血が騒ぐ夜
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月明かりに照らされた村のはずれ。
焚火の賑わいも遠ざかり、虫の声と風の音だけが響いていた。
カイは草の上に腰を下ろし、吐く息を夜空に向けた。
カイ「この村も……もうずいぶん長い間世話になってるなぁ」
背後から重い足音。
イグニス「よぉ、カイ」
カイ「ん? あぁ、イグニスか。……もう酒盛りは終わったのか?」
肩をすくめながら、横に腰を落とすイグニス。
その目は笑っていたが、奥に隠した炎がちらついている。
イグニス「あぁ。……それよりもだ。お前、ここに来て一年足らずだが、随分強くなったよな。最初は瘴気に酔ってフラフラしてるひよっこだったのにな!」
カイは鼻で笑い、背中を伸ばした。
カイ「ははっ、確かに。あの頃と比べりゃ、今は別人だな。イグニスには感謝してるよ」
イグニス「そうかそうか。なら……何かお礼でもしてもらおうかな」
カイ「なんでもするぜ? 困ったことでもあるのか?」
その一言に、イグニスの口元が獰猛に歪んだ。
イグニス「俺と戦ってくれるか? カイ」
一瞬、空気が凍る。
次の瞬間、ざわつく風が草原を揺らし、重苦しい魔力が溢れ出した。
カイ「えっ……どういう……」
イグニス「ここは村のはずれだ。みんなを巻き込む心配はねぇ。……全力でいける」
その身から立ち上る魔力は炎の竜巻のように夜を焦がす。
槍の穂先が月光を反射し、火花のように瞬いた。
カイ「まじかよ……!」
思わず距離をとるカイ。
心臓が高鳴り、背中の羽がざわめく。
イグニス「別にお前を殺したいわけじゃねぇ。だがな……血が騒ぐんだ! 強えぇやつを見ちまうとな!」
全身から溢れる闘志に、夜の草原が軋む。
イグニス「——行くぜぇッ!」
荒れ狂う炎の気配と共に、夜の模擬戦が幕を開けた。
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