師匠の受け売り
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ゆっくりと浮遊しながら、漆黒の巨体が近づいてくる。
二本の角から黒炎が揺らめき、漆黒の甲冑に刻まれた魔法紋が禍々しく光を放っていた。
悪魔「……あなたが私の相手ですか」
低く響く声に、DCは肩をすくめる。
DC「ん? なに、召喚獣のくせにしゃべれるの?」
悪魔「召喚獣? ははは……違いますよ。私は“召喚された”のではない。“召喚されてあげた”のです」
悪魔「あんな雑魚悪魔に、私を操る技量があるわけないでしょう」
甲冑の奥から、くぐもった笑い声が響く。
DC「……ふぅん。なるほどね。残りの二体もそうなのかしら?」
悪魔「私には分かりません。しかし……魔界は退屈ですからね。時々こうして、人間界に顔を出して“遊んで”いるんです」
その声音には、退屈を紛らわす怪物の余裕が滲んでいた。
悪魔「――私は《アビス=オブシディアン》。深淵を歩む者。さて……おしゃべりはここまでにしましょうか。あなたと私も、“遊ぶ”としましょう」
瞬間、周囲に無数の魔法陣が展開した。
空間そのものが歪み、闇の渦がDCへと押し寄せる。
洞窟の壁が削れ、地面は穴だらけになり、闇の奔流は竜巻のように唸った。
だが、DCは笑みを浮かべながら、ひらりひらりとそれを避けていく。
DC「……師匠の受け売りだけど、教えてあげる」
DC「あんたの魔法――魔力を“垂れ流してるだけ”よ!」
杖を一閃。
小さな魔弾が次々と放たれ、迫りくる闇の渦をすべて打ち落とす。
黒い奔流は次々に消滅し、洞窟の空気が一瞬だけ澄んだ。
アビス=オブシディアン「なっ……!? その程度の魔力で……!」
動揺した悪魔は、天井を震わせるほどの魔力を練り上げた。
次の瞬間、頭上に形成されたのは――城ほどもある巨大な氷塊。
アビス=オブシディアン「砕け散れぇ!」
轟音と共に、巨大な氷がDCめがけて落ちてくる。
だが、DCは呆れたように鼻を鳴らした。
DC「これが――“範囲がぼやける”ってことね。……まったく!」
掌に、小さな火球がふっと生まれる。
子供の玩具のような、手のひらサイズの炎。
それを氷へ向けて軽く放つと――。
ズガァァァァン!
火球は一直線に氷を貫き、そのままアビス=オブシディアンの胸へ。
何重にも展開された闇のシールドを、すべて貫通して突き抜けた。
アビス=オブシディアン「ぐっ……くそっ……!」
漆黒の巨体は内部から炎に包まれ、悲鳴を上げる暇もなく灰へと崩れていった。
DCは杖を肩に担ぎ、ふふんと笑う。
DC「修行不足ね。まずは魔力切れを起こしてから出直しなさい」
洞窟を照らす火の残滓は、彼女の勝利を誇らしげに彩っていた。
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