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悪魔の左腕  作者: 770
3/69

草原に響く笑い声

(^^)/

ー草原の道ー


街を出て二日目。

カイとエリシア、そして新しく仲間に加わったリーディは、広がる丘陵を歩いていた。


リーディ「ねぇ、カイ。さっきから草の匂いが濃くなってる……なんか、獲物の匂いも混じってるよ」


カイ「獲物?」


リーディの鼻がひくひくと動く。

次の瞬間、茂みから牙をむいた獣型の魔物が飛び出してきた。


カイ「エリシア、下がれ!」


カイは短剣を抜き、魔物の突進を受け止めようとする。だが、先に飛び出したのはリーディだった。


リーディ「ボクに任せて!」


土が隆起し、魔物の足元を絡めとる。リーディが放った土魔法だ。驚く間もなく、リーディは素早く背後に回り込み、拾った石で魔物の側頭部を叩きつけた。


魔物はうめき声をあげ、その場に崩れ落ちる。


エリシア「すごい……! リーディ、本当に戦えるのね!」


カイ「ただの子供じゃなかったか。いいセンスしてるじゃねぇか」


リーディは照れ笑いを浮かべた。


リーディ「えへへ……奴隷だったとき、魔物相手に生き延びるしかなかったからさ。戦い方は自然に覚えたんだ」


カイは無言で頷き、短剣を納めた。


ー野営の夜ー


その日の夕方、三人は森の中で野営をすることにした。


リーディ「ちょっと待ってて。今すぐ寝床を作るから!」


両手を土に触れ、魔力を流し込む。すると、地面が隆起し、丸いかまくらのような小屋が形作られていく。


エリシア「わぁ……すごい。ちゃんと屋根も壁もある!」


リーディは次に森の中へ走り出した。少しして戻ってきたとき、両手には木の実やきのこ、さらに小さな野兎を抱えていた。


リーディ「晩ごはん、これでいい?」


カイ「……おいおい、野営なのにずいぶん豪華だな」


エリシア「本当に器用なのね、リーディ。こんなに立派な食事ができるなら、旅も安心だわ」


焚き火の上で肉が焼ける匂いが漂う。三人は笑い合いながら、簡素だが温かい食卓を囲んだ。


ー川辺ー


食後、近くの小川で水浴びをすることになった。

カイは火のそばで待機し、エリシアとリーディが川に入る。


エリシア「リーディ……やっぱり女の子にしか見えないわね。黒髪で、青い瞳……」


リーディ「えっ、ボク男だよ!? でも……昔、大怪我したときにこの“悪魔の目”を移植されたんだ」


そう言って赤い右目を指さす。水面に浮かぶその瞳は妖しく輝いていた。


リーディ「父さんは狼の獣人で、母さんは狐なんだ。でも二人とも死んじゃって……耳のイヤリングだけが形見なんだ。これ、呪いがかかってるから外せないけど……ボクにとっては宝物なんだ」


エリシアはそっと微笑み、リーディの髪を撫でた。


エリシア「……とても大切にしているのね。リーディは、きっと強くなれるわ」


リーディは照れたように顔を背け、水をぱしゃっと跳ねかける。


リーディ「そっちこそ、あんまり無理するなよ! なんか、時々苦しそうだから」


エリシアの胸元を一瞬見てしまい、慌てて視線を逸らす。


エリシア「……ありがと」


二人の笑い声が川に広がり、夜の森に溶けていった。


ー夜更けー


焚き火を囲んで、三人は横になる。


カイ「……変なもんだな。こんな賑やかな旅になるなんて思ってなかった」


リーディ「ボクもさ。自由って、こんなに楽しいんだな」


エリシア「ふふ……これからが本当の冒険の始まりね」


星々が輝く夜空の下、三人の旅路は静かに、しかし確かに歩み出していた。

(^^)/

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