獣王との対峙
(^^)/
轟音と共に、大地が震えた。
真正面から迫るは――《獣王》フェンリル=ガルム。
銀灰の毛並みを逆立て、赤黒い紋様が脈動するたび、炎と氷が同時に噴き出す。
左の牙には紅蓮の火が、右の牙には絶対零度の氷が宿り、噛み砕いたものを瞬時に燃やし凍らせる。
その巨体はまさに「獣の頂点」。ただ一歩踏み出すだけで、大地は裂け、洞窟の天井から岩片が雨のように降り注いだ。
リーディ「っ……速い……でかい……!」
その咆哮は耳をつんざき、鼓膜を突き破るかと思うほど。
リーディの体は本能的に硬直し、防御に徹するしかなかった。
爪を構え、必死に飛びかかる牙を受け流す。
だが、その一撃一撃が重すぎる。
岩盤を砕く顎の力、氷炎が入り混じったブレス。
リーディは必死に回避し、土の魔力で壁を作っては砕かれ、蹴散らされていった。
リーディ「くそっ……全然止まらない……!」
獣王は口を大きく開き、灼熱と極寒のブレスを同時に放った。
左右から襲い掛かる相反する力が交差し、渓谷全体を呑み込もうとする。
リーディは必死に身をかわし、地面に膝をついた。
全身に走る痛みと恐怖。
だが、その胸中にふと響く声があった。
―――「こんな犬っころに負けてんじゃねぇ……!」
その声は、自分自身の奥底から湧き上がったものか、それとも爪が語りかけているのか。
リーディは歯を食いしばり、震える腕を見つめた。
その瞬間、左手の悪魔の爪が変貌を始める。
手首まで黒紫に覆われ、禍々しい光が奔った。
リーディ「……っ!」
獣王が大地を蹴り、止めの突進を放つ。
巨体が一直線に迫り、双牙が紅蓮と氷結を煌めかせる。
その迫力は、まさに自然の破壊そのもの。
だが次の瞬間――。
リーディの左腕がしなる。
悪魔の爪が手首まで変質し、紫に輝く軌跡を残した。
ズバァァァァン――ッ!
巨狼の巨体が、一瞬にして胸から腹を斜めに切り裂かれた。
その切り口から――紅蓮の炎が噴き出し、内部から燃え広がっていく。
フェンリル=ガルム「グオオオオオォォォッ……!」
咆哮は炎に掻き消され、巨体は崩れ落ち、燃えながら黒い灰へと変わっていった。
荒い息を吐きながら、リーディは自分の爪を見下ろした。
手首まで悪魔化した爪が淡く紫に光り、まだ熱を帯びている。
リーディ「……なんか、分かったかも……」
彼の口元に、恐怖ではなく確かな自信の笑みが浮かんでいた。
(^^)/




