剣聖の試練
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だだっ広い草原に、朝露が光っていた。
澄み切った空気の中、アルガスとDC・エリシアは少し距離を取って対峙する。
遠くで鳥の鳴き声が響くが、張り詰めた気配に草原全体が沈黙しているようだった。
アルガスは剣を肩に担ぎ、静かに言った。
アルガス「魔法使いの弱点は知っているか?」
DCが即座に答える。
DC「近距離戦闘? でもアタシは近距離でも魔法の刃を振るえるわよ?」
アルガスは首を振る。
アルガス「違う……」
少し考え込んで、エリシアが声を出す。
エリシア「……魔法詠唱の隙……とかですか?」
再び首を横に振る。
アルガス「違う……」
DCがいら立ったように踏み込む。
DC「じゃあ何だってのよ?」
アルガスは一呼吸置き、重々しく告げる。
アルガス「一見、魔法使い――特に中級から上級魔法を扱う者は、攻守に優れているように思われがちだ。だがその実、攻撃範囲はぼやけ、威力はまばら。物理の一撃のように、確実に急所を断ち切るものではない」
その言葉に、DCの額に青筋が浮かぶ。
DC「……カチン……なんですって!? 証明してやろうじゃないの!」
アルガスは口角を上げて頷いた。
アルガス「いいぞ。では最初の試練だ――俺をここから一歩でも動かしてみろ。手加減はいらん」
DC「カチーン! なめんじゃないわよ! 《インフェルノ・カタクリズム》!!」
轟音と共に、赤黒い巨大な火球が形成される。
第一段階の修行で精度が増したDCの魔力は、以前よりも凝縮され、まるで太陽を切り取ったかのような光と熱を放った。
エリシア「……なに、この威力……!?」
火球が空気を焼き裂き、アルガスへ迫る。
しかし剣聖は一歩も動かず、ただ剣を振り上げた。
アルガス「――ほぅ。まぁまぁの威力じゃないか。だが!」
鋭い一振り。
次の瞬間、太陽を思わせた火球は真っ二つに裂かれ、爆風すら剣圧に掻き消された。
DC「なっ……!?」
歯噛みしながらDCは次の詠唱に入る。
DC「ならこれはどう!? 《テンペスト・アクアボルト》!!」
水と雷を複合させた渦雷の奔流が唸りを上げて襲いかかる。
その背後で、エリシアも両手を組む。
エリシア「私も! 《ルミナス・サークル》!」
聖光の輪が空に広がり、光の矢が雨のように降り注いだ。
修行の成果か、その光は以前よりずっと強く、正確に相手を捉えている。
だが――。
アルガス「フッ!」
一閃。
剣から奔った衝撃波が、複合魔法も聖光の雨もすべて切り裂き、散らしてしまった。
草原は熱と光に焼かれ、煙が立ち込める。
DC「……嘘でしょ……」
エリシア「わ、私の光魔法まで……!」
アルガスはため息をつき、足元の枝を拾い上げた。
アルガス「……これが弱点だ。どうだ? 剣一本にすら届かん」
そして枝を構え、にやりと挑発する。
アルガス「……剣じゃ終わりそうにないからな。この枝で相手をしてやろう」
枝の先が、雷鳴のような気配を放った。
DCとエリシアの背筋に冷たい汗が走る――。
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