魂の狭間で
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暗闇の中、光の筋が砕けた鏡のように散乱している。
リーディは空間魔法の中で暴れ、己の力を抑えきれずにいた。
リーディ(心の声)「くそぅ……! 体が……全然制御できない!」
その爪は勝手に伸び、髪は逆立ち、狼のように牙を剥く。
悪魔の力と自身の魂がぶつかり合い、空間そのものを揺らしていた。
ビキィッ……!
空間にひずみが走り、裂け目が生まれる。
抗う間もなく、リーディの身体はその裂け目へと吸い込まれていった。
リーディ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
気づくと、そこはどこまでも灰色の空間だった。
上下も距離も曖昧で、漂うのは無数の「魂の影」。
叫び声や囁き声が幾重にも反響し、冷たい風が骨の芯を撫でる。
リーディ「……うっ……ここは……? ……いてて……」
暴走は解けていた。
その反動で体は鉛のように重く、膝をつく。
その時――
「……リーディ……」
どこからか、柔らかくも切ない声が響いた。
リーディ「!? だ、だれだ!」
「あぁ……わらわのかわいいリーディ……」
リーディの周囲に光の粒が集まり始める。
やがてその中心に、一人の女性の姿が現れた。
白い着物に赤い帯。顔には狐面。長い黒髪が光に揺れる。
リーディは思わず息を呑んだ。
リーディ「……!?」
イズナ「こんなところで会えるとは……嬉しいわ、リーディ。大きくなって……」
リーディ「な、なんで……ボクを知ってるの?」
イズナは、面の下で微笑んでいるかのように肩を揺らした。
イズナ「あらあら……リーディ。わらわのことも……忘れてしまったの?」
リーディ「……え?」
イズナはリーディに歩み寄り、その小さな頬に手を伸ばす。
だがその指先は実体を持たず、光の粒となってすり抜けた。
リーディ「ここは……どこなんだ? なんで魂ばっかり……」
イズナ「ここは“魂の狭間”。時間がゆがみ、命と死の境目が混ざり合う場所……。
ここでの一年は、現実ではほんの一週間にしかならない。
……だから安心していい。ここで過ごしても、外の世界ではすぐに会えるわ」
リーディ「……時間が……ゆがんでる?」
イズナは頷いた。
イズナ「リーディ……あなたはこれから大きな運命に巻き込まれる。
だけど今のままでは、その力を制御できず……大切な仲間を傷つけてしまうでしょう」
リーディはぎゅっと拳を握った。
リーディ「……ボク……あんな暴走、もうイヤだ。
守りたいんだ……カイたちを……!」
イズナは柔らかく笑い、扇のように両手を広げる。
その周囲に、赤黒い炎と闇の霧が渦を巻いた。
イズナ「ならば――わらわが教えましょう。
闇を、炎を。あなたの中に眠る“獣の力”を覚醒させる方法を」
リーディ「……!」
イズナの光がさらに強くなり、魂の影たちを押し返していく。
イズナ「……さあ、リーディ。親子水入らずの時間を過ごそうかえ」
その言葉と共に、灰色の世界に温もりが灯った。
リーディは涙をこぼしながら、ただ必死にその光を見つめ続けた。
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