師匠たちの戦い
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洞窟の外。
夜風が吹き抜ける崖の上で、アルガスとセレナは静かに佇んでいた。
カイたちを黒き門の中へ送り出したばかりの彼らの顔には、わずかな安堵と誇りが浮かんでいた。
しかし――その空気を破るように、二つの影が歩み寄ってきた。
月光に照らされたその姿は、以前の面影を残しながらも異様に変貌していた。
銀髪の青年、レオニス。
両腕と頭部が純白に輝き、天使の鎧と同化していた。額には光の紋が浮かび、見る者の心を押し潰すような威圧感を放っている。
黒髪の少女、フィオラ。
右腕と右足が白光に覆われ、背中の翼は羽ばたくたびに大気を震わせる。
かつて清廉に見えた瞳は鋭さを増し、天から使わされた刃のように冷たい光を放っていた。
レオニス「……このまま魔界へ逃げられるのは厄介だな」
その声は感情を押し殺した低音。
だが彼が放つ圧力だけで、岩壁が軋む。
フィオラ「お二人さん。――通してくれるかしら?」
柔らかな声の奥には、容赦のない殺意が潜んでいた。
老夫婦はゆっくりと振り向いた。
アルガス「せっかくいい感じに送り出せたってのになぁ……。すぐに追っ手を送っちまうのは、ちょっと弟子たちに恥ずかしい思いをさせるだろうよ」
セレナ「そうね。ならここは――師匠らしく、かっこよく“足止め”しておこうかしら」
にっこりと微笑むが、その背後に溢れる魔力は大地を震わせていた。
剣聖が大剣を担ぎ、わずかに目を細める。
アルガス「……三部位持ちか。まさか――“教祖エゼリアス”の指示か?」
天を統べる存在の名を口にした瞬間、空気が凍り付く。
レオニス「……答える義理はない。――どけ」
その目に迷いはなく、彼自身が剣そのもののような気配を放っていた。
セレナ「あらあら。言ったでしょ? 足止めするって」
ひらりと杖を構えるセレナの瞳が、淡い光を宿す。
フィオラ「……レオニス。大賢者と剣聖よ。軽んじてスルーできる相手じゃない」
天使の羽が大きく広がり、地を打つ風圧で砂利が舞い上がる。
次の瞬間――。
剣と光が交差し、大地を割った。
空へ奔った魔力は夜を昼に変え、轟音は雷鳴のごとく大地を揺らす。
火柱が立ち、山が揺れ、川が逆流する。
「人類史上最悪の大災害」と後に語られる戦闘が、まさに始まった。
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