王都の影
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ー森の街道ー
カイ「……おい、また魔物の気配だ」
リーディ「うん……鼻がピリピリする」
草むらをかき分けて現れたのは、ぬるりとした巨大な影。
蛇のような体躯、だが全身が半透明のゼリー状。
エリシア「な、なにあれ……?」
カイ「見たことねぇ……」
スライムドラゴン。
その不気味な咆哮とともに、粘液の塊が飛んでくる。
カイは短剣で斬りかかる。だが切り裂いた部分はすぐに再生し、逆に体が増殖して襲いかかる。
リーディの土魔法も、エリシアの光魔法も効果がない。
カイ「クソッ……キリがねぇ!」
リーディ「もうだめだ、逃げよう!」
エリシア「こっち!森を抜けるわ!」
三人は必死に走り、回り道をしてなんとかその場を脱出する。
息を切らし、泥だらけで、ようやく遠くに王都の城壁が見えた。
ーカルディナ王都 東門ー
重厚な石造りの門。衛兵の視線が、旅人を鋭く見定める。
門番「そこの獣人の子……目を見せろ」
リーディ「え、ぼ、僕?」
赤い瞳が露わになった瞬間、兵士の目が見開かれる。
門番「悪魔付きか!この街に入れるわけにはいかん!」
エリシア「待ってください!彼は悪魔なんかじゃ――」
その時、近くで笑い声が響いた。
勇者アルディス「おやおや?門の前で騒ぎとは。……ふふ、運の悪い“悪魔付き”だな」
黄金の剣を背にした青年が現れる。後ろには筋骨隆々の戦士ゴラン、清楚な僧侶セリナ、気取った魔法使いヴァロフ。
ゴラン「さぁ勇者様、この小僧をぶっ潰しましょう!」
ヴァロフ「忌まわしき瞳……処分すべきですな」
セリナ「神の名において浄化を……」
リーディは震える。だが、カイが前に立った。
カイ「ふざけんな。リーディは仲間だ」
アルディス「おや、仲間を庇うとは悪魔の同類か?まったく……“最強の勇者パーティ”に絡まれるとはついてないな」
リーディは地面に両手を叩きつける。土が盛り上がり、泥人形のようなゴーレムが立ち上がった。
リーディ「今だ、走れ!」
カイ「よし、行くぞ!」
三人は混乱に乗じて酒場へと駆け込んだ。
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