暴れ出す右腕
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夜の草原に、槍の影が閃いた。
イグニスの大槍は炎の尾を引き、容赦なくカイに迫る。
カイ「くっ……!」
必死に剣で受けるも、圧倒的な力に押し流される。
地面を転がり、草と土が舞い上がった。
イグニス「どうしたカイ! その程度か!? 本気を出せ! 悪魔の力を使え!」
その声は怒号というよりも、焚きつけるような咆哮だった。
カイ「悪魔の……力……?」
胸の奥がざわつき、躊躇が喉を締めつける。
そのとき、内から声が響いた。
羽「ヒヒヒ……ちょっと遊んでやれよ。どうせ師匠代わりのジジィだろ?」
左腕「この程度の雑魚に苦戦するとは情けない。剣士として恥を知りなさい」
右腕「…………」
カイ「黙れ……今は……」
イグニスはさらに挑発する。
イグニス「おい! カイ! 俺を舐めてんのか!? 全力を見せろ!」
焚き火のような声に呼応するかのように、羽と左腕がさらに囁く。
羽「ヒヒヒ……聞いたか? やれよ、やっちまえ!」
左腕「挑発に乗れないなら戦士じゃない。……見せろ、カイ」
そして、沈黙を保っていた右腕が、低く、恐ろしい声を漏らした。
右腕「……ブチ……殺すぞ、クソガキ」
カイ「!? やめろ……!」
だが右腕は勝手に動いた。
体を引っ張り、イグニスへと突進させる。
イグニス「来い!」
即座に槍を構え、防御に入る。
右腕「——倍加」
衝撃音。
イグニスの槍にヒビが走る。
右腕「倍加」
砕け散る槍の刃。
右腕「倍加ァ!!」
すれ違いざま、八度の斬撃が一瞬にして叩き込まれた。
鎧が砕け、血が舞い、草原に轟音が響く。
イグニス「ぐっ……はぁっ……!」
吐血し、膝をつくイグニス。
カイ「イグニス……!」
イグニスは口元を拭い、血に濡れた歯を見せて笑った。
イグニス「やっぱ……つえぇな……俺の見込んだ通りだぜ……」
その言葉を残し、豪快な巨躯が草原に倒れ伏した。
夜風が二人の間を吹き抜け、重苦しい沈黙が広がる。
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