半年の果実
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さらに半年が経った。
荒野に瘴気がうねり、砂煙の中でリーディが笑っていた。
彼の両腕の悪魔の爪は肘まで浸食し、黒炎を纏いながら輝いている。
リーディ「はっはっは! カイエル、ナディル! 早く本気出しなよ!」
二人の少年は肩で息をし、頬を汗で濡らしていた。
カイエル「くっ……うっ!」
ナディル「ぐわぁ!」
二人同時に地面に膝をつくが、すぐに立ち上がる。
カイエル「……しょうがねぇな……行くぞ、ナディル!」
ナディル「う、うん!」
二人が同時に両腕を広げ、瘴気を一気に体へ取り込む。
カイエル・ナディル「——魔人化《獄焔顕現》!」
その瞬間、二人の体から黒い炎と蒼い雷光が同時にほとばしった。
空気が軋み、明らかに場の“圧”が増す。
カイ「……おいおい、あの瘴気の流し方……反則じゃね!?」
カイエル「うぉぉぉぉ!」
リーディ「うわぁ! やっぱ強烈!」
ナディル「いやぁぁぁぁぁ!」
リーディは押されながらも必死に黒炎を爪へと込める。
瘴気が荒れ狂い、爆音のような衝撃が辺りに響いた。
少し離れた丘の上でそれを眺めていたのはリリアナとDCだった。
リリアナ「……またやってる。ほんと飽きないのね、男子は」
DC「飽きないのはアンタも一緒でしょ。……でも、今回はどうかしら?」
DCの前には、いくつもの魔法陣が宙に浮かんでいた。
ただの複数展開ではない。全ての魔法陣が複雑に連結し、脈打つように輝いている。
リリアナ「すっごいきれいよ!DC! 私も!」
少女の目の前にも同じ規模の魔法陣が展開される。
DCはふふんと鼻で笑い、指をぱちんと鳴らした。
DC「見てなさい! ——焔花咲乱!!」
昼間だというのに、夜空の花火のような魔法が荒野に打ち上がる。
炎は一つ一つが大輪の花となり、鮮やかな轟音と共に弾けた。
リリアナ「きゃあっ! 本物の花火みたい!」
DC「ふふん! ただ派手なだけじゃないわよ。この規模の制御ができるのは、アタシだからこそ!」
村の一角ではアナスタシアがその花火を見上げていた。
彼女の腕には生まれたばかりの赤子——末娘アマラが抱かれている。
アナスタシア「……本当にすごい魔法。とても、きれいだわ」
エリシア「DCは……派手好きですからね」
二人は茶を飲みながら談笑していた。
彼女たちのすぐそばは瘴気が一切ない結界内。しかし結界の外、十メートル先には魔界屈指の瘴気溜まりが渦巻いている。
人間なら五秒も持たず、悪魔ですら酔い倒れるレベルだ。
やがて荒野にイグニスの豪快な声が響いた。
イグニス「よし! そこまでだ!」
彼は肩に槍を担ぎ、戦いを終えた子供たちとカイたちに視線を送る。
イグニス「だいぶ強くなったなリリアナ! カイエル! ナディル!
そしてカイ、リーディ、エリシア、ヒマワリ! お前らも……もう4大悪魔の補佐悪魔レベルだぜ!」
子供たちは歓声を上げ、カイたち三人も思わず顔を見合わせて笑った。
だが、一人だけ頬を引きつらせている者がいた。
DC「……その名前で呼ぶの、ほんっとやめなさいって言ってるでしょ!」
イグニスは悪びれもせず、にかっと笑った。
イグニス「親につけられた名前を隠すなんざおかしいだろ! 堂々としろ!」
DC「おかしいのはあんたのセンスよ!」
子供たちが笑い転げる中、イグニスは空を仰ぎ、真剣な表情に戻る。
イグニス「さて……お前らもここまで来りゃ、そろそろだな。次は4大悪魔様直々の修行だ! 楽しくやろうぜ!」
その言葉に、村全体が期待と緊張でざわめいた。
そしてカイたちの魔界修行は、次なる段階へと進もうとしていた。
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