瘴気を吸う者たち
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翌朝、イグニスはカイたちを村の外れへ連れていった。
そこは荒野でも森でもなく、黒い霧が地面から立ち上る奇妙な谷だった。
イグニス「ここだ。この谷は“瘴気の濃度”が濃い場所のひとつだ。魔界にはこういう場所が無数にある。
魔界で生き残るには、この瘴気を“武器”にしなきゃならねぇ」
カイは辺りを見回し、額に汗をにじませる。
カイ「……もう息苦しいな。吸い込んだだけで体が重い」
DCは口元を抑えながらも、目を細めて興味深そうに霧を観察した。
DC「ただの毒気じゃない……これは魔力そのものの濃縮体……。
あぁ、研究したい……けど、今は耐えるしかないか」
エリシアは胸に手を当て、小さく息を吐いた。
エリシア「……はぁ……はぁ……。なんだか、私だけ……余計に苦しい気がする」
イグニスはじっと彼女を見て、眉をひそめる。
イグニス「ふむ……お前の体には“光の核”があるな。なるほど、そいつが瘴気と相性悪ぃのか」
エリシア「……だから、吸い込みづらい……?」
イグニス「そうだ。だが、魔界で戦うなら避けて通れねぇ。慣れるしかない」
リーディは両手を握り、歯を食いしばった。
リーディ「うっ……くそ……体の中が焼けるみたいだ……!」
イグニスは豪快に笑いながらも、鋭い声で命じる。
イグニス「よし! 今日の課題は簡単だ。“瘴気を呼吸で体に取り込み、部位に流す”!
余計なことは考えるな。ひたすら吸って、ひたすら流せ!」
カイ「……やってやるよ!」
リーディ「ボクだって!」
DC「ふふ……どんな成果が出るか、楽しみね」
エリシア「はぁ……が、頑張る……!」
——しかし。
数時間後。
カイ「……ぜぇ、はぁ……もう……胸が……」
リーディ「がっ……はっ……体が……鉛みたい……!」
DC「ぐっ……! 頭痛が……でも……まだ……!」
エリシア「……ッ……もう……吸えない……」
全員が膝をつき、荒い息を繰り返す。
瘴気は魔力を増幅する代わりに、体力を削り、内臓を焼くような痛みを伴った。
イグニス「よし、今日はここまでだ! 慣れてねぇ人間にとっちゃ、これ以上は毒だ。
だがな——魔界じゃ毎日がこれだ。慣れろ。生き残りたきゃな!」
その夜、宿舎の布団に沈むカイたち。
カイ「……こんなに……苦しいもんかよ……」
リーディ「体の中が……ずっと火傷してるみたいだ……」
DC「ふふ……吐きそう……でも……魔力の循環が、確かに変わってきてる……」
エリシア「……あぁ……心臓が……重い……やっぱり、私だけ……」
それぞれが言葉少なに呻きながら、初日の修行を終えて眠りに落ちていった。
——魔界での過酷な日々は、まだ始まったばかりだった。
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