燃える父の怒り
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ドミナスが片腕を振り下ろすと、地鳴りと共にゾンビの軍勢が吠え声をあげた。
ドミナス「行け、ゴミ共!」
「うぉぉぉぉぉ!」
荒野を覆うように、無数のゾンビがイグニスたちへと突撃してくる。
イグニス「チッ……! ザック! サフィ! 行くぞ!」
バルザック「おう!」
サフィナ「はい!」
イグニスは槍を構え、大地を蹴った。
炎を纏うこともなく、ただ純粋に肉体だけの力で槍を突き出す。
イグニス「——紅蓮槍突!!」
閃光のような突きが走り、十数体のゾンビがまとめて粉砕される。
さらに風圧で後方のゾンビまでも薙ぎ払った。
カイ「な、なんだあれ!?」
リーディ「すごい威力……! 一突きであれだけの数を……!」
DC「……? 妙ね。あの威力で“魔力の気配”が全然感じられない……」
イグニスは魔力に頼らない。
鍛え上げた肉体と技だけで、悪魔すら凌駕する力を振るっていた。
バルザックも大槍で敵を貫き、サフィナは精密な魔弾でゾンビを射抜く。
南の守護者たちは三人で千体近いゾンビを屠り続けた。
だが、その最中に血相を変えた伝令が駆け込んできた。
伝令「イグニス様! リリアナ様たちが……いません!」
その言葉に、イグニスの顔つきが一変する。
いつもの豪快な笑みは消え、赤い瞳に怒りの焔が宿った。
イグニス「……何だと……?」
槍を握る腕がわななき、地面にひびが走る。
イグニス「テメェ……ジジィィィィ!!」
イグニスはゾンビの軍勢の中へと一直線に飛び込む。
標的は、軍勢の中にそびえる巨人ゾンビ。
イグニス「——火天穿破!!!」
大地を裂くほどの突きが炸裂。
槍先が貫いた瞬間、巨人ゾンビは内側から爆散し、荒野に血肉の雨が降り注いだ。
リーディ「……突きなのに……消し飛んだ……」
カイ「何なんだあの人……!?」
DC「やっぱり……魔力じゃない。あれは純粋な“力”……!」
瓦礫を吹き飛ばし、イグニスはドミナスの眼前に着地する。
イグニス「ジジィ……今ならまだ助けてやる。子供たちはどこだ」
その声には怒りを抑えた低い響きがあった。
だがドミナスは冷笑を浮かべ、言い放つ。
ドミナス「フン……この儂が、羽虫のような子供のことをいちいち覚えていると思うか?」
瞬間、イグニスの瞳が真紅に燃え上がる。
その怒気だけで周囲のゾンビが震え、後ずさった。
イグニス「……テメェ……!!」
大槍を大きく振りかぶり、炎の奥義を解き放つ。
イグニス「——炎帝裂槍ッ!!!」
大地を抉る一閃。
その一撃は槍であるにも関わらず、斬撃のごとくドミナスをまとめて薙ぎ払い、爆炎と共に吹き飛ばした。
だが舞い散るのは肉片ではなく、崩れ落ちる土塊。同時に軍勢も土と変わる。
イグニス「チッ……影武者か」
怒りを飲み込み、振り返る。
イグニス「おい! 全員で子供たちを捜索してくれ!」
その咆哮は、父としての怒りと愛情を宿し、南の荒野に響き渡った。
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