光と死のはざま
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空間魔法の渦に飲み込まれたエリシアの視界が、闇に切り裂かれるように開けた。
次の瞬間、彼女の足元には黒い石畳。周囲は荒れ果てた戦場のようで、瘴気が川のように流れていた。
エリシア「……ここは……」
振り返ると、ずらりと並んだゾンビ騎士たち。
錆びた鎧をまとい、虚ろな眼窩から冷たい光を放つ彼らは、整然と剣を構えている。
その先頭に立っていたのは、漆黒の甲冑を纏う大男だった。
ヴァルター「我が名はヴァルター。ドミナス様に忠誠を誓う騎士にして屍の将。……光の小娘よ、ここがお前の墓場だ」
エリシアは一歩後ろへ下がる。心臓が速く打ち始めるのを自覚した。
エリシア「また物量で押してくるつもりね……でも、今さら怖じ気づいたりしない」
彼女は杖を掲げると、光の結晶がぱらぱらと宙に舞った。
エリシア「《ルクス・バリア》!」
光の障壁が展開し、迫り来るゾンビ騎士たちの剣を次々と弾き飛ばす。
だが次の瞬間、ヴァルターが低く号令をかけた。
ヴァルター「屍兵ども、再起せよ!」
倒れたはずのゾンビたちが骨を軋ませながら立ち上がる。
頭を砕かれても、胴を両断されても、再び剣を握り、進軍を止めない。
エリシア「そんな……きりがない!」
彼女は必死に光魔法を放つ。
エリシア「《ルクス・インパクト》!」
眩い閃光が炸裂し、数十体のゾンビをまとめて吹き飛ばした。
けれど、その後ろからさらに倍の数が歩みを進めてくる。
ヴァルター「光は美しい……だが、死は必ずその先にある」
ヴァルターの両腕が闇に包まれ、地面が黒い沼と化した。
そこからは無数の腕が伸び出し、エリシアを掴み取ろうと蠢く。
エリシア「きゃっ……!」
光の盾を展開しても、次々と絡みついてくる影の手に防御が削られていく。
さらにはヴァルター自身が闇を纏った大剣を振りかざし、盾を叩き割らんと迫る。
エリシア「……まずい……!」
頭では理解していた。光は闇を打ち消せる。けれど、数と執念に勝てない。
息が荒くなり、額に汗が滲む。
エリシア(心の声)「このままじゃ、押し切られる……!」
絶体絶命の瞬間。
彼女の胸元に下げられた黒い水晶のネックレスが、ひび割れる音を立てた。
ぱきん、と砕けた瞬間、漆黒の霧が溢れ出す。
それは瘴気のようでいて、どこか艶やかな冷たさを伴っていた。
エリシア「え……?」
その霧の中心から、長い蛇の髪を揺らし、艶やかな笑みを浮かべる女が現れる。
???「あらあら……なにこの数。女の子ひとりにこの物量? 男のくせに情けないわねぇ」
ヴァルターは驚愕し、大剣を構え直す。
ヴァルター「まさか……北の大悪魔……シュリーデ!」
その名が告げられた瞬間、エリシアの背筋に寒気が走った。
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