前……」
リーディ「嘘だ……」
ヴォルト「……これが……無詠唱の顎か……」
――そして、禁忌の口を開いた少女が、レオニスへと歩み出した。
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