共闘の刻
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焦げた岩肌に稲光が走り、風が荒れ狂う山岳地帯。
黒煙と光の奔流が交錯する戦場で、ひとりの青年がゆっくりと瞼を開けた。
ジン「……っ」
かすむ視界の先に、淡い金色の光があった。
自分の傷に光を注いでいた少女――エリシアだった。
エリシア「気が付いた!? よかった……! でも、ごめんね、あっちに戻るね!」
慌ただしく駆け出し、仲間のもとへ戻っていくエリシア。
その背中を、ジンは呆然と見送った。
ジン「……くっ……」
カイとリーディは顕現状態で雷鳴に抗い、DCは両足からあふれ出す膨大な魔力で網のように援護している。
そしてエリシアが再び光の魔力を展開した。
エリシア「ごめん! フォロー入るね!」
DC「彼は? もう大丈夫なの?」
エリシア「うん、平気!」
ジン「……」
心の奥で、苦い声がこだまする。
ジン(……あいつら、何度も俺に襲われて……命を狙われて……それでも……俺を助けた……)
砂利を踏みしめる足音が響く。
ザッ……ザッ……ザッ……。
歩み寄るジンに、DCが振り返った。
DC「?……悪いけど、あんたの相手してる余裕はないわ!」
彼女の背後には巨大な魔法陣。赤い魔力が螺旋を描き、空気が焼ける。
DC「天使教に負けたら、仲間が連れてかれる……今はそっちが最優先なのよ!」
ジンは立ち止まり、深く息を吐いた。
ジン「……俺はもう……お前らを襲わない」
そして翼も持たぬ体で、風を裂くように飛び立った。
雷鳴が轟く。
レオニス『終わりだ!――“聖域斬・光天断”!』
光の剣技が大地を割り、範囲ごと切り裂く閃光が仲間へ迫る。
カイ「やべぇ! リーディ!」
リーディ「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!」
――その瞬間、鋼を砕く衝撃音が響いた。
「ガキィィンッ!」
光の奔流を正面で止めたのは、ジンだった。
レオニス『!?』
ジンの瞳にはもう迷いはない。
ジン「……魔人化――“邪崩顕現”!」
その声と同時に、左腕の悪魔化が逆流するように肘から手首まで退いていく。
代わりに雷と闇が渦巻き、黒い稲妻が迸った。
ジン「喰らえ――“雷閃黒滅光”!!」
放たれた黒き光線は夜を裂く流星のように一直線に走り、レオニスの右腕を貫通。
さらに背後に控えていたフィオラの胸も撃ち抜いた。
レオニス『なにっ!? だがこれしきで――!』
フィオラ「……きゃっ……!」
二人の姿が同時に揺らぎ、光の羽が千切れるように散った。
レオニスは落ちゆく右腕から慌てて太陽剣を掴み取る。
落ちていく片腕と、意識を失って崩れ落ちるフィオラ。
ジンは歯を食いしばり、血の匂いを纏いながら吠える。
ジン「……一気に倒すぞ!」
カイは顎を引き、剣を構えた。
カイ「……とりあえず停戦ってことだな! まずは天使からやっちまおう!」
その背後、黒い雷雲のような影が歩み出る。
稲光を纏った蹄が大地を踏み砕き、黄金の双槍が振り下ろされる。
ヴォルト「……魔界の秩序のために……一時的に手を貸そう」
その言葉に、ジンは振り向き、鋭い視線をぶつける。
ジン「……!? ……信用できるのか?」
カイは肩で笑った。
カイ「ん? あぁ……たぶんな!」
互いに信じきれぬまま、しかし敵は同じ。
稲光と光の奔流の中、悪魔と人間と天使が、最悪の戦場で相まみえる。
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