東への道すがら
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数時間後。
イグニスが目を覚ますと、そこには腕を組んで仁王立ちするエリシアと、ばつの悪そうに頭を掻くカイの姿があった。
エリシア「模擬戦だったんでしょ!? どう考えてもやりすぎだよ!」
カイ「いや……俺のせいじゃないってわけでもないけど……俺のせいじゃないんだよ!」
エリシア「言い訳してる時点で怪しい!」
DCが涼しい顔で割り込む。
DC「でも実際、私たちが気づいて駆けつけなかったらイグニスは死んでたわよ? ヒーロー気取りはいいけどさ」
カイ「ぐっ……」
そこに、騒ぎを聞きつけた子供たちが駆け寄る。
ナディル「あ! 父さん! 気が付いた!?」
リリアナ「おとうさぁぁん!」
ドシン、と遠慮なく飛び乗ってくるリリアナに、イグニスは顔を歪めた。
イグニス「いででっ! わりいな、心配かけて……」
リーディ「よかった! 本当に気が付いて! 」
イグニスは豪快に笑いながらも、家族や仲間に囲まれ、ほっと胸を撫で下ろした。
――翌朝。
朝食を済ませた一行は、村の中央に集まっていた。
すでにイグニスは完全に回復しており、いつもの陽気な笑みを浮かべている。
イグニス「昨日は悪かったな! ま、いい稽古になっただろ? で、次はどこに行くんだ? 残ってんのは……東か」
カイ「東……。あの雷の悪魔のところか」
エリシア「カイ、顔怖い。睨んでもしょうがないでしょ」
DC「ふふん、あの馬ちゃんには吹っ飛ばされて身ぐるみはがされたんだもの。お返ししてやらないと気が済まないわ」
すると、どこからともなく楽しげな声。
シュリーデ「身ぐるみはがされたのはアンタがギャンブル弱すぎたからでしょ? ねぇ、ヒマワリちゃん♡」
DC「くっ……! あんたまでそれで呼ぶなぁ!」
カイとリーディは吹き出す。
カイ「ぷっ……ヒマワリちゃん……」
リーディ「かわいいじゃん、似合ってるよ?」
DC「うるさいッ!」
笑いに包まれる中、イグニスが真剣な顔を見せた。
イグニス「だがな、東へ行くならちょっと待て。ここから直接東に抜ける道はねぇ。山越えはできなくもねぇが、危険すぎる」
カイ「危険……?」
イグニス「あぁ。瘴気も濃いし、獣も魔物もごっそり巣くってる。素直に北の街に寄った方がいい」
エリシア「なるほどね……補給や情報も手に入るし、それがいいかも」
リーディ「北の街……ちょっと楽しみだな! 前に寄った町より大きい?」
シュリーデ「もちろんよ。魔界の北部は水の国。派手な街が多いの。あんたたちなら、面白いものたくさん見られるはずよ♡」
DC「ギャンブルはもう懲り懲り……と言いたいところだけど、新しい部位が賭けに出てたら全力でやるから」
カイ「こいつは……ほんと懲りないな」
イグニス「よし、決まりだな! まずは北の街へ行け! そして……あの馬面野郎に勝てるくらいに仕上げて来い!」
カイたちは頷き、荷を整え始めた。
笑いと軽口を交えながらも、東への決戦に向けて、一行の心は固く結ばれていた。
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