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悪魔の左腕  作者: 770
83/149

暴れ出す右腕

(^^)/

夜の草原に、槍の影が閃いた。

イグニスの大槍は炎の尾を引き、容赦なくカイに迫る。


カイ「くっ……!」


必死に剣で受けるも、圧倒的な力に押し流される。

地面を転がり、草と土が舞い上がった。


イグニス「どうしたカイ! その程度か!? 本気を出せ! 悪魔の力を使え!」


その声は怒号というよりも、焚きつけるような咆哮だった。


カイ「悪魔の……力……?」

胸の奥がざわつき、躊躇が喉を締めつける。


そのとき、内から声が響いた。


羽「ヒヒヒ……ちょっと遊んでやれよ。どうせ師匠代わりのジジィだろ?」

左腕「この程度の雑魚に苦戦するとは情けない。剣士として恥を知りなさい」

右腕「…………」


カイ「黙れ……今は……」


イグニスはさらに挑発する。


イグニス「おい! カイ! 俺を舐めてんのか!? 全力を見せろ!」


焚き火のような声に呼応するかのように、羽と左腕がさらに囁く。


羽「ヒヒヒ……聞いたか? やれよ、やっちまえ!」

左腕「挑発に乗れないなら戦士じゃない。……見せろ、カイ」


そして、沈黙を保っていた右腕が、低く、恐ろしい声を漏らした。


右腕「……ブチ……殺すぞ、クソガキ」


カイ「!? やめろ……!」


だが右腕は勝手に動いた。

体を引っ張り、イグニスへと突進させる。


イグニス「来い!」

即座に槍を構え、防御に入る。


右腕「——倍加」


衝撃音。

イグニスの槍にヒビが走る。


右腕「倍加」


砕け散る槍の刃。


右腕「倍加ァ!!」


すれ違いざま、八度の斬撃が一瞬にして叩き込まれた。

鎧が砕け、血が舞い、草原に轟音が響く。


イグニス「ぐっ……はぁっ……!」

吐血し、膝をつくイグニス。


カイ「イグニス……!」


イグニスは口元を拭い、血に濡れた歯を見せて笑った。


イグニス「やっぱ……つえぇな……俺の見込んだ通りだぜ……」


その言葉を残し、豪快な巨躯が草原に倒れ伏した。


夜風が二人の間を吹き抜け、重苦しい沈黙が広がる。

(^^)/

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